【コメント返し】源流!

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動画「【コメント返し】ブルーノートの2管ハードバップを無性に聴きたくなる時ってあるのだ〜モブいモブレーとボブいボブ・ワインストック」(こちら)に、視聴者さまよりいただいたコメントを紹介した動画をアップしました。

コメント

EnjoyableJazzForOldAgeさんからのコメント。

!高野さんもバディ・ボールデンの蝋管録音をお持ちなのですね?
私は30年振りにジャズ復帰した浦島太郎状態で、21世紀になってから修正されたジャズ史の真実の数々に付いて行けず戸惑うばかりのジャズ義務教育リハビリ中の身に御座います。

なかんずく、徹底的な再教育を受けねばならないと痛感致しております3大課題が、1.ボールデンの蝋管録音、2.パーカーの正しい生まれは19世紀だった新事実(ハイソサエティのcl定型ソロはA.ピクーの創始ではなくパーカーだった新事実)、3.フュージョンは最初からフュージョンでありクロスオーバーは和製英語に過ぎなかった新事実(70年代ダウンビート誌上でクロスオーバーやソフト&メロウの呼称が使われた事は無く、その後逆輸入的に元は和製だったCrossoverがDB誌上にも載るようになった)、という現在のジャズ常識です。
永いブランクで、本当にジャズ史の真実を悉知している方々とは全く話が嚙み合わず、これらの話題で何度真実を諭されても今ひとつ得心に至らず、一人悩んでしまう日々でした。

20世紀中は幻の名盤発掘ブームに沸きましたが、当時は現存されていない事になって居り、唯一A.ピクーが彼の共演記憶からインタビューで答えたあやふやな伝聞から夢想を巡らすしかなかった真の幻の世界でした。

ボールデン録音所有者の皆さんの話を綜合するに、どうやら必聴盤としてごく普通にどこでも買える状態でCD販売されているのですよね?
そこで、どのタイトルの商品を買えば聞くことが可能か、ネット・リアル対面を問わずボールデン収録盤の話が出る毎に尋てみるのですが、毎回全て嘲笑失笑されるばかりでどなたにも決して教えて戴くには叶わず、困り果てていたところでした。

推察するに各社から様々なタイトルの盤が出ているのだろうと思いますが、最も確実な線で、高野さん御所有のボールデン収録盤のタイトルと復刻元レーベル名だけでもご教示賜れませんでしょうか?

蝋管録音なのかさえも定かではないのですが……涙

大昔に、親父が世界一周?(というより北半球豪遊ツアー?)の際にニューオリンズに宿泊した際に、「そういえば、お前(私のこと)ジャズ好きだったよな?」って軽いノリで現地のお土産屋さんみたいなところで買ってきた「ファースト・ジャズ・オムニバス」みたいなタイトルの、曲名もパーソネルもおぼつかない1枚のペラッペラな紙がケースに挟まれている程度のものでした。ボールデンだけじゃなくて、ジェリー・ロール・モートンとか、あと知らない人の演奏も入っているような、要するに初期のジャズの音源の寄せ集めのものでした。
なので、実はあんまり、というかほとんど聴いてないです。今、あるとしたら実家かなぁ。お役に立てずにすいません…。

おかはせチャンネルさんからのコメント。

確かにビバップのムーブメントはジャズの歴史的にも重要なプロセスだったのだと思いますが、これは音楽以外のアートにも言えますが発展するに従って【本来持っていた根源的な音楽の魅力=難しいとか簡単とかの次元を超えている「音から醸し出すなんらかの感覚を忘れてしまう傾向がある」と思います。もちろんその後のハートバップは根源的なものとのバランスを大事にして行っていますが、ビバップでジャズから離れてしまった人達はハードバップも聴かず嫌いになっている】と思われます

まさにご指摘の通りで、ビバップ以降のジャズの歩みって「進化」と同時に「何かがなくなる」「何かを忘れる」プロセスでもあった、という見方もあるかな、と思いました。

ビ・バップって、そのあまりの斬新さゆえに、多くの同業者が飛びつき、コピーし、分析し、再現可能な音楽言語へと急速に変換されていきました。

それまでのスウィング期のジャズは、もちろん高度な音楽ではあるのですが、どこか「身体感覚」や「共同体的グルーヴ」の領域に属していた感があります。ま、一言で言えば、フィーリングみたいなもの? 同じ釜の飯を食って、同じ生活を同じ気候の元でワシらと暮らしていれば、そのうち身につくじゃろ、みたいな言語以外の伝承方法。
こういうのって、理屈では分解しきれない魅力がありますよね。

