先日、ジャッキー・マクリーンがリーダーのブルーノートレーベルから出ている2枚のアルバムを紹介する動画をアップしました。
⇒こちら
すると、けっこう短い間にたくさんのコメントが。
みなさん、マクリーン好きなんですね。
マクリーンといえば、数々の名演を残していますが、中でもピアニスト、ソニー・クラークがリーダーの『クール・ストラッティン』でのマクリーンのアルトをフェイヴァリットに上げる方もいらっしゃると思います。
コメントではそのような話題になり、その流れから、かつて『クール・ストラッティン』のレコードが日本で再発された際に『スイング・ジャーナル』誌に低い評価をつけた評論家がいるという話になりました。
私の動画の視聴者の中には、昔の雑誌の記事をアーカイヴとして保管している方もいらして、その方が、評論家・粟村政昭氏が『クール・ストラッティン』に厳しい評価を下した記事全文を書き込んでくださったので、その内容を紹介する動画をアップしました。
このような硬派な評論文を読むと、自分自身はどの辺を軸足にしてジャズの作品に評価を下しているのだろうか?と考えてしまいます。
ですので、そのあたりのことも話しています(そちらのほうが長くなってしまった)。
コメント
早春さんからのコメント。
この動画は、私にコメントしろというメッセージだとお見受けしました。そうですよね(笑)?では早速。
私も勿論このアルバムが大好きです。とてもSonny Clark的なアルバムだと思います。表題曲など、Sonny Clarkの後ノリ感覚をそのまま形にしたように思えます。メロディーが引っ張り気味に演奏され、その直後にPhilly Joe のスネアが入ってビシッと演奏を締めなおしていますが、この後ろに引いては戻し、また引っ張るという崩しの感覚がたまらないですよね。これを成り立たせて、引き立てているのがPhilly Joeだと思います。ここではMax Roachのキビシイドラミングや、ブレイキーの豪快なドラミングはお門違いなのではないでしょうか(笑)。Sonny Clark のリズム感で後ろに引っ張られた演奏をビシッと締め直すには、Philly Joe の粒立ち良く引き締まったドラミングが必要不可欠だと思います。とくにこの表題曲などは、他のソニクラの演奏と比べてもより強く後ろに引っ張って大きく崩して演奏されているので、尚更そうだと思います。またその意味で、この曲はSonny Clarkが自己のリズム感の可能性を最も追求した一曲ではないでしょうか。
私は、ソニーの魅力の一つはフレージングにあると思います。旋律の輪郭となるアクセントの効いた音や、それらの間で絡まり合ってもつれたり、転がされたりする音が堪らなく愛くるしいです。またその音によってできる、あちこちにある窪みや丘、茂みや谷間、裏路地や空き地に愛着を覚えずにはいられません(ナボコフ風?(笑))。ある窪地には哀愁が、裏路地には陰りが感じられます。その中に迷い込み、それに触れ、それを輪郭に沿って指で撫でることは、私にとって至高の快楽です(笑)。
また彼のもう一つの魅力は音色ではないでしょうか。フレーズの節々で放たれる、「コンッ」と立ち上がる立体感と陰りを孕んだ和音がとても気持ちイイです。基本的に中音域でフレーズを作り、そこに低音で深みを加え、高音でアクセントとなる色彩を加えるこのバランス感覚がたまりません。またそれだけでなく、McLean のキイキイ言わせる捻くれたアルトや、ファーマーの美しく整ったラッパのソロに人間的なぬくもりを添えているように思います。
Sonny Clark の魅力は一言では語れないとよく云うようですが、私もそのとおりだと思います。ひとまず要素ごとに分けて魅力を書いてみましたが、やはりそれらの良さの相互作用の中で醸成される、淡く陰りを帯びて感じられる密やかな淋しみと哀愁がたまらなくイイと思いました。
これを書くために何度もCool Struttin’ を聞きましたが、何度聴いてもイイですよね、ソニクラは(笑)。
早春さん、もうアナタ最高!
こんなにソニクラ愛が感じられるストラッティン評は読んだことないゾ!
