すばらしきベーシスト ポール・ローレンス・ダンバー・チェンバース・ジュニア

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先日アップした動画「ウィントン・ケリーBEST5/ポール・チェンバースのブルース ウォーキング・ベース」(こちら)に、視聴者の皆さまよりいただいたコメントに対してのアンサー動画をアップしました。

コメント

MrNOBUchanさんからのコメント。

ポール・チェンバースからすれば、いとこに当たるダグ(ダグラス)・ワトキンスも素晴らしいベース奏者でしたね。27歳の時(1962.02.05)、チェンバースよりもずいぶんと早くクリフォード・ブラウンやスコット・ラファロなどと同様に交通事故で夭折してしまいました。リーダー・アルバムは二枚だけ。

彼も素晴らしいベースプレイヤーでしたね。
『サキコロ』にしろ、『カフェボヘミアのジャズメッセンジャーズ』のプレイにしろ、チェンバースとは違った重さと粘りが好きでした。

ハッピータンさんからのコメント。

自分は地味かもしれませんが、エバンスとラリー・バンカーとやってた時代のチャック・イスラエルが好きですねぇ。
ミンガスみたいなブンブン唸るベースではなく、流れるような紡ぎ方ですがベースらしい音だし一般的認知度含めて実力の割に低過ぎる評価に思えます。

以前アップした動画でも話したことがありますが、チャック・イスラエルもいいですねぇ。
▼チャック・イスラエルのベースが素晴らしい《ハイ・フライ》に注目!

sugaru islandさんからのコメント。

高野さん、お久しぶりです。以前トリスターノのコピーをベースとギターで再現しおりました、と書いた者です。

ロン・カーターは明らかにイノベーターです。そしてカーター以前にベース・ラインを鑑賞するためだけに聴く価値のある人がポール・チェンバースだと私は考えています。

また音が良いのはまったく同感で、楽器の鳴らし方もすごく上手いと思います。楽器の品質に左右されない確かな技術があった証拠ですし、その技術と音楽的アイディアがものすごく高いレベルでバランスしていたのでしょう。今夜はプレスティジ版のマイルスのマイ・ファニー・ヴァレンタインを聴いてから寝ます。ありがとうございました。おやすみなさい。

おお、お久しぶりです!

ロン・カーターの斬新な解釈(あるいは省略w)は、仰る通りイノヴェーターと呼ぶに相応しいと思います。

で、その礎となったベーシストこそ、私はチェンバースだと考えています。

個人的には、
パーシー・ヒース

ポール・チェンバース

ロン・カーター

という順番で、ベースラインが「とろけて」いったと考えており、「とろける」というのは、いわば「抽象度が増していった」ということなんですが、堅実なコードトーンから、少しずつ大胆なパッシングノートの使用頻度が増え、単なるビートを刻む伴奏係から、ソロ奏者やアンサンブル全体に刺激をもたらす触媒としても機能しはじめてきたと考えています。

詳しくは、「カフェモンマルトル」に「パーシー・ヒースこそ、モダンジャズベースの教科書なのだ」(こちら)という記事を過去に書いていますので、よろしければお読みになっていただければと。

また、楽器の鳴らし方の素晴らしさに関しても同感でして、チェンバースが使用していたウッドベースは聞くところによると単板ではなく合板だったのだそうで、ウッドベースプレイヤーからしてみれば、「単板のほうが高くて良い音」というのが常識なのですが、そのような通説を覆すほどの「楽器の品質に左右されない確かな技術」があったのでしょうね。

ヘッドの部分に女性の顔(?)の彫刻がされたベースをチェンバースは使用しているので、古くて由緒のある高価なベースを使っていたと長年思っていたのですが、もしかしたら、安価な楽器だからこそ、気軽に彫れたのかもしれませんね(笑)。

sugaru islandさんからの返信。

早々にお返事ありがとうございます。

 パーシー・ヒースは素晴らしいベーシストですね。私も大好きです。早速ご紹介のブログ記事を拝見しまして、全く同感です。私が好きな彼の演奏は、実はMJQのラストコンサートに収録されたソロです。理屈抜きに楽しいソロを弾いてお客さんのリアクションも素晴らしいものでした。もちろん名セッションマンでしたので、他にも感心するアルバムはたくさんありますね。実際に彼が参加した作品は名盤としてたくさん残っています。

 ビバップ以降はどの楽器もフレーズを「数学的」に作って組み合わせる面白さを学んだと私は考えておりまして、その中にあってベースのイノベーションは遅れたのでしょう。何しろ類を見ない「難しい」音楽でしたから、ベースの役割としても楽器の難しさという理由からも、ビバップにおけるベース奏法というものの開発は遅れたのだと思います。数学的なのだから当然抽象度が上がってくる訳ですが、そこに対応できたベーシストがなかなか現れない中で、少し遅れてハードバップ期のチェンバースが注目されたのだと思います。コード進行を因数分解すれば良い、というラインの作り方から一歩踏み込んで聴くに耐える、面白くて高品質なラインを紡いでいったのが彼の優れた点だと考えています。

 マイルス・クインテット時代のステージでのロン・カーターは司令塔の役割があった、と当時のメンバーの誰かが発言していたのを読んだ覚えがあります。カーターのラインのあの抽象度の高さはモードとその延長線上にあった当時のマイルスの音楽と親和性が高かったと思います。ウェイン・ショーターとの組み合わせも、あのクインテットの中では光っていました。個人的にはロン・カーターのユニークさを一番感じたのが、ジム・ホールとの「Alone Together」でした。もし私がカーターの隣でギターを弾いていたら、足元をすくわれてひっくり返されたであろうという面白いラインがいっぱいありました。もちろんまだ存命で活躍している人ですが、まだまだ素晴らしい演奏を聴かせて欲しいですね。

 長文、失礼いたしました。

おっしゃるとおり、まさに、ロン・カーターは、音程の微妙さ(笑)もあいまって、どんどん抽象度が高まっていくマイルス・クインテット(特にショーター参加以降)には打ってつけの人材だったのでしょうね。

『アローン・トゥゲザー』や、『ヴィレッジ・ウェスト』は、私も一時期「謎盤」として聴きまくっていた時期がありました。
これ、ベースはじめた初心者聞いちゃダメですよね(笑)。
聴けば聴くほどわけわからなくなるところがあるし、「これでいいの⇒そうか、いいんだ!」とロンの奏法を取り入れてしまったら、きっとジャムセッションで嫌われる(笑)。
でも、深まる謎を楽しむ気持ちで鑑賞するには、もってこいのアルバムだと思っています。
ジム・ホールのギターも素晴らしいですしね。

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