ところがビバップ以降、コード進行、テンション、スケール対応、フレーズの構造、アプローチノート……といった形で、語彙や構文が急速に整理&体系化されていきました。まあ、そうしたくなるだけの魅力のある音楽話法だったからなんですけど。

で、結果として、「どうすればビ・バップっぽく聴こえるか」はかなり体系化され、学習可能になりました。分析・解析・体系化・マニュアル化が進んだことで、その通りに実行すれば「かなり近いところ」までは比較的容易に再現できるようになったわけです。

おかはせちゃんねるさんのご指摘の核心はまさにそこですよね。

その中心にある衝動やエネルギーまで再現できるかどうかは別問題だという点。
これは本当におっしゃる通りだと思います。

私自身ベースを弾いていて感じるのですが、理論的には「正しい」ラインを弾くこと自体は、ある程度の学習や訓練でできます。でも、カーリー・ラッセルやチェンバースやミンガスが持っていた、あのどうしようもない必然性、切迫感、あるいはユーモアや毒気まで含んだ「音の人格?」みたいなものは、理屈だけでは出てこないんですよね。ここにジャズの面白さと同時に難しさがあると思います。

そして面白いのは、これが音楽だけでなく、他のアートや、さらには全然違う分野――例えば企業の成長過程にも非常によく似た構造が見えることです。

創業期の会社って、多くの場合、創業者の個性や直感、独自の価値観に強く依存していることが多いですよね。
つまり、その人でなければ成立しない商品やサービスが多い。
ところが事業が成功し組織が拡大していくと、その独自性を「再現可能な形」にしなければ、会社が回らなくなってきます。
だから、ノウハウが分析され、工程が因数分解され、マニュアル化され、誰でも一定品質で提供できる仕組みが作られるようになっていきます。

そうすると、次世代の人材は、体系化されたものを高速、かつ正確に処理できる秀才型が増えます。採用側もそういう能力持った人を優先的に採用するでしょうし。
そうすると、組織は均一化され、安定し、品質は上がるかもしれません。
しかし同時に、創業期のような突飛な発想や、爆発的な創造性は弱まる。結果として新しいヒットが生まれにくくなるという――まさにご指摘のジレンマですね。

だから多くの企業が、意図的に「爆弾」や「起爆剤」になり得る異端児を採用しようとすることもあるようです。
文脈を無視した直感的な発言をする人、常識外れの発想を持つ人(余談ですが、私の息子もそれで採用されたみたいです、「おいらはビッグになりてぇです!」みたいなことを面接で言ったらしく、社内では賛否両論だったという話を入社後に聞いたそうです)。
もちろんリスクもあるし、不発弾で終わることの方が多いかもしれない。
でも、安定期の組織に揺さぶりをかける存在のニーズっていうのも出てくるんでしょうね。

これ、ジャズ史を見ても同じ構図が見えます。ビバップ自体がスウィングの安定化に対する異端的爆発でしたし、その後もアイラーやオーネットのような人物が、常に均質化へ向かう流れに亀裂を入れてきました。

おかはせチャンネルさんが書かれている「ビバップで離れてしまった人がハードバップも聴かず嫌いになった」という指摘も、まさにこの連続性の問題ですね。

本来ハードバップは、ビバップで高度化した語法を保ちながら、ブルースやゴスペル的身体性を回復しようとした運動でもありました。でも入口で「難しい音楽」と感じて距離を置いてしまうと、その回復の流れまで届かない。

結局のところ、ジャズって常にこの往復運動を続けているんだと思います。
衝動 → 体系化 → 均質化 → 逸脱 → 再び衝動。
そしてどの時代にも、安定では終わらない異端児が現れる。

おかはせチャンネルさんのコメントは、そのダイナミクスを的確に言い当てていると思います。

「衝動と体系化のせめぎ合い」、そういう目線があると、色々な出来事のウォッチングが楽しめますよねw

2025年8月7日 13:50

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