しかも、ソニー・クラークのピアノの魅力を的確に分析されている。
こんなにソニクラ愛が感じられるストラッティン評は読んだことないゾ!
(プラス、マクリーンについても)
もしタイムマシンがあれば、1967年にタイムスリップして、粟村政昭先生の原稿と早春さんの上記コメントをすり替えて、「粟村早春」という名前え『スイング・ジャーナル』誌に掲載してもらうのにっ!(笑)
早春さんからの返信。
フッフッフッ ありがとうございます😏。高野さんから独自のフィルターを通して批評せよとのアドバイスを頂いたので(笑)。100%早春フィルターを通して書かせて頂きました(笑)。
>高野さんから独自のフィルターを通して批評せよとのアドバイスを頂いたので(笑)
あれっ? 俺、そんなこと言ったっけ?(笑)
完全に忘れている……(痴)
スンマセン。
でも、最近私がハマッている昭和の評論家の文章から感じる「権威フィルター」や「マウントフィルター」がないので、とても好感が持てます♪
MrNOBUchanさんからのコメント。
油井正一氏でしたがSJ誌上で、「クール・ストラッティン」の評価がアメリカではかなり低いことを疑問に思っている、と書いておられましたね。BNのファウンダー兼プロデューサーのアルレッド・ライオンも、ソニー・クラーク盤が日本で異様なほど好セールスなことを喜びつつ疑問に思っていたそうです(マスター・テープの箱書きにそんな文言があるとのこと)。また油井先生、ケニー・ドリューのBN盤「アンダーカレント」を採り上げ、その評価がアメリカで極端に低いのを驚くとともに嘆き、これは低評価というより無理解に近い!と怒りの評価をしておられたのを覚えています。
えええええええっ??!!!
あの『アンダー・カレント』も低評価だったのですか??!!
ハンク・モブレイも、フレディ・ハバードも、そしてもちろんリーダーのケニー・ドリューも快演、しかもあの統一されたドッシリとした重量感と、スピード感。
どこをとっても非の打ち所がない名盤なのにっ!
……と私が思っているだけで、じつは向こうの人は違うところにツボを求めているのかもしれませんね。
それにしても、『クール・ストラッティン』のみならず『アンダーカレント』まで本国では低評価だったとは!
MrNOBUchanさんからの返信。
油井正一氏は、ケニー・ドリューがヨーロッパに渡ったのは、アメリカジャズ評論界の自分への無理解に、ほとほと嫌気がさしたからだろうなあ、と付け加えておられました。
あの「力作」が評価されなければ、そういう思いになるのも無理ないですよね。
2019 enchanさんからのコメント。
1曲目クールストラッティンが終わって2曲目ブルマイナーが始まるところがカッコ良くて!曲順って大事ですね(笑)教授のサウンドストリートは火曜日でした(佐野元春が月曜日でしたね)
たしかに、あの流れいいですね!
うちの息子も、同じこといっていて、中学生の時は放送委員会だったみたいですが、給食の時間にはいつも《ブルー・マイナー》を流していたみたいです。
《クール・ストラッティン》と両方流すと時間が長くなるからということだったみたいですが。
あと、先生からはJ-POPやロックやヒップホップは流しちゃいけないと言われていたこともあり、「んならジャズだろ!」ということでの選曲だったようです。
サウンドストリート、聞かれていたんですね。
月曜日の佐野元春は、あまり聞いてませんでした。
なんというか、音楽は好きだったんですが、喋り方がちょっと受け付けなかったというか。
それに比べて火曜日(笑)。
さすがワーストDJに選ばれるだけあって、あのボソボソとした独特な喋りは、私にとって滅茶苦茶ツボでした。
というか、「オールナイトニッポン」など、ラジオ文化全盛期だったような気がするあの時期、不思議と私は火曜日の教授のサウンドストリートしかラジオ番組は聞いていませんでした。
AMラジオ番組は賑やか過ぎるし、FMはというと、外国かぶれしたDJの喋りが鼻につくのが多いしということで、坂本龍一の番組しかなかったんですよ、しっくりくるのが。
当時は、自分も将来はラジオ番組をもって、ああいうふうにボソボソ喋りたいなぁと憧れていたものです。
2019 enchanさんからの返信。
ご返信恐れ入ります。『流れ』でいうと《サンジェルマンのJMs》で1曲目 Polietly から2曲目 Whisper not に行くのもシビれますね~、くせになります。教授のサウンドストリートのデモテープ特集・・・ありましたね、爆笑してましたよ、当時。あと植木等サンがゲストの時、大瀧詠一サンも参加して教授と3人でバカ話していたのが印象に残ってます。
あ~、わかるわかる、その流れいいですね!
