先日、ジャズ評論家、粟村政昭氏の『クール・ストラッティン』評を紹介しましたが、今回は、高校生の『クール・ストラッティン』評を紹介してみようと思います。
私のYouTubeチャンネル「ジャズの話」の熱心な視聴者、早春さんが、昨日ソニー・クラーク、および『クール・ストラッティン』評をコメント欄に投稿してくださったんですよ
⇒こちら
これがまた秀逸で、こんなアルバム評、いままで見たことがないと言っても良いくらい、なかなか新鮮で読み応えのある内容となっています。
粟村政昭氏が書いたのは昭和42年(1967年)。
早春さんが書いたのは令和4年(2022年)。
じつに半世紀以上!
55年の開きがありますが、同じ題材でもぜんぜん取り上げる切り口、内容が違います。
まあひとくちに時代が違うといってもよろしいのかどうかは置いておき、明らかに両者がジャズアルバムの紹介文を書くにあたってのスタンス、眼差しの方向性は違いますよね。
なかなか興味深いです。
そのことについて語った動画がこちらです。
コメント
博 橋本さんからのコメント。
令和四年 早春さんの『クール・ストラティン』評に五つ星半 !!!
何度でも読み返したくなります。
雲村長の朗読に四つ星半^_^
素晴らしいですよね。
博 橋本さんからの返信。
早春さんのブログも拝見させて欲しいです。
以前、カーティス・フラーの『Vol. 3』を聴いてソニー・クラークに開眼と聞きました。
そんな話ももう少し聞いてみたいと思いました。
勉強の邪魔は致しません^_^
御駄賃取郎さんからのコメント。
早春さんすばらしい!です。今の若い感性で語られるクール・ストラッティンはとてもすばらしい!と思います。新主流派→新伝承派 (すべて英語の直訳で)モダンジャズを生きながらえさせてきたSJ誌でしたが(次は何?・・・新伝書鳩派か?)と思いつつ、こうした「古き器に新しい酒」の如き新鮮な解釈をみるとジャズはまだまだ捨てたモンじゃあないよなあ?とうれしくなります。私はサキコロとグローバー・ワシントンの「ワインライト」をワンホーン・ジャズの傑作として時代こそ違え名盤だと勝手におもっていますが、メインストリーム派の「お通さま」からは完全に無視されてきました。^^; しかしこうして早春さんのような「若い力」を拝見すると4ビートジャズ再考・再発見はアリだなあと感じました。(^^)
「新伝書鳩派」と「お通さま」に爆笑してしまいました🤣
早春さん⇒博 橋本さん
ありがとうございます。私もVol.3 は大好きな、一時期毎日聞いていたアルバムでもあるので、機会を見つけてブログに書いてみようと思います。
早春さん⇒御駄賃取郎さん
家庭環境の問題から今の感覚かは自身がないですが(汗)、お褒めに預かり本当に嬉しいです。
博 橋本さん⇒早春さん
楽しみにしています♪
御駄賃取郎さん⇒早春さん
私のような余生のすくないジジイはお世辞なんかいいません。(笑)あくまでも好きなものを好きなように追いかけてくださいね!^^事実この「クール・ストラッティン=UFO説(みんなが信じれば実在するようなもの・・」と考える私でさえ(おお!数十年ぶり(オーバーだね)に聴き直すかなあ?)と思わせるに十分な説得力を感じました。
高松貞治さん⇒早春さん
早春さんの出現で、日本のジャズ界の未来は明るいです!クール・ストラッティンについてここまで語れる若い人は多分あまりそうそうにいませんよ!
早春さん⇒御駄賃取郎さん
本当にありがとうございます!新伝書鳩派、過去から現代へ飛べるよう(恥ずかしい…🤭)精進致します故、今後とも宜しくお願いします!
早春さん⇒高松貞治さん
嬉しいです😌。ありがとうございます!
高松貞治さんからのコメント。
また今度のジャズ批評も買わせてもらえます。高野雲さんの書く内容は大体わかるのですが、私が気になるのが、アート・ファーマーのスウェーデンの未発表音源です。これを誰かに取り上げてくれないかなと思います。今アマゾン見たら品切れみたいですね
ドラゴンレコーズから出たライヴのやつですね。
あれはまだ未聴なんですよ。
たぶん、どなたかが取り上げているとは思いますが……。
早春さん⇒高松貞治さん
ありがとうございます!
