1970年5月 サンフランシスコのマイルス

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ジャズ評論家の粟村政昭氏は、1970年、『ビッチェズ・ブリュー』発売直後にアメリカでマイルスのライヴを聴き、その素晴らしいブロウにノックアウトされたそうです。

私は「発売直後」ということから、4月にフィルモアウェストで行われたライヴ、つまりは『ブラック・ビューティ』の時のライヴを粟村さんは味わったのかと思っていたのですが、違っていたんですね。

5月だったそうです。
TAKESI0506さんの追加情報によると。

そのことを語った動画をアップしました。

ちなみに、動画中、「マンハッタン・ジャズ・クインテット」のことを「マンハッタン・プロジェクト」と言い間違えてしまいました。すいません。

「プロジェクト」は、原爆……、いや、レニー・ホワイト(ds)、ウェイン・ショーター(ts)、ミシェル・ペトルチアーニ(p)、スタンリー・クラーク(b)、ギル・ゴールドスタイン&ピート・レヴィン(key)らの即席(臨時)編成ユニットのことじゃないですか。たしか、ヴォーカルのラッシェル・フェレルも《枯葉》で参加していましたね。
なかなかの迫力。

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コメント

イヤダローさんからのコメント。

アシッドジャズがブームの時に、「ロンドン・ジャズ・クラシックス」っていう、コンピ版のシリーズが出てて、アイアート・モレイラも、サンバ調の一曲を提供しているんですが、その時は「カルトスターみたいなヒトなんだろうなぁ」ぐらいに想像していましたが、マイルスのツアーにも参加しているし、チック・コリアの「リターン・トゥ…」とか、ウェザーリポートにも参加してて、一流のパーカッショニストなんですね。
ラテンヴィブラフォン・ジャズのボビー・パウネットの曲もセレクトされているし、「ロンドンジャズクラシックス」は、なかなかセンスのいい選曲をしていると思っています。

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アイアートといえば、我々(私だけ?)ジャズ好きからしてみると、やはり「チックやマイルスのところにいた人」というイメージが強いですね。

『ロンドンジャズクラシックス』は聴いたことがないので、今度チェックしてみますね。
「ジャズ本国」ではないロンドンのDJの嗅覚って、ケニー・ドーハムの《アフロディジア》の時もそうでしたが、独特なセンスがありますよね。

ヒップホップ好きの息子によると、今、ヒップホップで注目が集まっているのはロンドンなんだそうです。

Ken Konishiさんからのコメント。

日付は忘れましたが、都庁が出来る前の広場でマイルスを聴きました。当日のコンディションは厳しかったですね。マイルスは殆ど吹かないし、強風で音は流れるし、PAの片側スピーカーが壊れて、聴衆がパイプ椅子を投げまくっていました。自分は怖くなって退散した覚えがあります。何だか文句ばかりのコメントで御免なさい🙇

村上ぽん太さんも、いらっしゃったのですね!驚きです^^

なるほど~。
ミュージシャンのコンディション以前の問題として、会場の「環境」の問題もコンサートの印象を左右する大きな要因だったわけですね。

>強風で音は流れる
>PAの片側スピーカーが壊れ
>聴衆がパイプ椅子を投げまくって

こんな状況じゃあ、仮にマイルスのコンディションが絶好調だったとしても、「良いライブだった」という印象を抱くほうが難しいかもしれませんね。

私は、テレビ番組用に「編集」された映像から当時のマイルスのライヴの模様を知った人なので、やはり「現場」にいた人と、「番組」をみた人間とでは印象がまるで違うのは当然だと思います。

YouTubeにもアップされている「マイルス・デイビス・カムバック・ジャパン・ツアー’81/1981年10月4日・東京 新宿西口広場」の映像は、じつは私がはじめてマイルスというミュージシャンを知った思い出の映像であります(こちら)。

渋谷の『スウィング』で最初にみた「ジャズ」の映像でもあり、よくわからないながらも、「ストイックでカッコいい」という印象を最初に抱きました。

その後、その店の常連になるのですが、飽きることなく何度もこの映像をリクエストして食い入るように見ていたものです。

時折あらわれる

「立ち停っていると両脚が痛む
  そのため演奏中も
   断えず歩きつづける」

というような短いテロップが泣けてきます。

今でも、この映像の最初の《バック・シート・ベティ》を聴くと鳥肌が立ってきますね。

Hiromi Hasegawaさんからのコメント。

脇から失礼します。81年10月の様ですが、NHKで放映した特集番組をみた記憶があります。そのころはJazz初心者でただただ目を丸くして見入っただけですが、N響のトランペット奏者の方が「電気トランペットは超むずい、マイルスすげぇー」みたいなコメントをしていました。

まぐまぐさんからのコメント。

マイルスは やっぱライブものがいい! でも それよりも 生演奏が良かったとは・・・ 1970年のマイルスの生演奏を実際に聴いてみたかった・・・

ほんと同感です。
一度でいいから生で聴いてみたかったです。

Tetsuo Nambaさんからのコメント。

サン・フランシスコだったら、Both/And Jazz Club が有名でした。きっとそこでしょう。

情報ありがとうございます。
モヤモヤが晴れました!

