好きなワンホーンなんですか?
Katiosさんからのコメント。
好きなワンホーンアルバムを教えてください!
高野雲さん、初めまして。いつも楽しく拝聴しております!
私は数か月前にこっそりと招待状を手に入れた大学生です。中山康樹さんに感化され、マイルスだけを聴いていたのですが、後藤雅洋さんの「彼の音楽は彼がソロをとっていない部分でも濃厚にマイルス・ミュージックなのです」という一文を読んだときに、サイドメンの個性がマイルスの作家性に隠れてしまうのではないかと思いました。この辺りはまだ自分の耳で判断できません。
マイルスにこだわらず色々と聴いてみようと思い、耳を鍛えるためにもワンホーンアルバムを聴くようにしています。そこで、高野雲さんのお好きなワンホーンアルバムを教えてもらいたくコメントさせていただきました。出来たら楽器ごとにアルバムを選んでいただけると嬉しいです。ちなみに私はSoul StationとBlue’s Moodsが好きです。動画に直接関係のないコメントで申し訳ありません。
長文失礼致しました。これからも楽しみにしております。
⇒こちら
「好きなアルバム」でいいんですね??
では、個人的によく聴いているワンホーンのアルバムをご紹介いたします。
アルトサックス
オーネット・コールマンの『アット・ザ・ゴールデン・サークル vol.1』と、リー・コニッツの『モーション』でしょうね。
>>ゴールデン・サークルのオーネット・コールマン vol.1/オーネット・コールマン
両方とも、ドラムがすごい!
『ゴールデンサークル』は、チャールス・モフェットのシンバルが心地よく、モーションはエルヴィンのうねるポリリズムが圧巻!です。
またまたドラムが凄い盤ですが、ジミー・ライオンズの、パーカーを不愛想にしたようなアルトサックスを楽しめる、セシル・テイラーの『カフェモンマルトル』も大好きです。
もちろんセシルのピアノもカッコいいんですが、4ビートとフリーの架け橋のような叩き方をしているサニー・マレイのドラミングに惚れ惚れです。
「1曲聴き」を許してもらえるなら、エリック・ドルフィーの《アウト・ゼア》。
もちろん、アルバム全体が素晴らしい作品ではあるのですが、1曲目の《アウト・ゼア》だけを聴くことが多いです。
最後に、忘れちゃいけないマクリーン。
世評ではブルーノートの『スウィング・スワング・スウィンギン』がワンホーンの傑作とされていますが、たしかに完成度はこちらのほうが上だとは思うのですが、私の場合は、復帰後のマクリーンの第1作が好きですね。
>>ライヴ・アット・ザ・モンマルトル/ジャッキー・マクリーン
北欧のライヴハウスでカムバック、さらにスティープルチェイスというレーベルの第一作という、音そのものよりも物語をも含めて惹かれているということは多分にあるのですが、やっぱりマクリーンはライブが似合うなぁ。
ワンホーンじゃないけれども、デクスター・ゴードンと共演している同じテイストのアルバムも好きです。
>>ミーティング/ジャッキー・マクリーン&デクスター・ゴードン
テナーサックス
ベタ過ぎて申し訳ないのですが、まずは、ソニー・ロリンズの『サキソフォン・コロッサス』ですね。
何万回聴いてもまったく飽きないのです。
もうひとつオーソドックスなんですが、何千回聴いてもいまだに飽きがこないのが、スタン・ゲッツの『スタン・ゲッツ・カルテッツ』ですね。
これはもう、ゲッツもいいけど、ピアノのアル・ヘイグが良いですね。
あと、デクスター・ゴードンの『ジ・アパートメント』。
ハッピーかつうきうきした気分になります。
あと、デックスといえば、もう一枚外せないのが『アワ・マン・イン・パリ』ですね。
パウエルの乾いたピアノがカッコいいし、ピエール・ミシェロの堅実なベースにグッとくるし(こういうベース弾きたいな)、ジャズ~な雰囲気をふりまきまくるケニー・クラークのドラミングも最高!