早春さんへ
早春さんのブログを読みたがっている方が多数いらっしゃいます。
よろしければ、皆様にお披露目してあげてください。
まだ、GoogleにはキャッシュされていないようなのでURLを貼っておいてあげると、明日からアクセス急上昇かも?
早春さんより。
高野さん、皆さんありがとうございます。本当に嬉しい限りです。少々言いにくいのですが、実はこの文章には原文がありまして、私のブログの記事に手を加えてコメントさせて頂きました。文体が多少変わっていますが、内容はほとんど同じです。
高野さんの動画のコメント欄で紹介していいのか否か怪しい気もするのですが(笑)、遅ればせながら私のブログ、「数奇者珍道中」のリンクを貼らせてい頂きます。Google で検索してもおそらく出てこないと思うので、こちらからお願いします。ツイッター(アカウント名は“想春”です)でも随時更新しています。新参者の若造が粋がって書いた文章ですので、拙いものもあるかと思いますが温かい目で読んでいただけると嬉しいです。今後とも宜しくお願いします。数奇者珍道中 : https://yncsnolark3163.wordpress.com
TAKESI0506さんからのコメント。
悠雅彦さん執筆の「コンテンポラリー・リーダーズ/ソニー・ロリンズ」のライナーノーツには次のような記述があります。
このすぐれた演奏をまったく認めない人も世の中にはいるということを、粟村政昭さんの名著の誉れ高い「ジャズ・レコード・ブック」に発見して、愕然としたことがある。コンテンポラリー盤に関する氏の一文は、〈ロリンズの最高作はズバリ言って『サキソフォン・コロッサス』と『ウェイ・アウト・ウエスト』の二枚〉で始まる。この明快な出だしとこれに続く斬れ味鋭い評文に感心しながら読みすすんでいったとたん、土壇場でちょうど平手打ちをくらったような痛い思いを味わわされたこのときの驚き。ジャズ演奏の評価がときには人によって正反対になるという、最初の経験がこれだった。そこには、次のようにあった。〈『コンテンポラリー・リーダーズ』はほめる人も多いので何度も聴いてみるのだが僕には一向にその良さが判らない〉。ここでとめておいてくれればまだ納得しえたかもしれないが、しめくくりの一節はなりたての一本気なジャズ・ファン、それもこのアルバムに感動し、ここでのロリンズに執心している幼いファンを怒らせるに充分だった。曰く、〈甚だ品位に乏しい作品である〉と、このアルバムを斬って棄てていたからである。粟村さんの本著は名著だと今でも思うし、実際この一冊から教えられた点は測り知れないが、しかし本作に対するこの評価だけは断じて認めがたいことだった。この点は今も変わりない。
氏にいわせれば〈品位に乏しい〉いやらしさや猥雑性こそ、黒人音楽をユニークなものにしている重要な要素であり、それを認めないことは黒人文化全般における伝統的特質を否定することにつながりかねない。ある人々には〈品位が乏しい〉ようにみえるこの猥雑さが、ここでのロリンズの大きな魅力なのであり、いかにこのときの彼がリラックスしてあけすけに物をいっていたかを物語っている。つまりそれだけロリンズの人間味がストレートに出たことを意味する。この生なましい情動性を好むか否かで、粟村さんとぼくの場合のように評価が分かれてしまうことになるが、このアルバムのすばらしさはまさにロリンズの人間臭さが悪びれもせず生なましく出た点にある、とぼくは考えている。言いたいことをズバズバ言いながら、粟村さんに対する敬意も感じられて、さすがは鍵谷先生公認の悠雅彦さんと感じます😅
世評は高いのに粟村さんが認めなかったレコードとしては他にケニー・ドーハムの「静かなるケニー」があります😇
またまた面白い資料をありがとうございます。
『コンテンポラリー・リーダーズ』に眉をひそめる粟村さんって、こんな感じ?