サンジョルディさんからのコメント。

【ジャズ・パラレルワールド・アメリカ編、あるある】

(『ウルトラQ』のテーマをバックにした、石坂浩二のナレーション風に)
もしも、たった一人の男の行動で、アメリカのジャズの歴史が変わってしまったとしたら…。
この3分間、あなたの目は、あなたの体を離れて、このパラレルワールドへ入っていくのです。

(パラレルワールド・日本編の続き)
61年1月の来日公演で成功した、モブレー入りのジャズ・メッセンジャーズは、ヨーロッパツアーを成功させ、ヨーロッパにもジャズブームをもたらす。ヨーロッパツアーの観客席には、ブライアン・エプスタインもいた。
全米ツアーも大成功し、ジャズ・メッセンジャーズは、ハードバップの大看板となった。

当時マイルス・クインテットに復帰していたジョン・コルトレーンは、モブレーを自分の後釜にしようと考えていた。しかし、モブレーに「ごめんね。ジャズ・メッセンジャーズで忙しいんだ」と断られてしまった。
他に推薦するテナーがいなかったので、マイルス・クインテットに残留。ウィントン・ケリーの後釜に、ブルーノートで共演経験のあるソニー・クラークを推薦した。マイルスは気が進まなかったが、コルトレーンを残したかったので、承諾。その分、クスリ漬けだったソニー・クラークにボディーブローを見舞い、クスリを断ち切らせた。マイルスは、ジミー・ギャリソン、トニー・ウィリアムスを得て、緻密なアンサンブルの上に、鋭いトランペットを響かせるライヴで人々を魅了し続けた。なお、コルトレーンのソロが止まらない時は、トニー・ウィリアムスがロールを入れて止める場面が、日常茶飯事であった。

このパラレルワールドでは、ビートルズは、リヴァプールの地元バンドで生涯を終え、アメリカでのブリティッシュ・インヴェィジョンは起きなかった。アメリカでは、ジャズクラブ、ジャズカフェが絶頂期を迎えた。

この頃R&Bにおいて、エレキギターのひずみが日々工夫・改良され、そこに目をつけたのが、ウェイン・ショーター 、ハービー・ハンコック、ジョー・ザヴィヌルである。
当時R&Bで、バックバンドを務めていたジミ・ヘンドリックスを誘い入れ、フレディ・ハバード、ロン・カーター、エルヴィン・ジョーンズらと<ストリーム・リポート>を作り、ジャズのエレクトリック化と他のジャンルとの融合を推し進めた。のちにジャコ・パストリアスも加入する。

この、ジャズ・メッセンジャーズ、マイルスクインテット、<ストリーム・リポート>の3グループがジャズ界を牽引した。現在でも、ジャズクラブやジャズカフェは、スターバックスよりも多いとされる。

(『ウルトラQ』のテーマと石坂浩二のナレーション風)
あなたがコロナ禍が終わって、アメリカへ旅行した時、街の若者の音楽に耳を傾けてみてください。自分がパラレルワールドへ迷い込んだかどうか、確かめるために…。

前回の「モブレー熱海編」から間髪を置かずに、
出たぁぁ~~~!!!!
ジェット・サンジョルディズ・アタック!!!(謎)

今度は「ビートルズと電化マイルスのない20世紀」ですか。
(なんか菊地成孔の「ロックとフォークのない20世紀」みたいですな)

ウェザーじゃなくてストリーム・リポート(笑)。

ギャリソンがベースのマイルスクインテットって……、想像つかん。
きっと、「あの4部作」のようなサウンドには間違ってもなってなかったでしょうね。
だって、ショーターもロンもハンコックもいないんだもん。
トニーだけがポツンと取り残されて(笑)、ソニー・クラークがピアノということは、2対1でトニーの負けですね。

どういうことかというと、シャープでスピード感あるトニーのドラムですが、重く引きずるようなピアノとベースの2人がトニーの「前面ドバーッ!と爆発」を食い止めるような気がするからです。

それに、テナーが熱くて迫力はあるんだけれども融通の利かないトレーンでしょ?

ロン、ハンコック、ショーターの時のような「浮遊感」や「別次元瞬間移動アンサンブル」は望めず、どちらかというと、地に足のついたマイルス流ネオ4ビートが展開されていそうですね。

ストリーム・リポートは、ザヴィヌルとハンコックの2キーボードでしょうか?
ハバードにジミヘンが組み合わさると、いやあライヴはめちゃくちゃエキサイティングでしょうね。うるさいくらいに(笑)。

で、ジャコが加入すると、やっぱりロン・カーターは追い出されるのでしょうか?(笑)
その後のロンの行方が気になります……。
「独特な音程」が買われて、イギリスのニューウェーヴバンド「JAPAN」のベーシストになっていたりしてね。

にしても、「ギャリクラ(ギャリソン+クラーク)」なマイルスのサウンドが気になるなぁ。
ライブのレパートリーには、きっと《ソー・ホワット》や《マイルストーンズ》が演奏されるんでしょうが、トニーのドラムに煽られてモード曲を弾くソニー・クラークがまーったく想像できません(涙笑)。

サンジョルディさんからの返信。

素晴らしいツッコミ、ありがとうございます😄
とても全てにお答えできません😂
マイルスは、舞台芸術の演出家を雇います。
<ストリーム・リポート>は、ザヴィヌルがシンセ、ハンコックがエレピのダブル鍵盤です。
ベースは、ロン・カーターとジャコ・パストリアス、そしてスタンリー・クラークも加わり、<ストリーム・リポート>は、ますます肥大化します😝

ツインキーボードに、トリプルベース。
エレクトリックギターに、トランペット。
『ビッチェズ・ブリュー』じゃないですか~!