というか、流れって大事ですね(改めて)。
植木等&大瀧詠一ゲスト!
そんな回あったんですか?!
それは未チェック、知りませんでした。
個人的には山下達郎ゲストの時や糸井重里がゲストの時の会話が印象に残っています。
友達感覚でありながらも、話している内容がけっこうディープだった気が。
まぐまぐさんからのコメント。
無視もインタープレイ? マスターどういうこと?w まー この動画が俺には響きましたけどねw あざーす
説明しようと思っていたのに言い忘れてました。
もし相手がヘンなフレーズ(あるいは、その演奏にはふさわしくないと感じる演奏)に、いちいち反応しちゃうと、余計に演奏がヘンな方向にいっちゃう可能性があるでしょ?
意図していない方向に進んでしまうのも、即興演奏の面白さではあるのだけれども、「自分はこういう方向に持っていきたい」という明確な意思がある場合は、脱線してしまいそうな内容に反応する必要はないとも思うのです。
たとえば、
「昨日ディスクユニオンに行ったら、ソニー・クラークのオリジナル盤が高値で売り出されていた。高いよねぇ」という内容の演奏をしたいとします。
「昨日ディスクユニオンに行ったら……」と話し出したら、
「どこの?」という突っ込み。
それに反応して、こういう会話になっちゃいました。
「お茶の水のユニオンに行った」
「ああ、あそこ新年のバーゲンかなんかで開店前から行列だったよね?」
「そうそう行列でさぁ、じつは俺も並んだんだけどね」
「まじで? オレはいかなかったけどさぁ、なんでも初日の午後に高校生も買いに来ていたらしいぜ」
「えっ?高校生もジャズの中古買いにくるんかいな?」
「そういう高校生もいるようだよ。なんでもグラント・グリーンが好きらしいよ」
「グラント・グリーンが好きな高校生って珍しいなぁ。じつはオッサンだったりして(笑)」
「いや、べつにそういう高校生だっているでしょ、ネットでいろいろ情報得られるんだから。ネット経由でグラント・グリーンを知ってハマるということもあるかもしれないじゃん?」
「ネットかぁ、今時の高校生は、スポティファイとかそっちのほうばかりだと思ってたよ。CDとかも買って聴くんだねぇ」
……という会話になってしまうと、もう「ソニー・クラークのオリジナル盤は高い」という、この演奏でもっとも言いたかったことから遠ざかってしまうw
だったら、相手が演奏した(自分が)ヘンだな(と感じた)フレーズに対しては、反応せずに、無かったことにするw
しれっと、自分が表現したい結論とか雰囲気を押し通す。
そういうのも良い演奏を形作る「広義においての」インタープレイのひとつだと思ったので、そう話しました。
今回の流れに置き換えてみると、TAKESI0506さんは、粟村先生の評論に対する反論を紹介したいという流れだった。
そこにいちいち私の「ジャズ評論とは」「価値観とは」などという独白につきあっていたら、反論の文章を掲載するタイミングを逸していたかもしれないので、流れ的には「シカトプレイ」は正解だったと思っていますw
早春さんからのコメント。
高野雲さん、これ、私ですか(笑)?