恋したアイドルに清楚でお淑やかなイメージを抱いていたら、不倫スキャンダルが発覚! しかも過去には2人の男と付き合っていた。
ちきしょう、俺が惚れたロリ子ちゃんはそんなビッチじゃねぇやい! 下品だぞー、品位にかけるぞー!みたいな(笑)。
あるいは、
いつも上品なお嬢様役ばかりをやっていた女優が、大胆にも濡れ場のある映画に挑戦!
うーむ、この作品はいつものあの人ではない。
何度も鑑賞したのだが僕には一向にその良さが判らないのである。
そう言っているように聞こえます(笑)。
つまり、『サキコロ』や『ウェイアウト』などの作品を聴いて、自分の中で(勝手に)築き上げたロリンズ像とは違うと主張しているように感じられますね。
虚像に恋して虚像に裏切られる。
恋にオクテな生真面目なコジラセ男子にありがちな傾向なのかもしれませんね😏
TAKESI0506さんからの返信。
そうですね😅
昔のスイングジャーナルに「僕の青春時代」という連載物があって、いろんな寄稿家が自分の青春時代を語ってますが、粟村さんの青春時代にはこのような記述があります。
「中学3年の時、無法な政府の方針によって男女共学が実施された。僕は女の子と机を並べて勉強することが訳もなく嫌で、その後の4年間、高校を卒業するまで、公用以外にクラスの女生徒とは一切口をきかなかった」岩浪さんの青春時代には
「高校2年の時、学制改革で学区制がしかれ男女共学が実現した。ぼくのこれまでの生涯で、こんなに嬉しかったことはほかにない。女性と共に学べる(遊べる?)なんて、なんというしあわせ。ぼくの青春はこの時からはじまったようなものだ。その日から学校へいくのが楽しくなり、毎週手帖の片隅に好きな女生徒のベスト・テンを書込んだりしたものだ」
となっています😀お二人の人間性の違いがわかるような気がしますが、粟村さんのこのような人柄は、ジャズの好みにもよく出ているような気もします🥲
面白い!
またまた貴重な資料ありがとうございます。
このお二人、ものすごく対照的ですね(爆笑)。
特に、岩浪さんの人柄が、文章から滲みでまくっているw
何度かお会いしてお話したことがあるのですが、まさに、このような文章が体中から常ににじみ出ているような(?)、そんな大らかなお方でした。
TAKESI0506さんからの追伸。
岩浪さんの青春時代には、次のような続きがあります😊
昼になると女生徒から家庭科の時間に作った料理の差し入れがあり弁当がいらないので助かった。飯が生煮えだったことは問うまい。また教科書を忘れると隣りの女性と机をくっつけて勉強することができた。ぼくがしばしば故意に教科書を忘れて仲よく女性と机をくっつけて勉強したことはいうまでもない。しかし、高校2年で突如男女共学になったので、混乱がなかったわけではない。ラブレターが飛び交い、卒業後何組も同級生同志の結婚が生れた。ぼくなど片思いの恋の連続だったが、三角関係(といっても高校生だから他愛ないのだが)で友人に決闘を申し込まれ、深夜の校庭で対決したこともあった。しかし多感な青春時代にこのようなスリルに富んだ学校生活を送れたのはこの上ないしあわせだったといわなければなるまい。
レコードコレクションに対して、岩浪さんは
レコードは日本盤、輸入盤、傷あり、疑似ステレオ、なんでもOKだ。あまり細かいことを言うなら買わないほうが良いという考えだ。
という記事を読んだ記憶がありますが、一方、粟村さんは
僕は愛聴盤のコモドアのビリー・ホリデイを、出来得る限りの良い音質で聞きたいために、10インチに始まって外盤日本盤を含めて、計10度も買い直して来たが、こうした出費を少しも惜しいとは思っていない。レコードは、買えばいい、鳴ればいいというものではないと思う。二級品をたくさん買い込んで枚数を増やす資力があったら、一級品の最上のものを手許に置くべく努力すべきだというのが、私流のコレクション哲学である。レコードコレクションの姿勢にも、お二人の違いが現れていて面白いですね😉
いやぁ、モロに性格や生活(?)が評論にもハッキリと出ていますよね!
