教えて!あながた好きなウィントン・マルサリス BEST5

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以前アップした動画からのリクエスト「教えて!あなたが好きなジョン・コルトレーンの曲、あるいはアルバム」(こちら)のリクエストコメントにお応えして、先日アップした「教えて!ウィントン・ケリー MYベストナンバー5」(こちら)のコメントを紹介する動画をアップしました。

コメント

ハッピータンさんからのコメント。

ウィントン、ありがとうございましたm(_ _)m
添付のユーチューブも笑い・感動しながら最後まで観ました。
日野さんも辛島さんも土岐さんもニコニコやったし(笑)
追加にウィントンのI remember cliffodの音源です

I Remember Clifford ~Art Blakey & The Jazz Messengers~

サラ・ヴォーンとの枯葉は
Autumn Leaves – Wynton Marsalis with Sarah Vaughan at Boston Symphony Hall – May 1, 1984

サラさん、途中でイッちゃってますm(_ _)m

動画紹介ありがとうございます。

《アイ・リメンバー・クリフォード》は、「ひねり」の多いほうがウィントンなでしょうかね?(テレンス・ブランチャードではないとは思うのですが)
演奏シーン、映像で見てみたい音源ですね。

サラ・ヴォーンとの《枯葉》は、凄いですね。
サラ、凄い貫禄(体型含めてw)、ラシェル・フェレルとの掛け合いジャムセッションからも、ウィントンは「迫力姐さん」にとっては格好のパートナーなのかもしれませんね(笑)。

ハッピータンさんからのコメント。

昔、NHKでオーレックスジャズフェスは1回目〜3回目位までは放映されてましたねぇ。
でもユーチューブでこのウィントンがアップされてるの観た事ないですねぇ。
テーマを半分ずつでトップがウィントン。
ソロもトップがウィントンですね。
ブランチャードの方が少しこもった音色です。

わかりました。
ありがとうございます。

龍 大阪さんからのコメント。

ウィントンマルサリス、一枚もレコード持ってませんorz な~~んかダメだった。ですので批評は控えます(笑)

Jさんからのコメント。

ウィントンマルサリスは あまり好演と感じるものが少ないように
したがって あまり持ってないのですが その中でのアルバムから

1 位  ライブ アット ザ ハウスオブトライブズ
   これは テクニックを忘れてほんとによいブルージ一なライヴだ  と思う  なんで リーモーガンのように テクニックよりブルースフィーリング優先できないのかな~
2 マルサリスファミリー
  マルサリス オールスターだ なんといってもエリス(父)のブルースフィーリングが底流に効いて 末っ子のジェイソンマルサリスも参加 ジェイソン大人しめだが リラックスした中にもジャズだよな~
3 スタンダードタイム
  キャラバンがいい ベースのリズムパターンは 古くからある 別の曲の流用だと思われるがカッコイイ~
4 ブラックコーズ
  マニアックだと思うが ききこんでないためよくわからず
いつかマイ1位になるかも
5 J ムード
   J に因んで

「J」に因んで「Jムード」。
いい~ですねぇ。

『J Mood』は、リズムセクションが『スタンダード・タイム vol.1』と同じなので、とてもツボなアルバムです。

やっぱりマーカス・ロバーツのピアノがいいなぁ。

TAKESI0506さんからのコメント。

私はウィントン・マルサリスというトランペッターの演奏は、ほとんど聴いたことがないので、このランキングに参加する資格はありません。

 マルサリスが出てきた頃、彼がジャズの歴史のフィルムをバックにして、それを解説するというビデオを見たことがあります。また、クラシックも演奏するということ。そして以下に紹介するスイングジャーナルの記事を読んだことなどが相まって、若造がなにを生意気な!と、まだ若かった私は、強い反発を感じたものでした😢

これは、81年7月の初来日時のインタビュー記事です

ウィントン・マルサリスのジャズ宣言
いま内外ジャズ界で最も注目されている新星――といえばトランペッター、ウィントン・マルサリスをおいてはほかにいない。まもなく初リーダー作も登場するが、いち早くここではウィントンのストレートな心情と頼もしいジャズ宣言を紹介しよう。