はい😎
イヤダローさん
ベーシストの鈴木良雄さんの本にも書いてありましたが、ソニークラークって、本国ではあまり知られていないらしいですね。ブルーノートのアルフレッドライオンも、クールストラッティンの、日本からのオーダーを怪訝に思っていたらしいです。なぜ、日本でそれだけ売れたんでしょうか。
秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる
『古今和歌集』収録の藤原敏行の歌ですが、この感性がまだ日本人の中に息づいていたからでしょう。
目にみえなくても、秋の訪れを風の音で、ハッと気付く感性。
自然のちょっとした変化、その微妙なタメやアヤから事物の変化を読み取る感性が、四季の変化や、配慮と婉曲の多い言語構造からも時代かわれど息づいていたのでしょうね。
同時代のアメリカで人気だったピアニストは、オスカー・ピーターソンやデイヴ・ブルーベックだったようです。
大雑把、とまではいいませんが、メリハリがはっきりしていて分かりやすいピアノだといってもいいと思います。
「言わなくても………、、、ボクの気持ち、キミには伝わってるよね?」
な世界じゃありません。
「言わなきゃわからん!」な人達です(笑)。
そこが、まあ彼らの良いところといえばよいところではあるのですが、ソニー・クラークのちょっとためらいがちなニュアンスや、ドバーッと前へ前へ前へ!と出てくるような派手さはないけれども、よく聴けば聴くほど味わいの増す白米のような彼のピアノのコクと粘りに日本人は魅了されたのではないでしょうか?(多分)
オー、イエー、アーハッハッハ!な金髪ダイナマイトナイスバディ美人と、
控えめ・はにかみ・遠慮がちな大和撫子。
さあ多くのニッポン男児はどちらを選ぶでしょうか?
まあ女性に無理矢理あてはめるのにも無理はあるかもしれませんが、ソニー・クラークは後者のタイプだと思います。
イヤダローさんからの返信。
日本人特有の音感ってあるんでしょうね。
同時代の人気ピアニストが、O・ピーターソンや、D・ブルーベックというあたりは初めて聞く情報だったので勉強になりました。ありがとうございます。
御駄賃取郎さん⇒イヤダローさん
これとそっくり逆の話を読んだ記憶があります。来日した某ジャズマン(名前おぼえてませんが)を休日に銀座の山野楽器につれていったら自分のレコードのコーナーで「おお!まい がっ!!・・なんで日本で俺ももっておらん昔のレコードが売られているんだ?あんびりーばぼー!!!」とか、パット・メセニー来日のおり某有名輸入レコード店の自分のコーナーで「海賊版」を見つけたメセニーは、ためらわずにその場で「パッと」(^^;)そのレコードを蹴り割ったとか・・これらは結構有名な実話でしたよね。
ま、まじっ?!😲
イヤダローさん⇒御駄賃取郎さん
jazzじゃなくて恐縮ですが、西新宿のブート屋で、ジミーペイジが、自分達の音源を勝手に持って帰ろうとして、店員さんと揉めた件と似たようなお話しでしょうか。ってかパットメセニーって切れるんですね(笑)。温厚そうに見えますけど。
ペイジったら😅
メセニーの件は同感です。
MrNOBUchanさんからのコメント。
もうウン十年の昔、私が独身の頃ですが、土曜日深夜、ラジオ短波で「セクシー・オールナイト」という、当時としてはかなり過激なエッチ系二時間番組が放送されていました。何を隠そう私、ヘビー・リスナーで、毎週カセットに録音していました。ただカセット・デッキが故障して久しく、もう聴くこともありませんが、録音したカセットテープ、今でも処分せず持ってます。
番組の詳細な内容はここでは触れませんが、番組のエンディング・テーマ、実はこのアルバムのラスト曲、「ディープ・ナイト」だったんです。
今でもこのアルバムを聴くたびに、「セクシー・オールナイト」を思い出すんですよね。
タイトルから選曲したに違いないw
でも、その番組は知らないのですが、えっちちぃな番組じゃなくても、バラエティやドキュメントなどの番組のエンディングにもこの曲を流せば「よい夜を!」という雰囲気でビシッと番組をしめくくれそうですね!
高松貞治さんからのコメント。
粟村政昭さんの本、ジャズレコードブックは35,000円でアマゾンで販売されています。対照的に鍵谷幸信さんのジャズの本は植草甚一との共著のコルトレーンの本位で安く買えます。数十年経って2人の評価がこんなにもハッキリするとは思いませんでした。時間は残酷です!
