ダディ・プレイズ・ザ・ホーンとザ・リターン・オブ・ペッパー〜ジャズ批評別冊『ウェストコーストジャズ』より

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ジャズ批評別冊『ウェストコーストジャズ』の中から、かつて自分が寄稿した記事を2本読んでみました。

コメント

TAKESI0506さんからのコメント。

「ダディ・プレイズ・ザ・ホーン」のディスク・レビューと「リターン・オブ・ペッパー」のライナーノーツは共に粟村さんが書いてます。ディスクレビューは最高点の5星でした。

『デクスター・ゴードンが50年代に残した数少ないレコーディングのひとつで、かねてより、隠れたる名盤の評価を得ていたアルバムである。
 50年代におけるゴードンの不活発な音楽活動は、ご多分に洩れず、麻薬の弊害によるものであったが、55年の9月にゴードンの生地であったロスにおいて吹込まれた本アルバムや、2ヶ月後にドゥートーンに録音された演奏などを聴いてみると、そのころの彼は、不調どころか、60年代のややギスギスしたフレージンクや、70年代のいささか円満になり過ぎた大人ぶりとはまた違った、ハード・バップ風の、スムーズでありながらガッツを失なわない、豪放なスタイルで吹いていたことがよく分る。つまり、LP単位で言うならば、ブルーノート盤などよりも、むしろ本アルバムあたりを、テナー・マンとしてのゴードンの代表作に挙げたいような誘惑に駆られるのだ。ただ、皆が仲々そう言わないのは、バップ・エイジをリードしたという過去の実績に照らしたとき、イースト派の後進達から逆影響を受けたと見做される、この期のプレイについての判断が、どことはなしに引っかかって来るからだと思うのだが、この手の矛盾は正直言って、どう割切ってよいものやら、筆者にも分らない。まあ、度胸を決めて、最高点を献じておく』

リターン・ペッパーのライナーノーツでは、カムバック前と後ではどちらをとるか――という話題に関して書いてます。

『長らくジャズ界から消息を絶っていたアート・ペッパーが、75年に「リビングリジェント」を吹き込んで第一線にカムバックして以来、わが国のジャズ・ファン――というよりジャズ・ライターたちは――はっきりと二つの異なった意見に色分けされることになった。即ち現在の演奏を以て彼生涯のピークと見るか、あるいは50年代に吹込まれたいくつかの作品の中にいまなお最良のペッパーを見出すかのどちらかである。筆者個人のに関して言えば、ペッパーのアルト・スタイルの原型は、いまなお50年代のそれと変わりはないと思うし、無理に今様のバリエーションを付け加えたような昨今の演奏には、前進意欲や凄みよりも、むしろ虚しさ軽薄さを感じるが、その点についての議論は、最後は「私の耳にはそう聞こえるのだ」という一言で打ち切られることが予め判っているから改めて蒸し返すのはお互いに愚であろう。ただここでどうも困るのは、現在のペッパーの演奏を指してベストとする人々が、とかく自説に拘泥するあまり、「いまのペッパーの良さが理解出来ない人は、彼の音楽を語る資格がない」風に結論を飛躍させ勝ちなことであって、このあたりの彼我の意見の違いを折衷させながら聞く度量がなければ、音楽に接する楽しみなど、あったものではないと思うのだが如何であろうか』

「ダディ・プレイズ・ザ・ホーン」のジャケットは私のもっとも好きなジャケット・デザインのひとつです😉

たしかに、このジャケットいいですね〜。

>ハード・バップ風の、スムーズでありながらガッツを失なわない、豪放なスタイル
ふむふむ、その通り。言い得て妙ですね!

>無理に今様のバリエーションを付け加えたような
これも言い得て妙ですね!

>とかく自説に拘泥するあまり、「いまのペッパーの良さが理解出来ない人は、彼の音楽を語る資格がない」風に結論を飛躍させ勝ちなこと
Iさんのことですねw

まあ「揺り籠から墓場まで付き合ってこそ」論や、「人間性(意気込み)も聞かないとダメ」論もわからないではありませんが、マニアや評論家ならともかく一般のファンは、全部のアルバムはなかなか追いかけきれませんし、私もそうなのかもしれませんが、人間性とか私生活には興味があまりなく、ディスクに封じ込められた音源のみに惹かれたり、好きになったりする人もいると思うんですよね。もちろん、好きになれば、人間性や人生に興味を持つこともありますが、やっぱり全てがそうというわけではなく、例えばスタン・ゲッツやチェット・ベイカーの演奏、アルバムは好きなものが多いのですが、彼らの足跡を丹念に追いかけた伝記を読むのって、結構骨でしたし、生き様にも共感できるところは少なかったです。

これはジャズマンに限らず、他ジャンルにおいても同様で、例えば坂本龍一に関しては、小学生の頃から大好きなミュージシャンで、アルバムもほぼ全て揃えている(はず)なのですが、だからと言って、彼の思想や運動、活動の全てに共感しているというわけではないですから。

「音楽が好きなら、そのミュージシャンのことは全部好き」。
これって、やっぱり無理があるのではないかなぁと思っています。

御駄賃取郎さんからのコメント。

中学校の頃の友人に「父ちゃんは海軍のラッパ吹きだった・・。」という作文を発表会の場で読み上げた男子生徒がいたが、わしは(かっこええ話やな~!)とうらやましかった。今ならそんな話「ホラ話・与太話か?」くらいのモンだろうが、いやいや!「ダディ・プレイズ・ザ・ホーン」とはまさにこのことであるなあ!^^

雲さんのジャズ雑誌への寄稿文は初めて聞かせていただきましたが、当時から?割と?「正統派・正調派」だったのですねえ?笑  そういえば、あのうんこりん?あ??ゆうこりんさんがしきりと「うんこジャズ批判?」をされておられるようですが、本来の正統派・実力派があれだけ「うんこ、うんこ!!」を連呼するならいっそ名前も「うんこりん」にしたほが、いぐねか?爆v


2024年10月19日