SJ あなたはトランペッターであり、しかもハービー・ハンコックやロン・カーターやトニー・ウィリアムズと共演していることからも、よくマイルス・デイビスと比較されますが、あなたにとってマイルスの一番の魅力はどこですか。
マルサリス あの人の詩的な感性が好きだね。頭のいい人で、自分の手に入るものは最大限に活用するっていう能力もたいしたもんだと思う。それで、いつも基本のクリエイティブなアイディアに近づこうとするんだ。こんなところに、あの人の強さの一部があったんだよね。同じ曲を何度も何度もやっても、いつも素晴らしく聞こえる、それができる人なんだ。なぜかって、頭がいいからさ。でも、最近はバカみたいな連中にかこまれて生きてるんじゃないかな。よくは知らないけれど。
SJ 最近のマイルスに関しては否定的なんですね。
マルサリス マイルスにさえ“クズ”みたいな音楽もあるってことさ。
僕は心からマイルスを尊敬してるし、今度のカムバックにしたって、ものすごく勇気のいることだと思うよ。でもそれと音楽とは別だっていうこと。僕にとってマイルスが偉大なのは「カインド・オブ・ブルー」と「キリマンジャロの娘」なんだ。音楽の流れを変えたっていう意味じゃ、この2枚につきると思う。
SJ 「ビッチェズ・ブリュー」はどうなんです。
マルサリス あれはマイルスの音楽じゃないもの。トニー・ウィリアムズがマイルスのために初のフュージョン・バンドを作ったんだよ。マイルスはトニーのバンド(ライフタイム)とコンセプトを譲り受けてレコードにのっけたんだ。みんなはマイルスが〝フュージョンの父〟みたいにいうけどね、ホントはトニーなんだ。今度のアルバム(「ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン」)だって、新しいところはビンセント・ウィルバーンのものだしね。近年じゃ「キリマンジャロの娘」こそ、あの人がだした唯一の音楽的転機となったアルバムだよ。ずっと昔、ギル・エバンスとのアルバムもみんなが即答をにぶるくらい考えさせられたけどね。あとの「ネフェルティティ」にしろ「ESP」にしろ「マイルス・スマイルズ」にしろ、基本的にはストレートアヘッド・アルバムだったんだ。別に批判的にものをいってるわけじゃない、事実に即して、歴史の流れをみていってるんだよ。70年代にも面白いことをやってるけどね。ホーンがメロディーを何度も何度もくり返すっていうアイディアは面白かった。
SJ ハービーやロンやトニーからマイルスの話を聞いたりしますか。
マルサリス 時たまね。だって彼らはマイルスと一緒にやってたんだから。ひとついっとくけどさ、マイルスっていうのはマスコミの創造物なんだよね。彼が衝撃的なのはマスコミのおかげなんだ。偉大なミュージシャンだけど、マスコミがとりあげるマイルスってのは、本当の姿じゃないんだよ。ハービー達はマイルスと何年も一緒にやってきて、彼がただの人間で、どこも衝撃的じゃないってことがよーくわかってるんだ。彼らはマイルスの素晴らしい演奏もサビシイのも知ってるわけだから。けっこういろんなミュージシャンの話を聞くよ。ウェイン・ショーターやジョージ・コールマン…マイルスに限らずいろんな話がでるよ。
SJ 「ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン」の話がもっと聞きたいんですよ。
マルサリス 僕があれに満足したかどうかなんて、どうでもいいじゃない。あれはあれでいいよ。あれが彼のやりたいことなら、それはそれでいいさ。偉大な音楽とはいわないけど、彼がやりたいのならそれでいいんだよ。ミュージシャンは自分のやりたいことがやれて当然なんだからね。マイルスは、別に誰に対しても義務をはたしてるわけじゃない、自分にはたしてるんだからさ。