希少性など市場在庫などを鑑みたうえでの値付けということもあるでしょうから、一概にAmazonに出品された中古本の値段が著者の価値を決めるとはいいきれませんが、いま、自分の本をアマゾンで調べてみたら、『こっそりジャズ入門』なんざ中古価格600円代で大量に出回っているようなので、安いよ、安いよ、誰か買ってあげて~♪
TAKESI0506さんからの返信
ジャズレコードブックが35,000円というのは驚きです。高すぎます。
created by Rinker¥14,800 (2024/11/22 07:44:05時点 Amazon調べ-詳細)もちろんこの本は屈指の名著で、私に対する影響は計りしれませんけど、それにしても法外な値段ですね。出品者の良識を疑ってしまいます。
高松貞治さん⇒TAKESI0506さん
以前のスタン・ゲッツ・サイン本と同様に、出品者は本当に売りたいのかと怒りを感じますね💢
御駄賃取郎さん⇒高松貞治さん
ほんとうにそうですね。なんだかあの話題の謎の絵師?の業界ぐるみのイ◯◯キ自作自演相場作りのような?いかがわしさを感じます。昔も「幻の名盤読本」SJ社がヤフオクでおよそ7000円の高値がついていておどろきました。私も粟村さんの本はもっていましたが、件の「目方買い」で有名な店でその他大勢扱いでした。(笑)また私はCDにのりかえた頃まとめてレコードを処分したのですが、その時買取にきた業者さんが一番興味をしめしたのはビートルズのレコード、それも国内盤の全シングル盤コレクションでしたが、渋っていたらその日処分したジャズレコードについた値段にほぼ匹敵するような値を提示したので、驚きましたが「いかがわしさ」?を感じて
ビートルズのシングル盤だけは売りませんでした。これだけは自分の音楽体験の原点なので手放さないでよかったです。(もう、プレイヤーもないのですが。。) そういえば昔予備で買いだめしてあったシュアのV15TYPE-Ⅲの未使用の交換針を2個、孫にあげたらよろこんでいましたが、
たぶん40年位経過しているので、カンチレバーがカチンカチンになり使い物にならないと思うのですが孫は「ヴィンテージ・モンだ!」と仲間に自慢していたようなので、ま、いいか。。
私から、高松貞治さん、TAKESI0506さんへ
知識や情報は、蛇口をひねれば出てくる水とは違う。
身銭を切ったり、靴底擦り減らしてようやく得られるものだ。
……と、刑事ドラマを見過ぎな(?)私はそう思っています。
出版社勤めが長かったからかもしれません。
ですので、いつも貴重な情報を無償でお送りいただくTAKESI0506さんには感謝していますし、40年以上前のジャズ雑誌を大量に譲ってくださった鎌倉の爆音大明神様にも同様の念を抱いております。
それを踏まえた上で、
アマゾンに出品されている「例の本」について、ちょいとばかり、あっしの考えも聞いてくださいまし。
ま、出品されている場所はAmazonですが、正確には山梨県の古本屋さんがアマゾンを介して全国に告知しているという構造でしょう。
そのページ経由で出品者を確認したら、
きちんと住所、電話番号、代表者氏名、古物商許可証も掲載されており、
まずは怪しい業者(ヘンな人)が出品したのではなく、
古本業者が、ビジネスとして適正な値付けをしたうえで出品しているということが分かります。
ところで、私は時々古本屋めぐりをします。
カレー屋、楽器屋、CD屋めぐりで、よく神保町(~お茶の水)に行くのですが、そのついでに、このエリアは古書街でもあるので、古本屋さんを覗きます。
たとえば、「長島書店」という老舗古書店があるのですが、
このお店では、恩地孝四郎の版画詩画集『飛行官能』は80万円の買取価格を提示されています。
つまり、それくらい希少であり、あるいはそれくらいの価値のある本は、それくらいの値段で買い取りますよ、ということですよね。
まあ買い取ればそれ以上の値段で売るのでしょうが、それぐらいの大枚をはたいても良いという「覚悟」のある人だけに売りたいという意思表示でもあるともいえます。
私だって、もし貴重な本を持っていたとして、何らかの事情でそれを手放すとしたら、きちんと大切にしてくれる人にお譲りしたいと思います。価値の分からない人、乱雑に扱うような人には、できれば譲りたくない。
