ジャズ評論家バトル 粟村政昭・鍵谷幸信・岩浪洋三(敬称略)

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昔の『スイング・ジャーナル』誌上で繰り広げられた評論家同士のバトル。

これ、ジャズという音楽をめぐってというよりも、「ディスク大賞」選考をめぐっての、こういっちゃなんですが、内輪モメみたいな感じなのですが、まあ登場する評論家の方々たちの舌鋒鋭きことよ。

たとえば、こんな感じ。

粟村政昭氏ヘー言/鍵谷幸信
本誌2月号の「ジャズ・ディスク大賞」の投票と選考後記における粟村政昭氏の感想は、まさしく暴言以外のなにものでもない。氏は書いている。「……ただし。テスト盤の来なかった東芝、コロムビアの候補作については、プロモーションというものについて公平を期す意味で、悪いけれど、投票の対象から、はずした」。これは一体どういうことか。氏はここ数年同じ趣旨のことを書いている。粟村氏はまずなによりも怠慢である。候補作品がレコード会社から送られて来なかったからといって、全く無視するというのは。批評家なる者当然レコード会社からテスト盤は送られてくるもの、という前提に立っている。もし送られなかったとしたら、氏は候補作がわかっているのだから、自ら入手するなり、借用するなりして、まず対象の価値評価を確認すべきではないのか。ヒヒョウカにはテスト盤を送るべきだと、氏は考えているようだが、思い上りも甚しい。引用の文意から察するに、レコード会社のプロモーションの欠除とでもいいたいようだが、この論理、いや非論理でいくなら、レコード会社はすべての批評家にテスト盤を送るのが至当と受けとられても仕方あるまい。これは招待券が来ないから演奏会には行かない、といった錯覚が批評家にあるのと同じである。氏の姿勢はまたこの賞に対する最低の手続きを怠っているし、読者に対する冒涜とさえいっていい。
 批評家という特権の悪しき意識を投票に際して持ちこんではばからない粟村氏の態度は、断じて許されない。ぼく自身もテスト盤や招待券は時に頂戴している。しかし初心忘るべからずなのであって、レコードも切符も本来は、身銭をきって購入すべきものなのである。粟村政昭氏の猛省を促したい。

これに対してまた反論があるんですが、まあ大変。

このような、「良いジャズを紹介してほしい」とだけ考えている読者にとっては、まったく関係のない身内同士の争いを、そのまま誌面に掲載して毎号やり取りをしていたんですねぇ。

まあ、こういう諍いが好物な人もいますから(私も?)、ある意味、このような「バトル」も部数獲得には一役買っていたのかもしれませんが、いずれにしても熱き時代だったんですね。

で、このような評論家バトルを紹介した動画をアップしました。

コメント

後藤啓太さんからのコメント。

寺島さんから私のおすすめのアルバムを「いいねぇ」と褒められると「あれぇ?」と思ったりもします(笑)。岩波さんは良くも悪くも軽くてテキトーなところがあり「これがジャズだよ」と笑いながら言われると妙に納得してしまうお茶目なところが好きでした。

同じですね😆

しじみさんからのコメント。

前にもコメントした事があるんですが動画の背景の写真のチョイス  いいですね~。適当に貼り付けてるとおっしゃっておられましたが、、、。
早春さんのクールストラッティン評素晴らしいですね。恥ずかしながら今頃になってデクスターゴードンのテナーに魅了されている次第です。勝手ながら早春さんのデクスターゴードン評
読んでみたいなぁなんて思いました。すみません、動画にあまり関連のないコメントで。

いや、ほんと目についたテキトーな画像を貼り付けているだけですよ。

早春さんへ。
ファンからリクエストが来ちゃいましたよ😆

早春さんからの返信。

しじみさん、高野さん、ありがとうございます。数日前にフラーについての記事を書き始めた結果、あれも書きたい、これも書きたい、書いてみると全体のバランスが悪くなっている、と切がなくなってしまいコメントを見ておりませんでした(汗)。最近ゴードンの“Go”、“Our Man In Paris”も購入いたしましたので、近々書いてみようと思います。

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リクエストして頂きありがとうございました。

楽しみです!!

高松貞治さんからのコメント。

粟村政昭の本を投げ捨てました❗

😮

ところで、先ほど一瞬投稿されたコメントへの返答ですが、サムネールのモデルは、段田隼人という方です。
著作権フリー素材のモデルです。投資家かつユーチューバーでもあります。なかなか味のある表情が魅力です♪

高松貞治さん

いい体型をしていますね!もったいないですね、お相撲さんになればよかったのに、ほんとにもったいないですね!

