ジャズとは 定義

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ジャズの定義、スタイル

ジャズの定義は?

うーむ、広いです。
あいまいです。

かのギタリスト、パット・メセニーもこう言っていたそうです。

「10人のジャズ好きが集まると11種類のジャズ観が生まれる」と。

ですから、細かく定義分類をしようとすればするほど、大変なことになります。

ベーシストがウッドベースだからジャズだとか、サックス吹いている人がいるからジャズだとすごく大雑把に分類する人も中にはいます。

逆に、「ハードバップの中でも特にファンキージャズ色が濃い」というような「ジャンル内ジャンル」に細かく分ける人もいますからね。

これこそジャズだ、いや、あれはジャズではない、みたいな論議は、昭和の時代からジャズ喫茶の中やジャズファン同士の間では喧々諤々と議論がなされていたことをご存知の方も多いでしょう。

まあ、生物や植物のように細かな学術的な分類がなされる世界ではないので、大雑把にジャズのスタイルを見ていきましょうか。

ジャズを分類

いうまでもありませんが、ジャズには多くのスタイルがあります。

デキシーランド、スウィングジャズ、フリージャズ、フュージョン(クロスオーバー)などなど。

それぞれが魅力的な特徴を持つジャズではあるのですが、入門者のあなたが恐らくは漠然と抱く「いわゆるジャズ」というのは、モダンジャズ、それもビ・バップやハードバップと呼ばれるジャズなのではないかと思われます。

やはりハードバップが中心?

ん? ビ・バップ? ハードバップ?

言葉の定義は後にして、要するにこれらのジャズはどんな「音」なのかというと、飲食店などの有線放送のジャズチャンネルで流れている多くの音楽がモダンジャズで、大雑把に、年代的には50年代から60年代に全盛だったジャズと考えていただいても差し支えないでしょう。

そういえば、ピアニストの守屋純子氏の著書に『なぜ牛丼屋でジャズがかかっているのか』というようなタイトルの本もありましたが、いまや牛丼屋でもジャズが流れている時代なんですよね。

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だから、ジャズのことをよく知らない人でも、店に入った瞬間に「あっ、この店で流れているBGMはジャズなんだ」とすぐに認識できる音楽ですね。

ドラムがシンバルをチーンチキと刻み、ウッドベースがボン・ボン・ボンと低音でリズム(4ビート)を刻む。

このようなリズムのスタイルで演奏されているジャズの中でも、特に40年代末から50年代に黄金期を迎えた、もっとも「おいしい音」、そしてそれを奏でていた「ジャズマン」たちを中心に本書では紹介していきたいと思います。

フュージョン

もちろん、このスタイルのジャズだけがジャズではありません。

エレキベースが「ベキッ!」とスラップ(日本ではチョッパーと呼ばれていますね)をかまし、ドラムもロックのズッパーン!ズッパーン!、ギターがハードロックばりにギュインギュインと大音量で奏でるスタイルにも、ジャズのスピリットが脈々と流れているものもあります。

しかし、仮に本書を読んで買った最初の1枚が、あなたが思い描く、ドラムがチーンヂキ、ベースがボンボンではなく、ドラムがズドン、ギターがギュインだったら、「あれ、これって自分が思い描いていたジャズじゃない!」となり、「やっぱりジャズはよー分からん!」とジャズから遠ざかってしまう懸念があります。

事実、私もジャズに入門した際、ボブ・ジェームスという人の「名盤」がジャズの入門書に紹介されていたので、試しに購入してみたら、ベースがパキパキ、シンセサイザーがキラキラとしたサウンドがいきなり飛び出してきて、自分が思い描いていたジャズのイメージとは随分とかけ離れていたために呆然とした記憶があります。

もちろんボブ・ジェームスは優れた鍵盤奏者ですが、「フュージョン」というスタイルに転向した後のアルバムだったのですね。

今聞いても、個人的にはあまりジャズを感じません。

趣味の良いポップスって感じなんですが、それでも聞く人が聞けば、これも「ジャズ」ということになるのでしょう。

一般的な「いわゆる」ジャズ

もちろん電気楽器を中心に繰り広げられる、ボブ・ジェームスのような洗練されたスタイルの音楽も悪くはないのですが、「とりあえずジャズを聴きたくて」「ジャズを聴きたいんだけど何から聞けば良いのか分からなくて」系な人が求める「音の雰囲気」というのは、おそらくバーなどで流れるアコースティック楽器が奏でるムードある4ビートであると勝手に想像(妄想?)しています。

さながら、映画『イニシエーション・ラヴ』で、松田翔太と木村文乃がデートで訪れたジャズバーで演奏されていた《ディア・オールド・ストックホルム》のように。
このようなスタイルで演奏されたジャズおよびジャズマンを中心にセレクトし、紹介していこうと思います。

もちろん、マイルス・デイヴィスやオーネット・コールマンなど、活動歴が長く、積極的にエレクトリック楽器を導入したジャズマンに関しては、何枚かのエレクトリック楽器が参加し、リズムも4ビートではない演奏も紹介していこうとは思いますが、基本的には「モダンジャズ」「4ビート」「アコースティック楽器中心」を原則として紹介させていただきます。

そして、このブログで紹介したジャズの美味しさを味わうことが出来るようになれば、これより過去のデキシーランドやスウィング、あるいは、これより後の時代のフリージャズやフュージョン、現代のコンテンポラリーなジャズも楽しめるようになると思います。

まずは、このブログ、そして記事に貼り付けてある動画で紹介するアルバムの中からお気に入りの1枚を早く見つけていただき、少しずつ興味の枝葉を広げていただければと思います。