であれば、その「きちんと扱ってくれる人か」「大切に保管してくれる人なのか」を測るバロメーターの一つが、数字(値段)なのです。
高額であれば尻込みする人が多いでしょうが、尻込みしつつも、「よし、それでも買おう!」という覚悟を持った人は、きっと価値を分かっている人でしょうし、きっと大切にしてくれる(だろう)。
もっとも「件の本」の出品者は個人ではなく、中古業者ですので、そういう想いはないとは思いますが……。
しかし、それはそれで、中古業者が市場適正価格から大幅に逸脱した値付けをしたらしたで、「あそこは品を見る目がない」と同業者からの信用を失う可能性も考えなければなりません。
で、そういうことになると、
じゃあ経済力ある人のほうが有利じゃん?となるかもしれませんが、
私は必ずしもその限りだとは思いません。
経済力なくても、本当にその価値を認めている人であれば、
どうしても手に入れたいと切望している人であれば、
ゴッホやバスキアの絵画についた価格ではないのですから、
無理をすれば手に入れることは可能な額です。
場合によっては店に値下げ交渉や取り置き、あるいは分割払いで手に入れるという方法もあるかもしれません。
大変です、面倒くさいです。
しかし、その大変さと面倒くささを経る覚悟の有無と愛情の多寡を値段によって問われているのです。
お前はどれくらい本気なのか?
それほどまでの大枚をはたいて手に入れるだけの覚悟があるのか?
中途半端な気持ちだから「高い、ボッタクリ」などと愚痴をこぼしたりウソブイているだけではないのか?
私もその昔、中古楽器に凝っていた時期がありましたが、
やはり80万とか100万の値札を前にすると、
無言で、目の前の楽器から、「お前の覚悟はいかほどなのか?」と無言に問いかけられているような、そういう迫力を感じたものです。
それを乗り越えて、「えいっ!」と買うからこそ、購入後は大切にするのです。
それは、絵画であろうが、楽器であろうが、単なる紙の束であるかもしれない本とて同様だと思います。
だから、希少本や価値のある本に高い値段をつける業者(人)のことを、私は一概に「良識を疑う」という一言で断じる気にはとてもなれません。
むしろ、粟村先生の著作に3万5000円の値段をつけることは、その本に対しての愛情のあらわれなのかもしれません。
とっとと手放したければ、安い値段つければいいだけですからね。
「本当は手放したくない」
「だけど人の手に渡るのであれば、大切にしてくれる人の手元に届いてほしい」
そのような葛藤のあらわれなのやもしれません。
もちろん、なんでもかんでも高けりゃありがたいというわけでもありませんが、
なんでもかんでも安けりゃ良いとも私は思っていません。
そう考えるのは、私の中に、本はそもそも高価な贅沢品だという思いがあるかもしれません。
作家、著者、版元に対しての思い入れがそうさせているのだと思いますが、
⇒こちら
を聞いていただければ、私の考えの一端が分かってもらえるかもしれません。
本だから安くて当然、
じゃないんです。
版元、印刷、製本、流通、書店と様々な多くの関係者の努力によって、(ある意味)「奇跡的」に安い値段で
我々は本や雑誌をめくる楽しみを享受できているのです。
と、思いまーす!
(๑・ω-)~♥”
御駄賃取郎さんからのコメント。
高野雲 さん のお立場からのご意見にも深く同意します。ジャズもハマッてしまえばなりきって「おどらにゃ損損!」という気がします。だからこそSJのオーディオ記事にもなりきって信じ・試しては楽しんできました。話はそれますが自分がこれを実感したのは、あの東北大震災でのあっかんべー48?^^;などの慰問?などに大喜びする子供達のうれしそうな笑顔を見た時でした。これこそまさに「値千金」だと、アイドル・娯楽の意義・力を痛感しました。
だからたとえ高額でも価値を感じる方にとってはそれだけの意義は大いに感じます。
ただいつの世でもアーティストやクリエイターの方々は「なんで俺の作品がこんな評価なのだあ?」と思われるのでしょうが、普通の商売人やサラリーマンも常に心のなかでは同じ叫びを発していますよ~~~(^o^)
ありがとうございます。
あいかわらずの「御駄賃節」炸裂!
