プレスティッジ・レーベルのアルバムの臨場感など

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動画「【コルトレーン超入門28】プレスティッジ・レーベルについて」(こちら)に視聴者さまよりいただいたコメントを紹介した動画をアップしました。

コメント

高松貞治さんからのコメント。

ジャズ批評最新号の高野雲さんのところを見て①は当然持っていますが、②をアマゾンで調べてみたところ、2万円近くしていて、とても手が出せない😭③はすぐに買いました。

そんなに値がついているんですか?!
いやぁ、びっくりです。
私、メンバーのサイン入りCD、2枚持ってますよw
1枚は昔やってたバンドのヴォーカルに借りパクされちゃってますけど😂

内容は映画のサントラ版なので、全てのナンバーがいわゆる「ジャズっぽい雰囲気」ではないナンバーもありますが、個人的にはなかなか聴きごたえのあるアルバムだと思っています。

何より、メンバーが4人とも20代で若いです。

サックス&ベース 27歳か28歳
ピアノ&ドラムス 2人とも24歳

という顔ぶれなんですよね。

すごく活き活きした演奏ですし、
実際、すべてのテイクを1テイクで録音したそうです。
いや、というか予算と時間と「格」の関係(?!)で、彼ら4人は1テイクでレコーディングせざるをえなかったのだそうです。
ただ、ラストのヴォーカル入りの《ミスティ》のみ、ヴォーカルが「大御所」だったそうなので「格」の違いで3テイクも4テイクも同じ演奏をしなければならなかったと先生は言ってました。

永井勉さんからの返信。

どうでしょうか・・・セロにアスモンクだったらRiversideが
一番だと思います・・・!!!!!
美味しいとこだけ持っていく他のレーベルよりは一番モンク臭が凄い
レーベルだと個人的には感じています!!!!!

たしかにリヴァーサイドがモンクの一番良いところを切り取ってパッケージングしていると思います。
『セロニアス・ヒムセルフ』に『セロニアス・イン・アクション』、それに世評では最高傑作の誉高い『ブリリアント・コーナーズ』と枚挙に暇がありません。

ブルーノート⇒不発
プレスティッジ⇒あまり売れなかった

そしてリヴァーサイド。

時代がようやくモンクの音楽に追いついてきたということもあるのでしょうが、傑作が多い最大の理由、
それはひとえにリヴァーサイドのプロデューサーで社長でもあったオリン・キープニュースの並々ならぬ熱意があったからということも大きいと思います。

モンクに惚れ込んだキープニュースは、プレスティッジからモンクを引き抜きます。
「手切れ金」として120ドルをプレスティッジの社長、ボブ・ワインストックにキープニュースは支払ってます。
そして晴れて契約。

よーし、120ドル分は取り返すぞぉ、それ以上に売ってみせるぞぉ!と思ったかどうかは分かりませんが、キープニュースは並々ならぬ気合いでモンクの売り出しを考えたと思います。
さらに、ブルーノートやプレスティッジに比べると後発のレーベルで、レーベルとしての看板になると見込んだのでしょう。プレスティッジのように「単に良い演奏をしてもらって、単に録音して、単に売り出す」という考えはなかったと思います。

「企画」で勝負!
そう考えたに違いありません。

だって、今までは「単に良い演奏をしてもらって、単に録音して、単に売り出す」というカタチで売れなかったわけですから。

だからリヴァーサイド移籍第一作は、「エリントンで行こう!」。
⇒『プレイズ・デューク・エリントン』

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第二作は、「スタンダードで行こう!」。
⇒『ザ・ユニーク』。

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ここで注目すべきは、作曲の才能があり、ユニークな曲をたくさん書いているモンクであるにもかかわらず、いったんモンクの曲を封印していることですね。

モンクが書いたナンバーの録音が許されるのは、3枚目の『ブリリアント・コーナーズ』になってからです。

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このことからもキープニュースは、モンクが作った曲よりも、モンクのピアノのプレイにまずは焦点を絞り、知名度の高い曲を演奏させることによって購買層にアピールし、モンクの知名度アップをはかったと考えられます。

ちなみに、4作目は『セロニアス・ヒムセルフ』ですが、今度は「ピアノソロ」
アルバムを作ることによって(つまりピアノトリオ、管楽器入りに次いで1曲を除けばピアノだけのフォーマットというさまざまな形で)、ピアニスト・モンクの姿に焦点を当てたのでしょう。

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で、その目論見は当たったかというと、当たらなかったようで(涙)。

上記4枚、あんまり売れなかった(涙)。

特に1作目の初回プレスのジャケットは、モンクの写真と、ベテランベーシストのオスカー・ペティフォードの写真と、ベテランドラマーのケニー・クラークの写真がレイアウトされたものでした。

でも「売れなかった」ので、セカンドプレス以降のジャケットはルソーの「ライオンの食事」に替えてみるなどの工夫というかテコ入れもしたりしているんですね。

しかし、セールス的にようやく上向きになってきたのは5枚目の『モンクス・ミュージック』からだといいます。

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大御所コールマン・ホーキンスが参加していたから?
アート・ブレイキーが参加していたから?
それとも当時新進気鋭だったジョン・コルトレーンが参加しているから?
あるいは、少しずつモンクの知名度が上がってきたから?

その理由は定かではありませんが、いずれにしてもキープニュースが頭をひねって売り出しを考えた痕跡は随所に見られるのがリヴァーサイドのモンクなんですね。
だから傑作が多いというのも頷けます。

ただ、その傑作が生み出された背景は、「旬のジャズマンの旬な瞬間」を切り取ったプレスティッジとは異なり、「しっかりとしたコンセプトのもと、しっかりとした“作品”を残そう」という、どちらかというとブルーノートのアルフレッド・ライオンに近い、キープニュースのプロデューサー魂があったからこそだと思います。

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永井勉さんからの返信。

ありがとうございます・・・W  よいお年を・・・W

良いお年を!

2024年12月26日 18:55