特に《チュニジアの夜》が好きなのですが、そうそう、《チュニジアの夜》といえば、ロリンズの『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』のチュニジアも最高ですね。
ピート・ラロカの乱暴なドラムが最高!(涙)
「ヴィレッジ・ヴァンガード」といえば、コルトレーンの『ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』もよく聴いています。
>>アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード 1961-11-02/ジョン・コルトレーン
といっても、聴いているのは《チェイシン・ザ・トレーン》のみですが(笑)。
このピアノレス・テナーサックス・トリオは、聴けば聴くほどグイグイと演奏に引き込まれていきますよ。
あと、ショーターの『ジュジュ』も好きですね。
マッコイ・タイナーとエルヴィン・ジョーンズが、コルトレーン・カルテットと同じメンバーですが、随分と雰囲気が違います。
それと、ひたすら大音量で無心になって音に埋没したいときは、アルバート・アイラ―の『スピリチュアル・ユニティ』もいいですね。
ゲイリー・ピーコックのベースがいつだって謎。
サニー・マレイのシンバル・ワークも凄いですね。
トランペット
なんだかドロドロなのが続いているようなので、比較的アッサリ系を。
ハワード・マギーの『マギーズ・バック・イン・タウン』なんかいいですね。
今朝も聴いてました(笑)。
なにがいいかって、リズムセクションがね。
ドラムが名手シェリー・マン、ベースが私が大好きなリロイ・ヴィネガー、ピアノが鬼才、フィニアス・ニューボーン Jr.というリズムセクションなのです。
これに乗っかるマギーのトランペットは、するすると気持ちよさそう。
するすると快調なトランペットといえば、クラーク・テリーの『イン・オービット』もいいですね。
ゴツゴツとしているはずのモンクのピアノとすっきり共存。
滑らかで、無理なく前へ前へと進んでいくトランペットが気持ち良い。
ケニー・ドーハムの『ショート・ストーリー』も愛聴盤です。
エキサイティングかつセツない。
こういうムード出せるトランぺッターって、彼だけなのでは?
それと、なんだかんだいって、やっぱりウィントン・マルサリスは凄いっす。
>>スタンダード・タイム Vol.1/ウイントン・マルサリス
前者はリズムセクションの凄さ、後者はウィントンのトランペットとライヴの熱気が凄いです。
ウィントンとはまったく個性が異なりますが、ドン・チェリーのポケットトランペットもいいですね。
チャーリー・ヘイデンとエド・ブラックウェルによるピアノレストリオ、しかも、私が好きなオーネットのナンバーを楽しめる『ザ・モントリオール・テープス・ウィズ・ドン・チェリー・アンド・エド・ブラックウェル』(長っ!)なんか、聴きやすいうえに、グッと迫ってくるものがあるので大好きです。
>>ザ・モントリオール・テープス・ウィズ・ドン・チェリー・アンド・エド・ブラックウェル/チャーリー・ヘイデン
またまたピアノレストリオで申し訳ないんですが、アヴィシャイ・コーエンの『ザ・トランペット・プレイヤー』もなかなか。
最後にひとつ変わり種(?)を挙げるとすると、近藤等則の『空中浮遊』ですかね。
トランペットにエフェクトをかけて、ふにゃふにゃさせた音色でリズムに溶け込ますサウンド。
これ、最初は抵抗感覚えたのですが、『オン・ザ・コーナー』あたりのエレクトリック・マイルスを聴きまくり、ニルス・ペッター・モルヴェルのライヴをYouTubeで観たりすれば、このエフェクト・トランペットならではの心地よさを感じることが出来るのではないかと思います。
>>空中浮遊/近藤等則&チベタン・ブルー・エアー・リキッド・バンド
トロンボーン
トロンボーンは、ワンホーンが少ないんですよね。
やっぱり、他の管楽器と共演してこそ引き立つ楽器という認識が一般的なんでしょうかね?
その中でも、スライド・ハンプトンのカルテットは、なかなかタフで聴きごたえありますよ。
めちゃくちゃ熱気のある演奏。
リズムセクションもスゴいんです。
もう一枚。
すべての曲がワンホーンではないのですが、私の先生でもあった板谷博の『VAL』。
>>回想:板谷博
ラストの《オーヴァー・ザ・レインボウ》に泣ける……。
こんな感じでいかがでしょう?