たしかに体型といい貫禄といい力士な風格もあるかもしれませんね。
ベース持たされば、日本のミンガス!?
しかし、実際のところはエンジニアで、OWNERSなどシステム開発、コーポレートサイト構築をメインに働いているそうですよ。(株式会社HyraxのHPより)

Kouさんからのコメント。

かの大橋巨泉氏もJAZZは金にならないと言ってたようですし。

やはり。

出雲 光さんからのコメント。

歌にもスイングジャーナル40冊位あるけど、こんなに、小さい所まで見ていたなんて、驚きです。評論家の評論で、心に残っている評論は、ないです。私はオーディオコーナーの方が、面白かったのです。ジャズを聴くスピーカーで安いのは、ないかずっと探していたような状況でした。当時国産の音響機器は、サッパリでした。ジャズが良く聴けないのです。やはりジャズ喫茶のようにJBLかアルテックじゃないと聴けない無いと思い、落ち込んだものです。そんな時スイングジャーナルで紹介されたBose101mm衝撃を受けました。安くてジャズの聴けるスピーカーの発見でした。スイングジャーナルでの一番の思い出は、これにつきます。今でもBoseのスピーカーでジャズを聴いています。5年ぐらい迷っていたので、感謝しています。

私もPCはBOSEにつなげてます。
低音がズドンズドンと迫力ありすぎるので、イコライザーでかなり調整していますが。

出雲 光さんからの返信。

コメントありがとうございます。高野さんもBose扱いでしたか。私の私観ですが、ジャズとBose合いますよね。

MrNOBUchanさんからのコメント。

例えば、ジャズディスク大賞とかの選定にあたり、律儀に経費と手間をかけ、テスト盤を作り評論家諸氏にもれなく配布しているレコード会社があるとする。一方そういうことにあまり関心なく、評論家諸兄が身銭を切ってアルバムを買い求め、聴き、評価してくださいね、あなたジャズが好きなんだから当然してくれますよね?と考える会社があるとする。
私がもし、毎回いくばくかの原稿料をもらって評論を雑誌に書いているプロの評論家だったら、双方を平等に評価するかと言えば、NOです。

>NOです。
平等に評価しない、と。
興味深いので、その理由(思考プロセス)をもう少し詳しく教えてくださいプリーズ。

MrNOBUchanさんからの返信。

作品としてのジャズ・アルバムの評価の大方は、一聴して感じた好き嫌い・あるいは楽しめたか楽しめなかったか?であって、はっきり言って人それぞれ、個人の好みであり勝手です。
ただしその評価が、ジャズディスク大賞とか半分公的な、社会的な評価につながるものであれば、話は微妙に変わらざるを得ません。
当然ながらその評価を下すにあたっては、参加者(レコード会社、アルバム作品)が少なくとも細部にわたりきっちり同じ条件にのっとって土俵に上がらねば、明らかに不平等だからです。一方にテスト盤を配布した会社があり、また一方にそれをしなかった(怠慢かました、とは申しませんが)会社があるのなら、それに対し一片の配慮もなく同列に扱うのは、私にとっては心情的に全くあり得ないからです。
些少でも営業努力をした会社とそれを怠った会社は、差がついて当然です。
いやいや企業努力の有無など各社の内々の事情であるから参考にする必要などなく、基本的に同列に扱わねばおかしい、という考える向きがあるのかもしれませんが、私にはまったく理解不能です。

よくわかりました。
ありがとうございます。

私には思いつかなかった思考パターンがとても新鮮だったので、皆さんからのご意見を伺ってみたいと思います。

Hiromi Hasegawaさんからのコメント。

ラズウェル氏の漫画で「ジャズ評論家になったらレコード会社からサンプル盤はもらえるし、コンサートは顔パス」と評論家志願したものの「レコードの解説書いても油井さんや岩浪さんでもこのくらい、まず正業に就きなさい」と説教食らう話があったと思いますが、粟村vs鍵谷論争が伏線だったのか、と今知りました。粟村さんはSJのムック「ジャズレコード百科 73」でジャッキー・バイアードの”Jazz Experience”の解説を書いていてジャッキーを「現代のファッツ・ワーラ―」「年期の入ったジャズファンを破顔一笑させずにはおかない妙技の応酬」と大好きなプレイヤーに最大限の賛辞を送ってくれたので悪意は持っていません。

ありましたね~。懐かしい!
バイアードの『ジャズ・エクスペリエンス』に対しては、そう評価されていましたか。
たしかに、まったくその通りですね。

「粟村評論」、読んだ本数はまだ少ないのですが、粟村氏の評論スタイル、最近少しずつ掴めてきました。
最後の締めくくりの一言は、時に余計な一言となりファンをカチンとこさせることもあるのでしょうが、基本、演奏の特徴や要の部分はオーソドックスなほど、きちんと把握されているんですよね。
きちんと真剣に聴いた上での本気感が伝わってきます。