めちゃ面白い!
ありがとうございます!
粟村さん、厳格ぅ~! わしゃ無理。リアルじゃ絶対友達になれないタイプだわ~。
ま、向こうから願い下げだわっ!でしょうが。
それに比べて岩浪さんったら(笑)。
ますます好きになったわ(爆笑)。
ときどきトンチンカンなこともお書きになられていたような気もしますが、それをもぜーんぶひっくるめて好きになったww
やっぱり人間出るなぁ、評論には。
TAKESI0506さんからの返信。
そうですね😅
以前にも書き込みましたが、粟村さん行きつけのレコード屋さんによると、礼儀正しく親切な人であったということでしたから、かなり誤解されやすい面もあったのかなと思います。
岩浪さんは、粟村さんとの確執があり私も誤解していた面がありますが、もし生前お会いしていたらまったく印象が替わっていたことでしょう😊
>岩浪さんは、粟村さんとの確執があり
今回投稿していただいた過去記事読めば読むほど、確執はわかるような気がします。
表面的にはジャズに関しての対立なんでしょうけれど、根っこの部分は相容れない人間同士のバチバチなような気が。
>礼儀正しく親切な人であった
お子さんがいらしたかどうかは分かりませんが、もしいたとしたら、家では滅茶苦茶厳格な父ちゃんだったりして。
厳格な父ちゃんといえば、思い出すのが、寅さんの渥美清。
箸の上げ下げや茶わんの持ち方など、食事のマナーなどに関してはかなーり厳格な父親で、よく殴られていたと息子さんがカミングアウトして一時期話題になりましたね。
それをやっちゃぁおしめーよ!なんて言われてバシッ!だったんでしょうかね。
TAKESI0506さんからのコメント。
粟村さんがスイングジャーナルのレコード評を担当するようになったのは67年からですが、それ以前の岩波編集長の時代から寄稿はしていて、はじめは関係良好であったのかなと想像してますが、その後いろいろなことがあったのでしょう😅
渥美清といえば、西の喜劇界の大御所、大村崑さんの息子さんへのスパルタ教育も聞いたことがあります。このような喜劇系の人には気難しい人が多いようですね。
故いとし、こいし師匠が「私たちが若い頃、お笑い界の先輩には怖くて近寄ることもできなかった」とテレビで言っておられました🥲
「元気ハツラツ、オロナミンC!」の人ですよね?
あの人も厳しかったんだぁ。
サンジョルディさんからの投稿。
【知らないと言えないジャズ好きご隠居と、すぐ聞きたがる熊さんの会話、あるある】
熊「ご隠居、ソニー・クラークの『クール・ストラッティン』が、ジャズ喫茶でかかると、お客さんが一斉に歌い出した、というのは本当ですかい?」
ご隠居「相変わらず、<藪から棒>じゃのう。そのエピソードは、60年代初めらしいのう。さすがに、60年代後半は、なかったようじゃが」
熊「まるで、50年代の<歌声喫茶>ですねえ」
ご隠居「そうじゃ。60年初め頃に20歳の世代は、1940年前後生まれ。言わば、<歌声喫茶・名曲喫茶&ジャズ喫茶世代>じゃ。歌声喫茶のロシア民謡、名曲喫茶のクラシックに影響を受けつつ、さらに50年代後半のラテン音楽ブームの洗礼を受け、ジャズも聴き出した世代じゃのう。おお、ちょうど隣町の<てらさん>の世代じゃの」
熊「道理で、ラテン音楽や美メロが好きなはずですねー」
ご隠居「そうじゃ。<ラテン嗜好>じゃから、『クール・ストラッティン』の中でも、ラテンテイストの「ブルー・マイナー」を好む傾向にあるの。
また、<メロディ嗜好>じゃから、レコードでいうB面の「ディープ・ナイト」も好むようじゃ。まあ、あくまでわしの肌感覚じゃがの。
60年前後は、ブルーノートも輸入盤しかなく、値段も高かった…まあレコード自体高い時代じゃった。だから、主にジャズ喫茶で、<みんなで>ジャズを聴いた世代じゃのう」熊「じゃあ、横丁の<ごっちゃん>の世代は、どうなりやす?」