笑わかせてもらいました。
ただ、今思えば、高松さんとTAKESIさんのやり取りって、
放課後に高校生男子が2人、
「あのアイドルの写真集高ぇよなぁ!」
「クッソ高ぇよなぁ、ったまくっぜ!」
と、ただ単に気軽にグチを言い合って気分転換をしている程度のものだったんですよね。
そこに、
杓子定規で頭のカタい先生がやってきて、
「こらこら、アイドルばかりにウツツを抜かしてないで勉強しなさい。それからクソなんて言葉を使ってはいけません」
なんて、「正論だがブサイクなこと」を言って悦に入るような野暮さをやらかしてしまい、
現在、自己嫌悪中……
_| ̄|○
御駄賃取郎さんからの返信。
マスター、な~~にをおっしゃいますやら!^^毎日毎日これだけツワモノ揃いのサイトで「どっからでも、かかってきなさい。。」と豪語し?すきがないのが、おらが街のマスターだがね!(笑)・・・それにしてもマスターの(若者コトバのリアル発音風?)が実に味わい深いです。^^
>「どっからでも、かかってきなさい。。」と豪語し
豪語してないですってばぁ
(PД`q。)
怖い人たちばっかで、ぶるぶる震えてますよ。
博 橋本さんからのコメント。
すみません。当方のパソコン環境不具合の様でコメントが上手く送れません。
返信はOKな様子です。
昨夜マクリーンの動画にTAKESI0506さんにはお礼を兼ねてコメントしました。
同様のコメントになりますが送信します。
粟村さんのこの評文との出会いはその後、何かの価値判断、物事の決定を必要とする際の基準を作ってくれました。自分の気持ちを素直に尊重し、他からの情報や影響と合わせてゆっくり見つめ直せということでした。良い教訓となりました。
いずれ時間が出来た時に国会図書館に赴き、この記事と再開するつもりでいた程の思い出となっていました。
TAKESI0506さんの今回の配慮に感謝しています。
粟村さも『クール・ストラッティン』を全否定ではなかったのですね。星三つ半も判明しました。
雲さんのストーンズ評、「ヘタウマ」サブカル礼賛が嬉しかったです。
「続編」はゆっくりで結構ですの是非お願いします。
35,000円の「ジャズレコードブック」は驚きました。私は高二の時に近所の古本屋で見つけて飛び付きました!
いえいえ、ガラにもなく紅茶野郎(正論ふりかざし人間)になってしまってお恥ずかしく思います。
TAKESI0506さんからの返信。
おっしゃるとおりてすね😪
私も活字中毒のケがあるのではないかと思われるほど、本は昔から好きなので、よくわかります。
ジャズレコードブックの中古本は、五千円以上のものは見かけたことがなかったので、35,000円という値段に驚いて、出品者の確認もせずに書き込んでしまった次第です。
以前に書き込んだ松本清張担当編集者の苦労話などをみても、著者だけでなく、その廻りのいろんな人々の苦労によって一冊の本ができるのですから、安易に高すぎるなどと言うべきではないというのはおっしゃるとおりです。クール・ストラッティンの動画コメントで、高野雲さんのコメントを無視して山下さんの批判文を書き込んだ件は、去年のオフ会で既におわかりと思いますが、私は若い頃から、人の話などをまともに聞かずに、自分の言いたいことだけをまくしたてるという、良くない習性があります。粟村×山下の件にしても、山下さんの反論文を早く書き込みたいというばかりで、それ以外の事に思いが及ばないという本当に悲しいサガですね😢
いえいえ、ガラにもなく紅茶野郎(正論ふりかざし人間)になってしまってお恥ずかしく思います。
>去年のオフ会で既におわかりと思いますが
えっ、そうだったんですか?
ぜんぜん、そういう風には感じませんでしたけど?
