新刊『アンビエント/ジャズ』(原雅明・著)を立ち読み的に紹介しています。
コメント
Kawai Andyさんからのコメント。
紹介ありがとうございます!興味深い本ですね。雲さんが以前立ち読みで紹介した「越境するギタリストと現代ジャズ進化論」やこの本は買おうと思います。
以前から思っていたのですが、マイルスの『Filles De Kilimanjaro』の表題曲はベースが繰り返す「ミニマルなリズム」が曲に緊張感をもたらしますが同時にある種の平坦性も感じさせそれがクライマックスを回避している様に聴こえます
菊地雅章の『One – Way Traveller』の最後の曲「Sky Talk」はシンセを使った音響作品で、抽象的で不思議な響きがアンビエント的です。がしかし緊張感が有るのがプーさんらしいのかな?ビル・ラズウェルが参加したアルバム『Dreamachine』の「Straylight」は美しいバラード曲ですがこの曲は緩くクライマックスを回避するような所がアンビエント的かなと思います。
これらの作品に共通するある種の「瞑想性」がアンビエントという言葉と重なるように私は思えます。雲さんが眠くなるのはそのせいでしょうか?😊
一方最近では Mary Halvorson や Jeff Parker の活動(Isotope217)にジャズにポストモダンな表現を持ち込んでいるように感じています。ポストモダンな表現は「離散的」で例えて言うなら「交わらない水と油がごちゃ混ぜ」なのが良い(カッコいい)んですがその辺りに好き嫌いもありそうですね。ジャズは何かしら連続した発展の仕方が従来の方法(ビ・バップ→ハードバップなど)でしたが最近は不連続で離散的な作品が見受けられるようになってきた感じがします。
変則的な楽器編成や曲調、伝統的なものとHipHopなど新しい要素が様々にミックスされたユニークな曲を現代的な音響技術も使い演奏表現を拡張させているのは現代の演奏者の表現欲求なんでしょうか?
特にJeff Parkerのソロ『Forfolks』などはループなどペダルを駆使しながらもシンプルで素朴でありながら詩的で良いなぁとよく聞いています。曲によってはジャコ・パストリアスの1stアルバムの「Okonkole Y Trompa」と似たサウンドもあったりして、「聴くこともの無く聴いてしまう」音楽は、何故かアフリカの民族音楽ショナ族のムビラ(カリンバ)を想起させます。
『越境するギタリスト』とともに、今回紹介した『アンビエント/ジャズ』は、おそらくKawai Andyさんの琴線に響く内容なんじゃないかと思います。
『キリマンジャロの娘』のタイトルナンバーの、平坦性、クライマックスを回避、そして繰り返されるベース……。これらは、当時はドローンという言葉はなかったと思いますが、発想はドローンに近いところありますよね。
ドバーッとやればいいのじゃぁ!と中山康樹さんの言葉を受け売りしていた若い頃の私は『マイルス・イン・ザ・スカイ』や『キリマンジャロの娘』の「いきそうでいかない感」が、どうにもムズムズしてあまりクル感じがしなかったんですが、それは、「ジャズはドバーッとやればいいんじゃい」の「ジャズ」という言葉の重力に囚われていたからなんだなと思います。
変に壁を作って聴いていたからコナかった。
よくよく考えてみれば、私、ジャズを聴く前から、イキそでイカない音楽、結構好きだったんじゃないか、って。
たとえば、YMOの『テクノデリック』というアルバムが大好きなんですが、中でも《ノイエ・タンツ》のムズムズした感じ、あれ中学生の頃から愛好していたんですよねw
あの、ドバーッと来そうで来ない、ムズムズ感が持続して、後半にかけては細野さんの弦ベースで鋭く「刺す」。だけど、カタルシスはない。このムズムズ感(まさに細野さんが唱えていた「鳩尾(みぞおち)ワクワク、下半身ムズムズ」?)が好きで好きでw
で、その後知ったスライ&ザ・ファミリー・ストーンの『暴動』。順序が逆ですけどw
これも、なんかマッタリ、ノリノリなファンクをやれば出来るくせに、わざと上からギューッと抑え込んだマッタリさ、これもイキそでイカない、ムズムズプレイ、特にラストの《サンキュー》なんか、まさに。
こういうノリだったり、感触が生理的に受け付ける体質があれば、マイルスの「アンビエント的たるもの」を受け入れる素地は、すでにできていたはずなのに、どうも「ジャズ」という固定観念が邪魔しちゃったみたいです。
そういえば、後年、YMOの3人がNHKの番組で、スライの《サンキュー》をカバーしていましたが(たしかyoutubeでもみれました)、なるほどなぁ、と思ったものです。やっぱり、追求していたノリの一つだったのでしょうね。
とにかく、あの後ろに引っ張るグルーヴがタマラんw
もちろん原曲よりも、かなり洗練、整理整頓された演奏ではあるのですが、やっぱり、グッと上から抑えて、ハネや爆発をぐいっと抑え込んだストイックな感じも良いですよね。
で、イーノなんかは、そのノリやグルーヴをさらに抜いた感じのムズムズさ、というか。それでも『アナザー・グリーン・ワールド』の頃なんかは、パーシー・ジョーンズやフィル・コリンズのような「ブランドX畑」のリズムセクション使って、結構躍動的ではありましたが、時代が進むと、もっと記号的というか、透明度が高くなっていきましたよね。そっち方面も、割と好きです。代表曲(?)は、昔のウインドウズを立ち上げた時の音(笑)。
と、なんだか話が本筋から離れていってしまって申し訳ありません。
プーさんの『ワン・ウェイ・トラヴェラー』もかなり好きですね。
空間重視のサウンド設計とでもいうのでしょうか。
音数少なく、余白が大きい。ピアノやシンセの「間」や「残響」が主役になっているような気がします。メロディよりも、余白が主役ですらあるように感じるところが、アンビエント的といえばアンビエント的なのかもしれません。
さらに、ビートが明確に前に出ない部分では、進行よりも「漂い」が強調されているような感じで、おそらく、キリマンジャロやサイレントウェイの頃のマイルスも、そこまで明確な指針は無かったのかもしれませんが、頭の中で思い描いていた音の「デザイン」やニュアンスには近いものがあるのかもしれません。
おそらく、プーさんも、このあたりのマイルスから触発されたのかもしれませんね。
お書きになられていたショナ族のムビラ(ンビーラ?)も、私、かなり好きなんですが、最近は、ブルキナファソのバラフォンの素朴な音にもハマってます。ムビラの木琴バージョンといえば近いかもしれません。
なんか気持ちいい。ジャズよりたくさん聴いている日も多いくらいですw
2025年9月20日