次に続く

SJ 一番最初のアイドルは誰だったんですか。
マルサリス “ポップス〟ルイ・アームストロングさ。コンセプトがまったく違うレベルにあるんだよ。
つまり、何もないところから、歴史のないところから、あの人は発明したわけさ。今でもまだ正当な評価を得てないんだよ。“ポップス〟はことをまったく別ルベルにもちあげたんだ。ちょうどチャーリー・パーカーが新しいことをやったみたいに。
SJ その次がクリフォード・ブラウン?
マルサリス うん、クリフォードにマイルスにフレディー・ハバード、リー・モーガンもケニー・ドーハムもね。ディジー(ガレスピー)はちょっといいかな。ディジーって、とても真似のできない人だから、じっくり研究してやろうと思ったことは一度もなかった。
SJ あなたはジャズのメインストリーマーですが、エレクトリック・サウンドはどうです。
マルサリス 別に嫌いじゃないよ。誰が使うかによるんだ。もしも、それでイカしてれば、いいなって思うよ。ひとつだけ僕が腹立つのは、音楽がいろんなレベルで存在してるってことに人々が気づかない時なんだ。そのレベルにおいて、みんないいわけ。だけど、そのレベルとレベルを混同してもらっては困るんだ。ジャズでは、マスコミの音楽に対する扱いのしかたがかなり大きく関係して、またそれにブラック・アメリカン・ミュージックだという人種的要因も加わって、そのレベルがずっと混同されつづけてきたわけだよ。フュージョンやろうがファンクやろうが、そりゃそれで素晴らしいんだ。だけど、それとジャズを混同するなっていうんだ。今はなんでもジャズって呼んでるけど、本当のジャズは少ないよ。マイルスの新作だってジャズ・アルバムじゃないさ、ファンクだよ。ファンクには、また違った歴史があるんだ。違うんだ。ファンク・ビートをとりいれて、その上で何をやろうと、それはジャズじゃないんだ。
SJ でもマイルスは新作で〈ウルスラ〉なんていう4ビートをやってるでしょ。
マルサリス あんなものウェザー・リポートのイカサマと同じだよ。悪口じゃないよ、本当のことをいってるだけ。マイルス自身がよくいったみたいにね。あの人は、はじめて他のミュージシャンをけなしたんだよ。フレディーは才能がないって公言したけど、ありゃ嘘だ。どんなミュージシャンも、自分と同じくらい努力してる人に対しては、けなしたりしちゃいけないんだ。もし、その人が嘘っぱちみたいなことをやってたとしたら、そりゃいったっていいさ。本当はできる人なのに、それをやってないんじゃないかってね。それをいいたい人はたくさんいるよ。ハービーにしてもスタンリー・クラークにしてもね。だけどさ、それも特権でね、ミュージシャンなんだから自分のやりたいことをやればいいんだ。彼らが飢え死にする必要なんてないからね。どうしてハービーやスタンリーが義務感に燃えて、自分自身を無のために犠牲にしなきゃならないのかって。どうも黒人でいると、自分の知性に敬意をはらっちゃいけないみたいなのさ。そこがね、僕は腹立つんだ。
SJ あなたにとっては、当然ながらジャズは特別な音楽であり、つまりは俺のジャズを聴いてくれというわけですね。
マルサリス そりゃそーだ。マイルスがファンクのアルバムを作ろうが、それはそれで“クール〟だよね。ただしジャズじゃない。アール・クルーはジャズ・ミュージシャンじゃない。チャック・マンジョーネのやってることも、クインシー・ジョーンズもスパイロ・ジャイラもジョージ・ベンソンもサンボーンも……はてしなくつづくけど、みんなジャズじゃないんだ。けなしてるんじゃない。ただ、ジャズという音楽の卓越性に値するだけの敬意は、あの音楽には値しないってことさ。
SJ みんないい音楽だが、それぞれレベルが違う?
マルサリス そうさ。その音楽ルベルとは、音楽の発達、研鑚の歴史からくるものなんだよ。ファンクには研鑚の歴史はない、ほとんどね。大衆の需要に基づいてる音楽なんだから。大衆の需要からアーチストの研鑚は生まれないんだ。大衆の需要は、アーチストの音楽を、それこそ大衆に気軽に消費される音楽の体質にしてしまうんだ。それじゃ研鑚も何もない、ビジネスさ。
SJ あなたはジャズの地位向上を望んでいるわけですね。ジャズの素晴らしさを身をもって示そうと。
マルサリス それしかないね。でも僕の仕事は人を教育することじゃない。ジャズがどういうものかを教えることじゃないんだ。ただベストをつくしてるだけだよ。
SJ あなたの目からみて、現在のアメリカの状況はどうですか。
マルサリス これこそ自分達の音楽だと胸をはることができるのがジャズなのに、アメリカの黒人達は聴いてないんだ。ジャズは黒人の音楽なんだ、彼らにとっては大切な音楽なんだよ。なんでこうなったかといえば、学校でジャズの歴史を教えないからさ。
アメリカでは僕ら黒人の歴史は教えないんだ。それが諸悪の根源。アメリカだけじゃない、どこだってそうさ。
SJ 日本にきてどうでした?
マルサリス いろんなミュージシャンが、日本はジャズ天国だっていうけど、アメリカと変らないよ。人種差別だってあるしね。税関を通る時、ヤツラ何をしたと思う? 僕のカバンの中をひっくり返してマリファナを探しはじめたんだから! 僕は今まで1本のマリファナもやったことないんだ。あんなもの、くだらないよ。それにいかにアホらしいか、すぐわかる。小さい頃から麻薬やアルコールの中毒者をたくさんみてきたからね。ヤツラ、マリファナ持ってますかって、そんなこと誰が『ハイ』っていうかよ、ねえ。新聞をみても、ジャズとポップスは一緒で、クラシックだけが別の頁だもんな。ジャズはアーチスチックな音楽なのになあって失望したよ。

