フレディ・ハバードが語る、クリフォード・ブラウン、ウィントン・マルサリス、マイルス・デイヴィスについて

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先日、「熱演!フレディ・ハバードが吹く《アイ・リメンバー・クリフォード》」というタイトルの動画をアップしましたが(⇒こちら)、視聴者の方より興味深いコメントをいただきましたので、それを紹介する動画をアップしました。

フレディ・ハバードが語る、クリフォード・ブラウン、マイルス・デイヴィス、ウィントン・マルサリスについてです。

コメント

TAKESI0506さんからのコメント。

私のコメントを取り上げていただきありがとうございます。
実は、ハバードのジャズテストは他にもこのようなレコードを取り上げています。

P・S・アイ・ラブ・ユー/リー・モーガン

ハバード――リー・モーガンだ。彼も私と同様、クリフォードの影響を受けているね。彼は何というか、“ファット・トーン”を持っていた。それが私には非常に印象的だった。私はニューヨークに出て、すぐにリーと知り合ったのだが、彼はすごく若いのに、すでに立派なテクニックを持っていた。そのことが私にとって非常な驚きだった。
小川――当時ニューヨークにいた若いトランペッターで、他に印象的なプレイをする人がいましたか
ハバード――リーの他には、ドナルド・バード、ビル・ハードマンがまず最初に印象に残ったプレイヤーだった。彼らはその当時、既に有名になっていた。
小川――あなたとリー・モーガンは同じ世代ですね
ハバード――イエス。彼はミット・ウェストから出てきたわけだが、私がジャズを聴くにはレコードしかなかった頃、すでに彼は偉大なミュージシャン達とプレイするチャンスがたくさんあったんだ。そういうこともあって、クリフォードが亡くなってすぐに、彼はファンの間で認められる存在になったんだ。

オーティス/日野皓正

ハバード――ランディ・ブレッカーかな?
小川――日野皓正です
ハバード――これはジャズ以外のマーケットを狙ったいわゆるジャズとは呼べない音楽だ。彼のことはよく知っているけど、ここではいつもと違うモチーフを用いているね。こういった音楽で私が不満なのは、十分なソロ・スペースがプレイヤーに与えられていないということなんだ。ソロというよりもリズム重視の音楽になっているからね。もっとヒノにスポットが当たるレコードの方がいいと思う。もっと彼のソロをフィーチャーすべきだね。私もかつて何枚もフュージョン・アルバムを作ったことがあるんだ。それはいろんな人に私の音楽を聴いてもらうという点では良かったよ。だけどミュージシャンにとって重要なことは、自分の楽器でリスナーとコミニュケートすることだね。それでなくてはランディ・ブレッカーかヒノか区別がつかなくなってしまうよ(笑)。
小川――ヒノのライブを聴いたことがありますね
ハバード――最近の彼はいろんなアタッチメントを使って比較的大人数のグループでやっている。面白いとは思うけれど、彼の演奏に集中できないんだ。私もフュージョンをやっていた時にはナチュラル・トーンではなかった。そして今、再びストレート・アヘッドなジャズを演奏していて、ナチュラル・トーンの大切さを感じている。それが私のアイデンティティにもなっているよ。

ムーン・トレイン/ウディ・ショウ

ハバード――ウデイ・ショウだ。とても好きな曲なんだ、これは、だけどラリー・ヤングと一緒に演ったレコードがあるんだけれど、それのウディの演奏のみが好きなんだ。もっと音楽がグループしているからね。ところで、彼はレコード・セールスという点では今一歩なんだ。たとえばウイントン・マルサリスと比べても、ウディの方が音楽的には秀れていると思う。しかしレコード・セールスではウイントンの方がはるかに上だ。問題はここにあるんだ。ウイントンのことではないけれど、ロクでもない音楽が売れて本当にいい音楽が売れない。マーケットに問題があると思う。その点、日本は素晴らしいね。フリー・フォームのジャズでも、カウント・ベイシーのようなビッグ・バンド・ジャズでも、フュージョンでも、ストレート・アヘッドなジャズでも、すべて真剣に受けとめてくれる。アメリカは見習わなくてはならないと思う。私のミュート・アルバムだって日本のレコード・カンパニーが作ってくれたんだから(笑)。
小川――話を元に戻しますが、ウディのサウンドは非常にあなたと似ていると思うのですが
ハバード――それはそうさ。彼は私のコピーから出発しているんだから。だけど彼は現在自己の音楽を確立しているね。

ザ・グレート・プリテンダー/レスター・ボウイ

ハバード――教会音楽みたいだ。誰だい?
小川――レスター・ボウイです
ハバード――実は私もそうじゃないかなと思っていた(笑)。
小川――こういったタイプの音楽をどう思いますか
ハバード――本来この演奏はもっとビジュアルなものだと思う。レコードで聴くだけでは、真意は伝わってこないんじゃないかな。今のマイルスにも同じことが言えると思うけれど、ステージを観ることによって、もっとその音楽のインフォメーションを得ることができると思う。たとえば彼がどういうことを考えてプレイしているかといったことが分かるのではないかな。
小川――かつてあなたもフリー・ジャズをプレイしていたわけですが、フリー・ジャズについて何か意見を聞かせて下さい
ハバード――フリー・ジャズというのは元来の約束事に束縛されないということだと思う。ただし大切なことは、よく若い人が落ち入りやすい誤ちなんだが、ダイレクションをはっきりさせなくてはならないということだ。フリーだからダイレクションもはっきりしなくていいということではない。ノー・フォーカス・ポイントのミュージックではダメだということだ。オーネット・コールマンでもアーチー・シェップでも、とにかくはっきりしたダイレクションを持ってプレイしていたということだ。そこをまちがってはいけない。ただしこれは簡単なことではないよ。要するにフリー・フォームもトラディショナルなジャズでも、根底にあるスピリットは同じだということだね。

またまたありがとうございます。

レスター・ボウイのところの、フリージャズに対する見解、さすが『アウト・トゥ・ランチ』や『アセンション』にも参加しているハバードならではの意見だと受け止めました。

永井勉さんからのコメント。

こんばんは永井です・・・
実は処女航海を聞いた時に何だこいつと思っていました・・
そのあとアウト・とぅ・ランチを聴いて
解りました・・・・引き出しの数が凄いんです・・・
凡人プレーヤーは一軒家の中で、思いだせないフレーズを探します・・
片手に余るぐらいのフレーズしかないんです・・・
フレディ・ハバードは巨大な倉庫を歩きながら膨大な量の中から
最良のフレーズを見つけ出してきます・・・
変な例えですよね・・・??? 
雲さんもおっしゃるとうりジャズジャイアントの一人ですよね!!

なるほど、なかなかうまい喩えですね!
>巨大な倉庫を歩きながら膨大な量の中から最良のフレーズを見つけ出す