ニルス・ペッターのライヴから電気マイルスに遡るという手もアリ

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なんだ、
マイルス・デイヴィスの
『イン・ア・サイレント・ウェイ』、
『オン・ザ・コーナー』、
『ゲット・アップ・ウィズ・イット』など、
「電気マイルス」のエッセンスが、
すべて入っているではないですか。

こちらのライヴ

プラス、復帰後の『シエスタ』にも通ずる
寂寥感たっぷりの抒情性も。

ケニー・ホイーラーが好きな人にも、
ビビッとくるかもね。

北欧はノルウェイのトランぺッター、ニルス・ペッター・モルヴェル。

さすが、10代の時に出会ったマイルスが
「電化マイルス」だったということもあり、
マイルスがエレクトリック楽器導入時代に
やっていたことを、
すっきりと整理整頓。

かつ、現代風のフレバーをまぶして、
異常に気持ち良い音空間を作っています。

だから。

エレクトリック・マイルスのサウンドは、
アクが強くていまひとつ馴染めないという方は、
気持ち良いニルス・ペッターのアンサンブルを聴けば、
マイルスサウンド独特のアクの向こうにある
「演奏上の狙い」がスッキリと見えてきて、
電気マイルスも楽しめるんじゃないかと思うのです。

「《マイ・ファニー・ヴァレンタイン》を吹いていた人」という文脈でマイルスを聴くから、
エレクトリックマイルスの音楽に頭がこんがらがってしまうのかもしれない。

ハードバップの延長線上、にはいないんですよね。
ジャズ以外の音楽の要素もかなり注入された、ごった煮サウンドになっているから。

そうではなくて、
ニルス・ペッターのサウンドのように、
溢れるリズムの中に、トランペットを溶け込ませ、
混然一体とひとつのサウンドを形作っていくという
(もちろん、トランペットとしての存在感は保ちつつ)
そういうサウンドメイキングの手法に心地よさを覚えれば、
さながら知恵の輪がするりと解けたような感覚で、
マイルスがやろうとしていたことが、
さくっと頭の中にはいってくるんじゃないでしょうか。

つまり、過去の文脈から分かろうとするんじゃなくて
未来の文脈からひも解いていく。

たくさんの音楽があふれかえっている昨今だからこそ、
このようなアプローチも有効だと思うんです。

エレクトリックマイルスが苦手な人は、
ぜひ、上に張ったニルス・ペッターのライヴを身体で感じてみてください。

刺激的だし、
抒情的だし、
オシャレだし、
スッとサウンドに埋没できる中毒性もあるし。

ニルス・ペッターのトランペットは、
ソロ楽器でありながらも、
他の楽器と協働して
独自のサウンド空間を彩る一翼も担う
アンビエント空間形成楽器でもあるのです。
(だからこそ、何の躊躇もなくエフェクトかけている)

そういえば、先日、
ジャズ喫茶「いーぐる」で聴いた
『クメール』は、
引き締まった重低音が、めちゃくちゃカッコ良かったな~。

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