このインタビューの「ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン」のことを語る部分は、話題の新譜4つの意見として、別のページにくわしく載せてます。

『僕はね、マイルスを尊敬してるんだ。でも彼の音楽のすべてがすべて凄いというわけじゃない。かなり“さびしいヤツ”もあるんだ。マイルスがキングだなんて、とんでもないよ。みんなマスコミが作りあげたものなんだ。
『マイルスが音楽を変えた』なんてのもマスコミだけが信じてることさ。ハービーもロンもトニーも、みんなマイルスが普通の人間だってことを知ってるから、ことさら彼の思い出話を聞くってこともないんだ。ただね、いえることはマイルスって人は勇敢だってことさ。あれだけ悪態をつける人って、ざらにいないよ。わざと悪口をいってね、自分のイメージを守っているのさ。誤解してほしくないけど、これは悪口じゃないよ。マイルスがそうであるように、僕もありのままをいってるわけ。マイルスが素晴らしいプレイをした時ってのは、本当に凄い。「ザ・マン・ウイズ・ザ・ホーン」を聴いたかって? もちろん全部聴いたよ。でも、どうして僕が何かいわなくちゃいけなの? マイルスはね、自分のやりたいことをやったんだ。わかる? それでいいのさ。あそこではマイルスは吹いてるんだよ。ただね、僕にとっての「カインド・オブ・ブルー」や「キリマンジャロの娘」みたいに偉大な音楽ではないってことさ。なんだよ、あのイモみたいなサイドメンは。『キックス』でも聴いたけどね、今のサイドメンはハービーやチックやウェインみたいに、マイルスの頭の中が見えてないよ。マイルスって人はとても利口なんだ。アイディアが抜群だから、同じ曲を何通りにでもできるんだ。それについていけるだけのサイドメンじゃなきゃ……。55歳になった自分が想像できるかって? ふーん、わからないな。でもね、どんなプレイしてたって、マイルスみたいに悪態はつきたくないな。それに、あんなヘンテコリンなパンツもはきたかないよ。この新作で音楽の流れが変わるかって? 変わるわけないじゃん』