若輩者としての私は、貫禄ある年長者の理解ある暖かい眼差しの中、安心して好き勝手に喋ったり呑んでたりさせていただいておりました。
<(_ _)>
むしろ、私の陳腐な独白を華麗にスルーして、次の主要トピックにささっと移行した進行っぷりは、主題の焦点がブレずに進むことが出来て、かえって良かったと思います。
まだ吹きたいソニー・スティットを抑え込むバド・パウエルの如きでしたw
Kawai Andyさんからのコメント。
そうですね、自戒の念を込めて思うのですが、趣味のものは贅沢なものと思っています。
中古品の相場と云うのは色んな思惑が市場で形成されていたりもしますが基本、取引する者同士が決めるのでしょう。
言い値で取引される場合はやはり高くなるけど納得づくの場合が多いです。骨董品の様な付加価値の着いた中古品、ヴィンテージ物、美術品などには通常では考えにくい値段が付いているのには、色んな理由があるのでしょうが、その辺が判らない人が『高い』と云うのも仕方ないのでしょう。高すぎるものは売れにくいので、自ずから安い値段に落ち着きます。それが市場というものです。
人間と云うものはフェティシズムに突き動かされ、贅沢品を求めてしまう悲しい生き物(私〜!) ですね。(爆笑!)
お書きになられた内容、まったくその通りだと思います!
>人間と云うものはフェティシズムに突き動かされ、贅沢品を求めてしまう悲しい生き物(私〜!) ですね。
ちょうど今、TAKESI0506さんから頂いた鍵谷幸信先生の原稿を読んでいたのですが、「望蜀」という熟語が目に飛び込んできました。
「人足るを知らざるを苦しみ、既に隴を平らげて、復 (ま) た蜀を望む」
人は欲しいものを手に入れると、それに満足せず、幾らでも欲ばって、さらにその上のものが欲しくなってしまう。
「足る」を知らない。
Kawai Andyさんのみならず、私もそういうところがあるので、お互い悲しい生き物ですな~。
高松貞治さんからの返信。
高野雲さん、この山梨の古本屋はAmazonでよく利用します。古本屋っていうのは、今市場で一体何が価値があるのか、売れているのか、勉強しなくてはならず、その辺の大学教授よりもはるかに勉強しなくてはならないのです。だからこの山梨の古本屋は粟村政昭さんの本に高値を付けたのは、市場を見て、勉強に勉強して考えてつけた値段なんだろうなぁと思いました。
永井勉さんからのコメント。
モンクだらけの永井です・・・WWW
貴方の心の傷にそっと寄り添います・・・W
アバウト 適当な人生 最高です・・・W
お互いに実践してますが・・・W
ありがとうございます。
<(_ _)>
Jさんからのコメント。
ベンチャーズの ドンウィルス あ 違った ドン ウィルソン さんが逝去されたそうです ここで追悼の意をあらわしたいのでなく.. 自然死とのこと
おもわずサッチモの この素晴らしき世界 を聴きたくなりました
小二のころから 何度でも何度でも聴いた ウォークドントラン パイプライン 十番街の殺人 ダイヤモンドヘッド また聴きたくなった時に聴こうと思います
J
TM MTさんからのコメント。
ストーンズといえば、ビル ワイマンが参加した「ロンドン ハウリンウルフ セッション」というのがありましたね。ミックのプロデュースのチャドウイックボーズマン主演JB映画は素晴らしかったと思います。
ところで何ヶ月か前に
「ワン プラス ワン(悪魔を憐れむ歌)」という映画を見てきました。上記の曲のストーンズの曲作り風景に、尺が足りないのか「意味ありげで意味のない」くだらない寸劇が挟んであります。中でもジャズの歴史を解説しながら、白人少女を誘拐して殺害する黒人カルト集団の寸劇にはドン引きしました
「連合赤軍」「OM真理教」そう思いましたw
怖っ!
R Kさんからのコメント。
お疲れ様です。
〝俺の軸足〟、そうですね。
ジャズを聴く、また、その他の事柄についての感性も、私は十人十色でそれでいいと思っています。私なんぞはアマチュアなので、〝ハード・バップ〟が好きだし、A&MやCTIなどのレーベルも好きだと言ってしまえるので気は楽ですね。
ちなみに
うちのクルマのフロント・サスペンションは〝コイルスプリング/マクファーソン・ストラット式〟です。