エルヴィンコニッツマイルス ドラムの録音

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以前アップした動画「【コメント返し】エルヴィン音圧」(こちら)にいただいたコメントに対してのアンサー動画をアップしました。

コメント

MrNOBUchanさんからのコメント。

歴史的なことを言えば、最絶頂期のルイ・アームストロングのコンボや草創期のデューク・エリントン楽団、同カウント・ベイシー楽団等の演奏の後ろで叩きまくるドラマーはスタジオに入ると、ライヴとは違い録音技師から、抑えめに抑えめに叩いてくれ、じゃないと音圧の大きな違いでディスク・カッター(当時の録音機材)に音飛びが起こり録音がすべてぶち壊しになるから・・・的な嫌味を言われていたのでしょうね。

それは大いにあり得ますね。
「セーヴ叩き」しているうちに、スタジオでは「セーヴ叩き」が体に染み込んで癖になってしまったりして😅

ドラムスの録音

ジャズのドラムのレコーディングって、私は音響関係は素人ではありますが、素人ながらも、色々な話を聞いたり読んだりしていると、結構大変なことなんだなと感じています。

なにしろ、ブラシによる繊細なニュアンス表現から、スティックでシンバルをバシャーン!と叩いた音まで、結構ダイナミックレンジが広いわけですから。

たとえば、テーマはブラシで大人しめな演奏だが、アドリブパートでは大いに盛り上がるという構成の演奏だと、ドラムの音の魅力を余すことなく巧く捉えることって、想像するだけで難しそう。

技術、コツがあるのでしょうし、それもエンジニアによって色々と方法が違いそうで、探求していけばキリの無い世界であるようにも感じます。

ドラマーの表現を最大限に引き出し、かつ魅力的なサウンドを創出するという、ある意味、エンジニアの技術が試される領域かもしれませんね。

マイクのセッティングひとつとっても、それぞれの打楽器の音色を捉えるために、マイクの種類選びから、セッティングする位置一つとっても、随分とサウンドが変わりそうですし、実際に変わる。

これは詳しい人からの受け売りなのですが(ウロ覚えですが)、バスドラにはダイナミックマイク(カラオケで使うような形のマイク)、スネアドラムにはコンデンサーマイクにしてみるなど、それぞれ録音したい打楽器の特性に合わせて最適なマイクを選ぶのだとか。

また、マイクの配置も、ただ打楽器本体の近くに置けば良いというのではなく、近接効果や位相干渉を考慮した上での配置を考えなければならないのだそうです。

うーん、これだけでも大変そうだ……

さらに、オーバーヘッドマイクも使うとのこと。

これは、ドラムセットの上部からドラムス全体の音を録音するために設置するマイクのことだそうで、ドラムセットから発せられる音の全体のバランスや空間の感触を捉える重要な役割があるのだそうです。

さらに、立体感のあるドラムサウンドを演出したい場合は、オーバーヘッドマイクは1本だけではなく、複数本使用するそうです。

いやぁ、セッティング、大変そうですね…。

何本使うかは、エンジニアやドラマーの特徴や予算や時間次第で随分と変わるようですが、時には4本も配置することもあるとか。

マイクの本数が増えれば増えるほど、録音後のミキシング時に色々といじれるので、凝った音作りをすることが出来ますが、それもどれくらい時間がかけられるかという時間の制約次第で変わるようです。

その上、マイクの本数が増えれば増えるほど、マイク間の位相干渉が起こりやすくなるため、マイク同士の距離とか角度にも慎重になる必要があり、要するに時間がかかる、という(汗)

あとは、これはドラムのレコーディングで頻繁に使われている手法なのかは分かりませんが、ドラマやCMの音響を請け負っている制作プロダクションの社長から聞いた話によると、臨場感を演出するために、アンビエントマイクも使用することもあるのだとか。

映画やドラマの撮影などでは、例えばマンションの一室で俳優の演技を撮影し、監督からOKが出て、役者たちが撤収したあと、誰もいなくなったマンションの部屋の「空気の音」をアンビエントマイクで録音して、編集の時にその音をブレンドするのだそうです。
「その場感」、つまり臨場感を創出するための手法ですね。

このアンビエントマイクを使用する手法は、ドラムのレコーディングには日常的に使用されている手段かどうかは分かりませんが、その社長の話によると、予算がかけられるレコーディングには使われているのではないか、とのことでした。

部屋の響きや残響を捉えることで、演奏空間に深みを与え、よりサウンドに立体感が生まれるのだそうです。
ECMレーベルのレコーディングなんかで使用されていそうですね。

これら全ての要素をドラムのレコーディングに使用されているとは限らないのでしょうが、ドラムという楽器の録音って大変なんだなぁ、常々思ってしまうわけなのであります。

そして、どんなにドラムの音がよく取れていたとしても、他の楽器の兼ね合いも考えなければならないし、そもそも肝心の演奏がしょぼかったりすれば、エンジニアの苦労も報われない結果につながりかねないわけですから。

さまざまな創意工夫と、さまざまな他者が引き起こす偶然(演奏者のプレイなど)が幸福な融合を遂げて、はじめて優れた作品が生み出せるんでしょうね。

奥深い世界です。