この頃から40年以上の月日が経って、私も年齢を重ねて、このような記事を読んでも反発するようことはなくなりましたが、還暦を超えたマルサリス自身はどのような感想を持つでしょうか😥

いつもありがとうございます。

「~さ」「~じゃん」「~ね」などの語尾で和訳することで、より一層「小生意気な若造」感を増幅させようという意図があったかどうかは分かりませんが、まあこれくらいスパッと歯切れが良いとかえって心地よいものですね。

やはり、若者はこれくらい尖って歯に衣着せぬくらいの物言いが丁度良いのではないでしょうか。

TAKESI0506さんからのコメント。

そうですね。
 このような対談記事というのは、必ずしも言ったことがそのまま記事になるとは限らない、編集者が自在にアレンジする場合がある、とかなり以前に何かで読んだ記憶があるのですが、実際はどうなのでしょうか?

『Rockin’On Japan』が昔よくやっていた、一人のミュージシャンに対しての「1万文字インタビュー」というような記事は別として、インタビュー記事というのは、通常、活字化された言葉の何倍もの量が話されているものです。

当然、インタビューの内容のすべてを掲載すると物凄いページ数になってしまう。
だから冗長なところや、同じ内容を繰り返している個所はカットされます。
さらに、インタビューの流れどおり、そのまま掲載しても読者にとっては面白い内容になるとは限らない。だから、読みやすい(面白い)流れにするために、話題の時系列を変えることもあります。
さらに、インタビュアーがたくさん喋っている場合もある。しかし、それもすべて掲載していまうと、インタビューというよりは「対談」になってしまう。だからインタビュアーの喋りの部分が長ければ、それはカットして、あくまで主役はインタビューされている人という見せ方、つまりインタビュアーの言葉は必要最小限の「合いの手」程度にする必要もある。

「自在にアレンジ」という言葉を使うと、編集者が恣意的に内容を勝手に変えまくっているという悪い印象を与える可能性がありますが、実際は、読者が知りたい内容、読みやすい内容に「編集」するのが「編集者」の基本的な仕事だと思います。

ただし、最初から「こういう人物像でいこう」とか「こういう結論ありきでいこう」という編集方針があったとすると、その着地点に「寄せ」て、意図的にカットする発言と、採用する発言を選ぶことはあるかもしれません(そのあたりは、編集部や編集方針によって差があります)。

これが悪意のあるものだったり、印象や評価を左右しかねないものは、「切り抜き」などと呼ばれていますよね。

私も以前、インタビューを受けて記事になったことがありますが、面白いものですね。確かにすべて自分が喋った発言内容には違いないのですが、冗長な個所がカットされたり、順序が変わっていたり、小見出しがついたりするだけで、ずいぶんと印象が変わり、まるで「自分に似た他人の記事」を読んでいるような気分になったものです。「なんだ、この人? 俺に似てるけど、俺より知的だぞ?!」って(笑)。知的に感じたのは、余計な箇所をカットし発言の要旨をわかりやすくまとめてくれた編集者の力量の賜物なのですね。

このことからも、編集によって、ずいぶんとニュアンスが変わることは大いにありえます。

また、基本、インタビュー記事はゲラが上がった時点で、インタビューをした人に確認をお願いするのが普通ですが、ウィントンの場合は(あるいは外国人ミュージシャンの場合は)、その時点では日本には滞在していないかもしれないし、日本語が分からなかったり、日本語がわかるマネージャーなどの側近がいるとも限らない。
だから、『スイングジャーナル』は、おそらくはノーチェックで掲載されることも多かったのではないかと思います。
もちろん、あくまで推測ですよ。
私が書いた記事は、ちゃんとゲラチェックありましたから(笑)。
ただ、私の場合は日本人で、日本語で書いていて、連絡を取れる日本に住んでいたからですが、外国人ミュージシャンの場合はどうなんだろうな?とは思います。

