ニック・ブリグノラとペッパー・アダムスの『バリトン・マッドネス』を、ジャズ評論家たちはどう評価しているのか?!
『スイングジャーナル』1979年5月号に掲載されていたレコード評を読んだ動画をアップしてみました。
コメント
御駄賃取郎さんからのコメント。
このお二人のレコード評にこそ、私が粟村氏にはまったく信用も興味も感じてこなかったことが象徴されていると思う。そもそも、ジャズにめざめた当初、貪るように読んだのは油井さんの「ジャズの歴史物語」であった。私にとってはいわば「ジャズ総論」ともいうべき本でもありおもしろくておもしろくて何度も読んだくらいだった。
そのせいか、後からでた粟村氏の本にはどこか「焼き直し・2番煎じ」のような印象を持った。
おかしなたとえだが、最初にビートルズに大ショックをうけたビートルマニアの多くは、その後耳にしたストーンズにはどこか夢中になれなかった。モノマネに思ってしまった・・・。これはたぶん「相性」の問題があろうかと思うが、私には粟村氏は「肌があわない」?と強く感じてきた。
つまり「弱み」をみせない評論?なんざ興味がなかった。ペッパー・アダムスを生できいたのはサド~メル・オケの郵便貯金ホールでの来日公演だった。「切り裂きジャック」とのあだ名を持つアダムスには衝撃をうけた。タレントの「サカナクン」がバリトン奏者として別な顔をみせるが、アダムスの衝撃には及ばないと思う。
私はジャズに「正解」なんか無いと思っている。自分が好きだ!と思うことをとことんおいかけていけばいいと思う。
自分は評論家などではなく、単なる「愛好家」なのだ。自分にとってはジャズはあくまでも「好きか?嫌いか?」だけであるのだ。だが、悲しいことに(みんながいいよというから、むりやり好きにならなくては!)と思い込み必死に集め・聞いたパーカーこそ、自分にとっては「粟村さん」に感じる印象しかなかった・・・。
人力飛行機さんからのコメント。
ジャズの話からかなりジャズ指南は受けたんですが、今回の盤。Baritone Madness。動画の話聴く前に先にアルバム視聴してみて、いやあ迫力が凄いですね。バリトン・サックスって聴いたことなかったんだけど、音が太いそれが2本で速吹き。トランペットも突っ張る。加えてベースの音が際立ってる。ドラムもやはりジャズ・ドラムらしいドタドタ激しく。ベースはマイルスのロスト・クインテットでおなじみのデイブ・ホランド。ロスト・クインテットではイマイチ他の大物に隠れていた感のホランドがここではブイブイ尖ってる。中心のバリトンが何よりも太く激しく突っ走ってる。これは紛れもないSwing Journal認定GOLD DISC!いや間違いない。実際取ったかは知らない。しかしこの盤が取ってないならそんなGOLD DISCになんの意味があろうか。そうも言いたくなるほどの名盤でしょう。
正直バリトン担当のお二人。私はよく知りませんたしかに。しかしこの二人は素晴らしい。バリトン・サックスの音を最大限に生かしてる。そして引っ張っている。その気概と気迫。おみそれしました。いや私から主さんにかわって「ジャズな話認定GOLD DISC」贈呈いたします。間違いない。これこそがGOLD DISC取るべきです!
おっしゃる通り、良い演奏ですよね!
永井勉さんからのコメント。
Baritone MadnessのDonna Leeを最初に検索したのが
モノラル音源だったので少し雑多に聞こえたんですが
もしやと思い、検索したら他の音源はしっかりとステレオ音源でした。
いいじゃないですか・・・WWW・・速さとか上手さじゃ~なくて
この爽快感はカッコイイです・・・やっぱりロイ・ヘインズはいい仕事してるな~~WWW
そうそう爽快感!
いいですよね〜!
TAKESI0506さんからのコメント。
このような、同じレコードを油井さんと粟村さんに批評させて、その評価の違いを対比させるという企画は他にもあって、たとえば「サブコンシャス・リー」「ジャイアンツ・オブ・ジャズ」「プラグドニッケルのマイルス」などがありました。
サブコンシャス・リーとプラグドニッケルは両者共5星を付けて大絶賛でしたが、「ジャイアンツ・オブ・ジャズ」は評価は正反対でした。
このレコードはガレスピー、スティット、ウィンディング、モンク、ブレイキーというオールスターメンバーの71年のライブ盤ですが、油井さんは
『1970年代のJATP的レコードだがJATPシリーズにもこんな充実したセッションは見当らないであろう』と5星を付けて大絶賛ですが、粟村さんは、3星半の評価で、
『このグループそのものに対する受け取り方は人それぞれに異なると思うが、筆者個人としてはまあ好きでもなく嫌いでもなし、期待するまでもなくせぬでもなしといったところ。つまり結局は大して関心がないということなのだが、それはこのグループの成立の背景――功成り名逐げた巨匠達を公演の目玉商品として一堂に集めたといういきさつから考えても当然のことであろう』
という、あまり興味がなさそうな書き出しですが、続いて
『問題は同じような内容の同じような長さのバップ・ナンバーが4曲続く点で、連中がかなりラフにやっているだけに聞いてる方ではいささか疲れてちょっとあたりに目をやったり、目の前にある雑誌の頁の隅をつまんでみたりしたい気分になってくる。それというのも結局は彼等の演奏の先が読めているからなのだが、ここらはやはり時代の流れとでもいうべきか』
という調子で、このような功成り名逐げたベテランを集めたような演奏よりも、たとえ未熟であろうとも、伸びざかりの生きのいい若々しい演奏をより好む粟村さんの態度がよく出ていますね
私もこのアルバムに関しては、粟村氏の感想とほぼ同じですね…。
目の前で「体験」するのであれば全く違った感想を抱くのでしょうが(何せビッグネームばかりですから、演奏内容よりも、そういう人たちを目前にして、リアルタイムで生音を聞けるという「体験」に興奮すると思うので)。