ご隠居「あの世代は、1950年前後生まれ、ジャズ喫茶&レコード世代じゃの。彼らが20歳の70年前後は、ブルーノートのレコードも国内発売されていたので、自宅でレコードを聴くことが増えてきている。この世代は、家でレコードを何回も聴くから、曲の雰囲気だけでなく、<ジャズマンの個性>の方により耳が行く。アドリブの<聴き比べ>も容易にできると思うようになる。言わば<フレーズ嗜好>じゃ。『クール・ストラッティン』では、各ジャズマンのフレーズの個性を中心に聴き取るのう」
熊「するってぇと、1960年前後生まれは?」
ご隠居「<レコード&カセットテープ世代>じゃ。家ではステレオでジャズやクラシックを聴き、車の中ではカセットテープでハードロックやヘヴィメタルを聴く人々が出てくる。言わば<リフ嗜好>で、クール・ストラッティン』も、<カッコいいリフ>として聴くと思うがの」
熊「『クール・ストラッティン』の聴き方も、世代の違いが出ると言うことでやすね?」
ご隠居「しかしのう、世代を超え、<日本人のDNAに組み込まれた嗜好>もある。ここが肝心じゃ。
おっと、今日は、茶の湯の会があるのでな。この辺で」
隣町の<てらさん>😆
横丁の<ごっちゃん>🤣
的確すぎる分析、おそれいります!
本人たちが見たらどう思うことやら😂
サンジョルディさんからの返信。
あくまでパラレルワールド・江戸の住人のお話ですからー😙
私がパラレルワールドの江戸に登場するとしたら、
ボッタクリの雲助ですな(笑)。
サンジョルディさんからの返信。
<ボッタクリ>は、ないですよー😅
御駄賃取郎さん⇒サンジョルディさん
上手いっっっっっ!!!!!サッスガ本格派!立川一門マッ青!!立川談志をかる~~く超えたあっ!ざぶとん好きなだけもってけ~~~~!\(^o^)/おそれいりやの御駄賃取郎めっ!??m(__)mv(笑)これぞジャズフアンの鏡だ~っ!
早春さんにしろ、サンジョルディさんにしろ、ここには、けっこう末恐ろしい才能が集まってきているような気がする今日この頃です💦
サンジョルディさんからの返信。
<ボッタクリ>は、ないですよー😅
御駄賃取郎さん
江戸っ子ですねー😉
博 橋本さん⇒サンジョルディさん
趣味:レコード鑑賞(絶滅危惧語と言えましょうか?)
サンジョルディさん⇒博 橋本さん
立派な趣味、ですー😆
Hiromi Hasegawaさんからのコメント。
ジャズ評論家以外のジャズ評論で言えばオーディオ評論家の故岩崎千明氏が1972年にStereoSound誌に掲載された「変貌しつつあるジャズ」という文章で”Bitches Brew”について論じています。長いので思いっきり意約すると
「Jazzは単一音源としてのソロによる聴者との対話であり、大編成でのアンサンブルもこの基本構造のうちにある。(氏は書いていませんがソロ/バッキングという前後関係のモノラル的音楽空間)そうした点音源ソロに慣れ、期待している耳に”Bitches Brew”はいかにも聴きごたえがない。しかし常に複数の楽器が絡み合うヴァイタルなサウンドへの指向は “Miles Ahead”から始まっており唐突に出てきたものではない。(氏はそれをクラシック的手法と呼んでいますが)同じようにステレオフォニックな音楽空間を意識させるものとしてチャーリー・ミンガスある。」
要は「エレクトリックかどうかは本質的な問題ではない」「伏線があるんだ、気が付けよ」「”Bitches Brew”は聴者の態度の変容を迫るもの」ということでしょうか。岩崎氏はエンジニア出身で評論自体の真偽はともかく論理的で「再生技術とJazz」という視点で個人的には読んでいて気持ちよいです。
素晴らしいですね!