TAKESI0506さんがアップしてくださった『スイングジャーナル』の過去記事は、おそらくウィントンが実際に話した内容であることには間違いないと思います。

ただ、内容が、ほぼマイルスの話にフォーカスされています。
おそらく、饒舌なウィントンのことですから、マイルス以外の話題もいろいろと話したのではないかと想像できます。もしかしたらヒップホップなどの黒人文化(音楽)に苦言を呈する発言もたくさん話していたのかもしれません。

しかし、誌面のスペースの問題もありますし、おそらく当時の読者の多くが気になるであろう「この新進気鋭のトランぺッターは、帝王マイルスのことをどう思っているのか」という話題に焦点を絞ったほうが読者は引き込まれる(に違いない)、そういう判断のもとにおいての編集だったのではないかと推測しています。

で、おそらくはこれを読んで反感を覚えた人も大勢いたでしょうし、共感した人だっていたと思います。そして、もしこの記事がキッカケで「論争」が巻き起こったとしたら、議論の問題提起をしたという意味でもこのインタビュー記事が果たした役割は小さくないでしょうし、編集者としては「してやったり!」とニンマリだったのではないでしょうか(私が担当だったらニンマリしていたと思う)。

TAKESI0506さんからのコメント。

いろいろ貴重な体験談をありがとうございます。やはり実際に編集の現場におられただけに、流石だと感じました。
 政治家の言動を切り取って、政敵に都合の良いようにアレンジするというのは昔から聞いたことがありますが、ミュージシャンの場合などは、そのような悪意はなくとも、いろんな事情でハサミを入れたりすることがあるのですね。

ハサミの入れ方次第で、面白くもなり、つまらなくもなるのが編集の腕次第という側面は、文字だけではなく、マイルスの音楽にもあるわけで(我田引水w)、だから、最初から最後までリアルに通しで聴ける「ドキュメント」としての『ブラック・ビューティ』も悪くはないのですが、テオ・マセロのハサミが大胆にはいった『アット・フィルモア』のほうが世間の評価が高いことにも頷けるんですね。

