【古雑誌読み】バスラですよ、バスラ!

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スイングジャーナル1987年5月臨時増刊『ジャズ名門レーベルのすべて』をパラパラとめくって喋った動画をアップしています。

コメント

MrNOBUchanさんからのコメント。

偶然ですがつい先ほどまで、久しぶりに「ブルース・フォー・ドラキュラ(フィリー・ジョー・ジョーンズの初リーダー盤)」(リバーサイド1958年録音)を聴いておりました。冒頭のタイトル曲の始めと終わりに入るジョーンズのナレーションは「無くてもいいな~~」と、聴くたびに思うのです。ジャケットがそこまでやらんでええやろ的なデザインで、それはそれでまあ面白いんですが、内容がメンバー一流、ジョーンズのドラムも超一流、十分に楽しめます。
翻ってピート・ラロカの「バスラ」、ジャズ・ドラマーの初リーダー作という点だけ同じですが、雰囲気は全く違いますね。編成の違い、ピアニストの違いもそうですが、最大は、参加しているテナー奏者の個性がもたらす違いが、てきめんです。(フィリー盤はジョニー・グリフィン、ラロカ盤はジョー・ヘンダーソン)。

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おっしゃる通り、ジャケットがコスプレじゃなくて、ナレーションがなければ、かなり優れたストレートアヘッドな内容ですもんね。

ジャケットで損をしてると思います。
昔の私は、このアルバム、ディスクユニオンの中古コーナーでどんなに安くても買いませんでしたもん。
典型的な「聴かず嫌い」。
というか学生時代は予算が限られてましたから、コレ買うんだったら他のCD買おうと後回しにされる率ナンバーワンのアルバムでしたね。

私のような「聴かず嫌い」は、昔はたくさんいたんじゃないでしょうかね。
今はサブスクで気軽に聴けますけど。

あるいは、ドラキュラ・ファンにアピールすることでジャズファンの裾野を広げた……?のかどうかは不明ですが。

グリフィンとジョーヘンは、同じテナー奏者かと思うほどタイプが違いますよね。

グリフィンはいわば腕の良い職人タイプ。
既存の流儀、方法論、枠組みの中で、誰よりもカッコよく優れた表現を実践した人だと思います。

対してジョー・ヘンダーソンは創彩者?
独自の表現で演奏を彩る人というイメージで、「創造」と「彩り」を組み合わせた言葉が一番個人的にはシックリきます。

創彩?
なんじゃ、その言葉?!と思われるかもしれませんが、あるんですねぇw
「創彩少女庭園」シリーズのプラモというか美少女フィギュアのラインナップがプラモメーカーのコトブキヤから出ているんですよw

ま、ジョーヘンと美少女女子高生は全く結びつきませんが、あくまで「創彩」というそれぞれの言葉のイメージが彼の音楽にはピタリとくるので💦

ジョーヘンやサム・リヴァースやショーターらの、いわゆる「ふがふが系」テナーの人たちの魅力って、逆説的ですが、チャーリー・パーカーを好きになればなるほど、際立ってくるんですよね。面白いことに。

パーカーも強烈な「文法」を作った人ですが、パーカーの「イディオム」を耳(聴く)だけにとどまらず、楽器でなぞればなぞると、
目(楽譜)と指(身体)で、彼の表現のスタイルが身体で分かるというとヘンですが、気持ちよく馴染んでくるんですよ。

そうすると、みうらじゅんの『ブロンソンならこう言うね』ではありませんが、「パーカーならこう吹くね」みたいな予測遊びみたいなことを脳の中で楽しむことができるようになるんですよ。

まあ、英会話の練習におけるスキットのようなものですかね。
こういう状況だったら、こういう言い回しの言葉を話す、みたいな。

パーカーの場合は、こういう場面(こういうコード進行)ではこう吹くだろうなという予測が立てやすくなるので、より楽しめるんですね。

本来は、予測不能な方がスリリングなのですが、パーカーはアルトサックスの表現レベルが凄すぎるので「予測可能でもスリリング」です。
逆に、パーカー派のサックス奏者の場合は、「予測可能ゆえの安定感」がありますけど。

で、話が横道に逸れてしまいましたが、パーカーのイディオムが体に染み込めば染み込むほど、いわゆる新主流派と呼ばれるジャズが勃興した頃に台頭してきたテナー奏者、つまり、先述したジョーヘンをはじめとする「ふがふが系」な人たちは、パーカーの耳に馴染みのある展開やフレーズをことごとく裏切るというか、こう来るかな?という期待を大きく逸脱したパーカーが吹かない⁨⁩であろう(パーカーに比べて)新しいフレーズのオンパレードなんですよね。
だから、パーカーに慣れれば慣れるほど、新鮮度が増してくるんですね。
しかも、彼らが繰り出すヘンな(?)フレーズは、「ふがふが」な音色にピタリと合致している。

このユニークなフレーズと音色の一体感に目覚めると、人生楽しくなりますね(大げさ)。

つまり、先述したジョーヘンをはじめとする「ふがふが系」な人たちは、パーカーの耳に馴染みのある展開やフレーズをことごとく裏切るというか、こう来るかな?という期待を大きく逸脱したパーカーが吹かない⁨⁩であろう(パーカーに比べて)新しいフレーズのオンパレードなんですよね。
だから、パーカーに慣れれば慣れるほど、新鮮度が増してくるんですね。
しかも、彼らが繰り出すヘンな(?)フレーズは、「ふがふが」な音色にピタリと合致している。

このユニークなフレーズと音色の一体感に目覚めると、人生楽しくなりますね(大げさ)。

子どもの頃はニガくてマズいと思っていたビールが旨くなる感覚?
ナスが嫌いな子どもが大人になったら、ナスの漬物や焼きびたしや麻婆や煮びたしやフライに「く〜、たまんねぇ!」となる感覚?

つまり、味覚が広がり楽しみが増える。
それと同様に、ジョーヘンを知ると、聴覚が広がり楽しみが増える感じがするんですよね。大げさかもしれませんが。

それだけ、ジョーヘン嫌いだった頃の私と、ジョーヘン好きになった後ではジャズの聴こえ方が変わったような気がしています。

ジョー・ロヴァーノも、マーク・シムも、ジョーヘンに興味がなければ見向きもしなかったでしょうからね。

2024年8月18日 18:51