その通りだと思います。
カレーと肉じゃが。
構造的には一緒じゃん?と捉えられる人と、
そうでない人と分かれそうではありますが、
前者のタイプには、きっとスッと染みてくる分析だと思います。
Tetsuo Nambaさんからの投稿。
音楽家 James Mtume とジャズ評論家 Stanley Crouch の対談動画です。
⇒Composer James Mtume Destroys Jazz Critic Stanley Crouch in a Debate about Miles Davis.mp4
⇒Part 2: Composer James Mtume Destroys Jazz Critic Stanley Crouch in a Debate about Miles Davis.mp4電化Milesに対する様々な評論家たちの批判に、Mtumeがことごとく反論する痛快動画です。観客も味方につけたので、後進のミュージシャンに対するMilesの影響はないというCrouchの主張は、客席からの質問攻めにあいボコボコにされます。
オマケとして、最後に Miles のポリリズムの解説があります。
英語がわかる人、どうぞっ!
しかし、
>後進のミュージシャンに対するMilesの影響はない
なんで、評論家がそう断言できるんかね?
ミュージシャンが「オイラは影響受けてないよーん、仲間も影響受けているやつはいないんじゃないかな?」というならともかく。
Tetsuo Nambaさんからの返信。
ジャズに限らず、トンデモ音楽評論家はどこの国にもいますね。
まぐまぐさんからのコメント。
評論家はあてにしてませんw 昔から ずっと あてにしてませんw
自分の感性と似ていると思える 言葉 文章があれば たまに参考にするだけですw
あくまでも 自分の感性が主人公ですw
ジャズを聴くことは あくまでも趣味なんですから・・・
他人の意見は ほっといてくれとしか 思いませんw
ただ ここで声を出す人たちは 面白い人たちが多い・・・ それこそ 素人さんの方が ずっとジャズに素直に向き合っていると思います!
御駄賃取郎さん⇒まぐまぐさん
まぐまぐさんのご意見に完璧に同じく全面的に賛同いたします。親ばかの人は普通に大勢いますが、自分の女房を自慢する人は余計なお世話ですよね。(爆)ただここでの意見はまさにおもしろく、リアリティを私も感じています。
尚樹 安藤さんからのコメント。
早春さんのクールストラッティン評にメガホン持った監督はジャーンプどころか、脱帽しておじぎして欲しいものです。フィリージョーに集中して、また聴き返します。また楽しめそうです。ありがとうございます。
早春さん⇒尚樹 安藤さん
おそれ多いです。ありがとうございます!
MrNOBUchanさんからのコメント。
粟村政昭さんの著書は、私も一冊持っています。「モダン・ジャズの歴史」(SJ刊昭和52年8月25日初版発行、著者のあとがきは昭和52年4月、SJ誌に著者が投稿した文章を中心に編集したもの)で、末筆に当時のSJ誌児山紀芳編集長、淡谷孝次編集主任、そして校正を担当した市川正二氏への謝辞が述べられています。ビバップ~クール~ウェストコースト~ビバップからハードバップ~フリーまでを記述したもので、400ページを超える大著なんですが、ソニー・クラークの名は全く出てきませんでしたね。
私がこの書で最も面白かったのは、私をジャズに導いてくれたモダン・ジャズ・カルテットの、草創期における生臭い話を遠慮なく書いてくださっているところでした。
MJQ草創期の生臭い話ですか、
ちょい興味あり♪
TAKESI0506さん⇒MrNOBUchanさん
モダンジャズの歴史を取り上げていただいてうれしいです😇
この本は粟村さんの好みが色濃く出ていて、ビ・バップからクール、ウェスト・コーストジャズあたりに特に力を入れて書いておられるのが感じられます。既にご存知かもわかりませんが、スイングジャーナルに載った油井正一さんの書評を載せておきます。
書評「モダン・ジャズの歴史」