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TAKESI0506さんからの返信。

テオ・マセロの編集ということで思い出したのは、78年のスイングジャーナルに載ったマセロの想い出話です。

『「イン・ア・サイレント・ウェイ」というアルバムの場合を参考までに話してみよう。あのセッションでは、1日のセッション(69年2月18日)で、4時間分ものマスター・テープが出来あがってしまった。これを1枚のLPに収録するというのは、編集にたよるしかない。それがマイルスが私に課している役割なんだ。しかし、このアルバムぐらい苦労したものはなかった。私は4時間分の演奏から、かろうじて、40分、40分の2つの演奏に編集し、まとめたけれど、これ以上は、私の範囲を超える状態になった。とにかく40分のテープをレコードの片面に収めることは出来ない。そこで私はマイルスに電話して、編集は終ったがまだ長すぎて収めきれない。一緒に聴いてみてくれないかと言ったら、マイルスはすぐスタジオに来てくれた。そして、マイルスが指示した通りに編集すると、こんどは8分30秒と9分30秒のテープに縮まってしまった。これがエッセンスだと言う。しかし、こんなに短くなったテープでは、レコードにならない。ところがマイルスは、『短くしたいというからしたんだ、それじゃサヨナラ』と言ってあっという間に帰ってしまった。私は途方に暮れてしまった。テープを何度も繰り返し聴いた。額から汗が出て、どうしようもなかった。ふと私は、クラシックの作品によくあるリピートを思い出した。そうだ、このテープには、このセッションのエッセンスが記録されている。これは、反復させるに値するものだと感じた。結局、私は、縮められたテープをコピーし、2つのテープをつないで、アルバムの片面分とすることにした。もちろん出来あがったテープは早速マイルスにも聴かせた。その時、マイルスは、『これでいい。俺もそうするしかないと思ってたんだ』と笑って言った。不安がなかったわけではなかったけれど、長い付き合いの間に、私には、マイルスならどうするだろうかという彼の考え方が、ある程度は読めるようになったと思う。「イン・ア・サイレント・ウェイ」の場合も、結局のところは、そうする以外に方法はなかったし、あれでよかったと思っている。
 それから「ジャック・ジョンソン」というアルバムだが、この時も、私は、編集に苦労した。なにしろマイルスのレコーディングは、同じモチーフを演奏してもどんどん演奏内容が変化し、発展する。テイク1からテイク4までとっても、それらは、どれがベストと決めかねるほど、内容が異なり、捨て切れない。あのアルバムの〈ライト・オフ〉のテイクは、まずビリー・コブハムのドラムスとマイケル・ヘンダーソンのベースを中心とするリズムの動きが重要なエレメントだということで、ジョン・マクラフリンのギターを加えたリズム・セクションだけによる演奏がテストの形でスタートし、我々は、それらをすべて録音していた。テイク2ではリズム・セクションがパターンを設定したあとマイルスがすぐにソロを吹き出しコンプリートなテイクとなった。ところが、トラック・ダウンの段階になってみると、テイク1のリズム・トラックが実に素晴らしい。私は、これも拾てるのは惜しいと感じた。そこで、私は、テイク1のリズム・トラックを冒頭から途中までイントロ的に用い、フェイド・アウトさせながらつづけてテイク2をフェイド・インさせることで、2つのテイクを共に生かすことにした。レコードを聴くと、テイク2では、コブハムのシンバル・タッチが微妙に変化しているのがわかるはずだ。いうまでもなく「ジャック・ジョンソン」は、マイルスが最も気に入っているアルバムのひとつで、実は私自身も誇りに感じているアルバムのひとつだが、この時のように、マイルスがスタジオで吹込んだ演奏、それはたとえどんなに断片的なものであっても、容易に捨て去り難い内容、意味を持っている。テイクを重ねることが、ベストの演奏、完璧な演奏を吹込むためにあるというのではなくて、マイルスの場合は、常に新しいクリエイションとなってしまうだけに、テイクの選択、編集といった面では、プロデューサーである私は、これまで常にフラストレーションの連続だったと言える。「ジャック・ジョンソン」の場合は、たまたまリズム・セクションのリハーサル・トラックでさえ、ついに捨て切れなかったわけだ』

マイルスは録音時は緊張状態からか、ささいなことに当り散らしたりというようなこともあって、決して扱いやすいアーチストではなかったようですね。「ビッチェズ・ブリュー」の吹込みの時など、マイルスはマセロの女性秘書をクビにしろと突然のように言い出して、それはもう、手がつけられない状態になったこともあったようです😢

テオ・マセロが『イン・ア・サイレント・ウェイ』と『ジャック・ジョンソン』の編集には難儀したという話は有名ですが、まさかマイルス指示で8分とか9分まで縮まったとは。
しかも、、「短くしたいというからしたんだ、それじゃサヨナラ」だったとは😆

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飛田野正人さんからのコメント。

私もCDを1枚しか持ってません。あまりよく知らないので。

ただ、結局「後追い」だという事は同じなので、「勉強するんだ!」というのは共感します。

田中一正

小生は スタンダードタイム vol.3 一枚を 好きなアルバムとしてあげたいと思います。
好きな曲ベスト5もこの中から選ぶと思います。
ウィントンが嫌いな人にも、このアルバムはお薦めです。
普段のご高説をのたまう彼ではなく、一人の音楽へ奉仕するプレーヤーがここにはいる。
なんちゃって、クラシックっぽいフレーズですね。
きっと共演のピアニストがよかったんだろうと思います。

お父さんとの心あたたまる会話、いいですねぇ。
>きっと共演のピアニストがよかったんだろうと思います。
やっぱり、ウィントンの場合、トランペットはもちろんのことですが、次に共演するピアニストに耳がいってしまいますよね。
で、ピアニストのスタイルによって、かなりアルバムの作風というかイメージが決定づけられるというか。

個人的には《スカイラーク》なんか大好きです。