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K Nさんからのコメント。

N,K,
粟村正昭氏の話題で盛り上がっているのを拝見し、懐かしさの余りに初めて筆を取ります。私は大阪で育ち、中学生の頃からJAZZを聴き始めて半世紀以上になります。暇さえあれば、レコード屋に足繁く通い、小遣いを貯めて月一のペースでアルバムを買うのが至福の時でした。当時、昭和40年代には、心斎橋に三つのレコード屋があって、ヤマハ、三木楽器、ミヤコ楽器を梯子するのがルーティンのようになっていて、かなりの確率で粟村先生のお姿を先々で拝見致しました。レコード専用のカバンを足元に置いて、真剣にアルバムを吟味される後ろ姿には近寄り難いものがありました。やがて視線を交わす程度にはなり粟村先生であることに確信を持てるようになったので、JAZZ大全がいかに名著であるかを縁に話しかけるという暴挙に出ました。最初はこの少年誰という感じでしたが、数少ない知識を絞り出す私を遮ることもなく、聞き役になって頂き、何と一度家に遊びに来なさいと言われました。暫くして電話をして日程を決め、自転車に乗ってご自宅に伺いました。私は大阪の西区に暮らしておりましたが、粟村先生は隣接区の港区で開業医をされており、赤茶色のタイル張りの医院兼ご自宅は今でも鮮明に覚えています。立派なオーディオセットのあるリビングに通され、先生がレモンティーを入れてくださったのは覚えていますが、どんなアルバムを聴いたのかジャズミュージシャンの誰について語ったのか全く覚えておりません。興奮冷めやらぬまま、溝川を跨ぐ橋を何本も越えて、家路につきました。
このような個人的経験は別にして、粟村先生は私にとって最も信頼のおける評論家です。JAZZに対し誠実かつ客観的であろうとされていたのだと思います。軸を持たずに根拠のない論評を繰り返す同業者は許せなかったのではないでしょうか。長々となりました。お許しください。

投稿ありがとうございました。

粟村先生ファンにとっては垂涎の体験をされているんですね!
このチャンネルの常連さんには、熱烈な粟村政昭ファンがけっこういらっしゃると思います(逆にアンチの方もいらっしゃるようですがw)。

リアルタイムな世代ではないので、そのような方の投稿を読みながら、自分の中で粟村政昭像を形成中の今日この頃ではありますが、投稿を読んでいると、とても礼儀正しい方だったようですね。
非常にストイックな方だったのではないかと想像しています。
ストイックで真面目。この真面目さが、おっしゃるとおり「軸を持たずに根拠のない論評を繰り返す同業者は許せなかった」のかもしれませんね。

気になるのは、評論活動を辞めるという声明の中に医師もやめるという記述があったことです。
その後の粟村さんをご存じでしたら、教えてください。

TAKESI0506さん⇒K Nさん

なんと粟村さんに会われ、ご自宅にまで行かれたのですか、なんともうらやましい!!
 私も生まれ育ちは大阪ですが、ジャズレコードブックを買ってジャズを聴き始めた時は名古屋に転居してしまってましたので、とてもそのような機会はありませんでした。
 私なら粟村さんの姿をお見かけしても声をかけるなど、とてもできなかったと思います🥲
 心斎橋の三木楽器のもう少し北の方に阪根楽器店というレコード屋さんがあって、そこで私は通販でレコードを購入してましたが、そこの店員さんも粟村さんの想い出を語っていました。とても親切で礼儀正しい人であったということでした。

Tommy Jobimさんからのコメント。

粟村政昭さんのジャズ評論、懐かしいですね。私のジャズの師匠(道案内人)は、粟村さん、油井正一さん、植草甚一さんでした。高校生当時のこずかいはあまりなく、視聴もできなかったので、上記の信頼できるジャズ評論家の推薦できるレコードを買っていました。

私は世代的に「ジャズ喫茶のマスターが書いた本」が道先案内人的な存在でした。
もちろん、油井さん、植草さんの本はチェックしていましたが、粟村さんは、最近になって資料をいただいて読むまでは、「名前なら聞いたことあるけれど……」的な存在でした。
こうして、いろいろな方からいただくコメントを読んでいると、当時のジャズファンにとっては、こちらの想像以上に大きな影響力をお持ちの方だった方なんだということを改めて認識している次第です。

人力飛行機さんからのコメント。

内容よりも先に言いたいことが・・・。動画のサムネが今は亡き橋本真也そっくりで。鉢巻きまでしてるし、道場での橋本真也にしか見えなかったのです(笑)それだけは言っておきたいですねー目を惹いたと。

爆笑。
私も橋本真也に似てると思いました(笑)。
フリー素材の画像を選んでいる際、ひときわ目を惹いた画像だったもので……。
インパクト感じてもらえたのであれば、目論見通りw
嬉しいです。