粟村政昭君の格調高い名文によって描き出された「モダン・ジャズの歴史」は、本紙連載中から読者を魅了し、僕を含めたライターを啓発してきた。今ここにまとめられて一巻としたものを読了し、やはり世界に冠たる一冊の本が生まれたという感が強い。
“歴史”という言葉につけられる冠詞はきまって“a”という不定冠詞が用いられる。“a History”で“the”ではない。歴史的事実はひとつしかないが、記述者によってまったく違った見方が生ずるためであろう。その意味でこれは傑出した「粟村政昭によるモダン・ジャズの歴史」である。
寝ころがっても通読しても、どんな初心者が読んでもスラスラ頭に入る簡潔な文章であり、その意味では“入門書”に入れられてよい本のように思えるし、まるで教科書のように無駄のない記述ではあるが、一皮めくれば実に含蓄に富む本なのである。これが含蓄にとむ本だとわかるためには、少なくとも五年以上、ジャズに身を入れる必要がある。早い話が、ポンポン飛び出してくるレコード引例にしてもレーベル名すら書かれていない場合が多い。「例えば、48年の7月に吹き込まれた〈Misterioso〉のオリジナル版を聴いてみるとよい」といわれても、初心者がこのレコードを探しあてるのは容易でないはずだ。どうしてこれだけの良書に脚注を一切つけていないかが不思議である。そればかりでなく使われている言いまわしのひとつひとつに20数年に渡り熱心に文献に目をとめ、レコードを暗誦するまで聴きつくした著者のウンチクがこめられているので、年を経て読みかえすことにより、はじめて「ああ粟村さんはこれを言っていたのだな」と改めて納得できる個所が至るところに出てくるに違いない。
ファッツ・ナヴァロに関するくだりなど、何気なく読んでしまえばそれまでだが、これほどこの夭折したトランペット奏者に愛情を捧げた文章はかつて読んだことがない。
他にもレスター・ヤング、レニー・トリスターノなどに対する歴史的に明確な位置づけ――とにかく徹底的に聴いている。聴いた上で知的に整理している。整理された結果だけを実に簡潔な表現で(昭和ヒトケタとしてはやや伝統的な文体で)書きあらわしているので、実の話、この本をテキストとしてエンエンたる講義が出来るほどだ。僕ならばモダン以前のジャズをもっと多く引用して、歴史的コントラストを作ることに精を出すところだが、粟村君はほとんどそれをやっていない。やっていないのは知らないからではない。彼の昔のジャズに対する知識は、誰にもひけをとるまい。やらなくても明確に説明できるからだ。昭和二十年代の初心者時代、彼が唯一の手引としたのは僕のジャズ放送だという。とすれば、これは立派に出監のほまれだ。
また文中に彼が心から尊敬し続けた野口、牧両氏からの良き影響が散見されるのも微笑ましい。
油井正一
博 橋本さん⇒TAKESI0506さん
今回も補足を超えての貴重な資料のご手配、とても嬉しいです。
有り難うございます。
MrNOBUchanさん⇒TAKESI0506さん
ありがとうございます!
SJ誌その他ジャズ評論誌を去来したあまたの評論家諸兄、それぞれ好み・切り口・押しメンこそ違え、皆さんの健筆により、かつて私も大いに勉強させていただきました。
油井氏、野口久光氏、牧芳雄氏、大和明氏、粟村氏、岩浪洋三氏、いソノてルヲ氏、久保田高司氏、軒口隆策氏、佐藤秀樹氏、岡崎正通氏、悠雅彦氏、小川正雄氏、杉坂至氏、後藤雅洋氏、寺島靖国氏・・・そのほか挙げ切れませんが、各氏による鋭意の評論に接することで、新たなジャズの地平に目を開かれました。
ジャズのコレクションは、まずは波長の合う評論家を見つけ、その人物の押しメン・押しアルバムを集めることから始まるのでは、と思っています。
TAKESI0506さん⇒MrNOBUchan&博 橋本さん
ありがとうございます。
私は、粟村さん、大和さん、瀬川昌久さんの三人を特に信頼していましたが、70年代に親しんだ寄稿家の方々がほとんど逝去されてしまって本当に淋しい思いをしています。
博 橋本さん⇒TAKESI0506さん