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サンジョルディさんからのコメント。

ほんとですねー😂
エレクトリック化は、<ストリーム・リポート>が担います🤩

まさかロンがエレクトリック化の一翼を担うとは……。

サンジョルディさんからの返信。

ロン・カーターは、ライヴが終わる度に、ウェイン・ショーター に「僕は、エレクトリック・ベースは、やらないからねー」と言い続けたので、ショーター も何も言わなくなってしまいました。
しかし、ロン・カーターは、後から入ったジャコ・パストリアスとは気が合い、二人で『ロン&ジャコ・ミート・バッハ』というデュオアルバムをリリース。収録中2曲では、お互いの楽器を交換して演奏しました😆

まさか、ロンとジャコが仲良しになるとはねぇ(爆笑)。

だって、どう考えても、技術度からしてみれば、ジャコが10だとしたら、ロンは良くてもせいぜい1か2でしょ?(それ以下かも?ノリとアイデアは独特だとは思いますが……)

トンガりジャコと、なんともいえぬ味わいがあるといえばあるカーターさんがねぇ。

まるで、これは尖がりモーガンと、もごもごモブレー的な組み合わせじゃないですか。

二人は、ストリーム・レポートでペックしあったわけですね。
低音で。

高松貞治さんからのコメント。

中山康樹さんはマイルスを聴け!!で、ジャズはアルバムが多すぎる、ちょっと気づいたらビル・エヴァンスも170枚くらいある!と怒っていました!どうしてロックに比べてジャズはこんなにアルバムが多いのか不思議ですね!

練り上げずにサクッと演奏できちゃう
⇒サクッと録音できちゃう
というところもあるからじゃないですか?
(特にプレスティッジw)
もちろん「練り上げジャズ」もありますけど。

高松貞治さんからの返信。

そういう考えもありますね!やっぱりロックなのに比べて軽いというか小回りがきくんですかね、いろんな意味で!そこがジャズのいいところでもあるんですよね!

そうですね、あとライヴのほうが良い演奏するジャズマンがいたり、ライヴの臨場感も捨てがたいということで、ライヴ録音が発売されたり……を繰り返しているうちに、いつの間にか膨大な枚数になってしまう、と。

あと、おっしゃるとおり「小回り」なんですが、その「小回り」のもう一つの大きな理由は、オリジナル曲を作曲し、アレンジし、練習する時間が必要なロックに比べると、ジャズの場合は、誰もが知るスタンダードナンバーやブルースを簡単な打ち合わせ後に「せーの!」で演奏できてしまうので、どんどん録音が出来てしまうということもあるかも。

さらに、ロックミュージシャンに比べると、例外はもちろんありますが、やっぱりジャズマンのほうが演奏力が高いので、間違えずにサクッと演奏できてしまう。だから、それほど多くのテイクを重ねる必要がない⇒少ない時間でたくさんの曲を録音できたということもあるかもしれません(特にプレスティッジw)。
もちろん、『クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス』のように、予算をかけた作品は10テイク以上録り直しということもありますけど。

あと、現在はわかりませんが、昔は読譜力のあるミュージシャンの人口は、ロックよりもジャズのほうが多かったということもあるかもしれません。
もちろん、ウェス・モンゴメリーのような例外な人もいますが、ビッグバンド出身のジャズマンも多かったわけで、彼らは譜面が読めなければ仕事が出来ませんからね。
で、譜面が読めて演奏力があれば、メンバーが書いたオリジナル曲をサクッと演奏できてしまうので、またまた録音が進む。
中にはブルーノートのようにリハーサルの日を設けていたレーベルもありますが、そんなブルーノートでも、気に入ったミュージシャンがいれば、たとえばジミー・スミスのように1年の間に何度もレコーディングを繰り返し、ぽんぽこアルバムを出しまくっていたこともありますからねw

大量に録音したり、演奏が長くなれば「vol.1」「vol.2」と分けて出せばいいしw

そんな理由でジャズのアルバム、どんどん増える、そして、ジャズファンの財布が追い付かない現象(涙)。

高松貞治さんからの返信。

譜面が読める事は大事ですよね。マイルスはロックの連中は譜面を全く読めないし、音楽のことを全くわかってないと本に書いて嘆いていました。ジャズの人たちの方がロックよりも音楽に精通していたんではないかと思います。だからあれだけのアルバムが作れたんじゃないかと思います。でも作りすぎですよね!ジャズファンとしては嬉しいやらお金が飛んでいくので悲しいやら😭

たしかに!