有り難うございます。このところ毎日が高校の部室で友人達とスイングジャーナルに見入っていた頃に嬉しくワープしています。
サンジョルディさんからのコメント。
【知らないと言えないジャズ好きご隠居と、熊さんの会話、あるある その2】
熊「ご隠居、『クール・ストラッティン』に対する日本人の国民性っていうお話でやしたね」
ご隠居「お前さん、いつだったか、黒鍵の話をしたね」
熊「へえ。『クール・ストラッティン』や『モーニン』が、フラットをよく使うという話でしたね」
ご隠居「『クール・ストラッティン』は、ドミソで言うと、ド・♭ミ・ファ、ファ・♭ラ・♭シ、ド・♭ミ・♭ド・♭シ・♭ラ・ファー、とフラットだらけじゃの」
熊「それが、日本人が大好きなマイナー調なんでげすね」
ご隠居「まさにそうじゃ。じゃが、もう一つある。<拍>じゃよ。熊さん、冒頭を歌ってみておくれ」
熊「タラタ、タラタ、タラーリラタラー。おっ、3・3・6拍ですな」
ご隠居「そうじゃ。休符や伸ばしを入れると、タラタん、タラタん、タラーリラタラー、と4・4・8拍とも言える。「炭坑節」や「さくら」、「パプリカ」の冒頭も似ておるのう」
熊「応援の時の3・3・7拍子というのもありやすね」
ご隠居「そうじゃ。「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のリフもじゃ。もちろんクラシックなどにもあるがの。『クール・ストラッティン』の冒頭のこの拍数が、まさに日本人の琴線に触れたのじゃろう」熊「なるほどねえ。ところで、アルフレッド・ライオンは、ソニー・クラークのテープの箱か袋かに「このピアニストは、何らかの理由で、日本で人気がある」とメモしたらしいですが、あれは…」
ご隠居「おっと、もうこんな時刻か。ちりめん問屋の旦那のお宅で、義太夫のお披露目会があるのでな」
気付かんかった…😲
サンジョルディさんからの返信。
それは光栄ですー😆
書き忘れましたが、キューピー3分間クッキングのテーマも、この<4・4・8拍>的です。
Jさん⇒サンジョルディさん
ははあ~ そういうことなんですか 昔 家にLPレコードであったはずのアンヨ 誰かにやって ないため オ~ cd あった
聴くとなかなか いいじゃん~ 久しぶりだとよけい~
博 橋本⇒サンジョルディさん
ブラバン時代「さくらン・さくらン・やよいのそらはン」と四小節をカウントしていました。
サンジョルディさん⇒博 橋本さん
やっぱり、そうなんですねー😃
サンジョルディさん⇒Jさん
<久しぶり>ぐらいが、丁度良いのかも知れません😌
博 橋本さん⇒サンジョルディさん
「カラス,ちゃん ・ ナゼナクノ,ちゃん ・ カラスハヤマニ,ちゃん,ちゃん,ちゃん」という四小節も有りました^ ^ 皆無言で頭の中でそんなことしてたかと改めて思うと爆笑しそうです(^ ^)。
Jさん⇒サンジョルディさん
おっしゃる通り🌙
サンジョルディさんからの返信。
しつこいようですが(笑)、五木ひろしの「よこはま・たそがれ」や吉田拓郎の「旅の宿」も、<4・4・8拍系>の曲です😃
Tommy Jobimさんからのコメント。
早春さんのコメントはお見事です。今時ジャズ好き高校生がいるとは心強いです。なお、粟村正昭氏の50年前の評論に対して、ディスるのは、フェアではないでしょうか。
「クール・ストラッティン」は、日本人好みのソニー・クラークやアート・ファーマーが演奏したリラックスした、初心者向けにいいアルバムだと思います。私的には、星4つですかね。(ジャケットのデザインは星5つ)演奏自体は9年前のものですし、当時のジャズファンは聴いていない人はいないアルバムです。どうせ「スイング・ジャーナル」での評点は、こぞって星5つを付ける「提灯」評論家ばかりだったので、少々筆が滑ったのかもしれません。
当時(小生の高校時代)私のジャズの師匠(道案内人)は、粟村さん、油井正一さん、植草甚一さんでした。高校生当時のこずかいはあまりなく、視聴もできなかったので、上記の信頼できるジャズ評論家が推薦したレコードを買っていました。(当時のレコードは2千円)