アルトサックス奏者 リー・コニッツのアドリブ

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永井勉さんからいただいたコメントです。

4日・5日と昼間から酒を飲んで体調不良気味の永井です・・・m(__)m
私はパーカーとコニッツの違いはアドリブの構成力の違いだと
思います・・・m(__)m
パーカーは多分、誰もまねできないところまで到達していて
コニッツは追いつかないと感じたんじゃないですか・・・??
コニッツのフレーズにはわざとベタなフレーズを避けている
感じがします・・・m(__)m
例えば機械的・意識的に無音状態を創ったり 
3音吹けばコードトーンになるのに5音吹いてクロマティク
にしたり・・・わざと憧れのパーカーとは違うアプローチ
をしているとしか思えません・・・m(__)m
1961 Motionの All Of Meなんてわけが解らない
演奏ですが 1957 Inside Hi-Fiの All Of Meでは
物凄く聴きやすいバージョンなんです・・・m(__)m
意識的にアドリブのアプローチを変える事が出来るから
聴き手はそれを冷たいと感じるのでは・・・m(__)m

こちら

す、鋭い!
よく聴いていますね。

そこで、永井さんのコメントに触発されて語った動画をアップしました。

コメント

2019 enchanさんからのコメント。

動画配信ありがとうございます。トリスターのからしっかり学んでたんですね(しかし、当時から いかにパーカーが革新的で影響が絶大だったことか!)。『コードからではなく、メロディーから』というアプローチは何となくですが理解できます〜。コード中心で弾けるようになるとと『あ〜弾けるようになった!』って思うんでしょうけど、しょせん魂がこもっていないというかフィーリングが出ないプレイになっちゃうような、多分。今日明日でコニッツ聴いて、永井さんレベルの聴力を目指します(無理か💦)。

まずは「禁酒解禁」からですな(笑)。
>永井さんレベルの聴力を目指します

いまのままだと、「パワー負け」するかもしれません。

それはそうと、
>しょせん魂がこもっていないというかフィーリングが出ないプレイになっちゃうような、
これを裏付けるような話を思い出しました。

昔のアンサンブルレッスンの先生からのまた聞きの話なので、細かな部分は違っていると思いますが、以前、リー・コニッツのクリニックかレッスンを受けた日本人の生徒は、どのようなレッスンを受けたのかを尋ねられたら、「ひたすら歌を歌わされた」とのこと。
サックスはまったく触らせてもらえなかったそうです。

これ、私もヤマハ音楽教室の幼児科やジュニア科アンサンブルでは、「ソルフェージュ」として当たり前のように、ほぼ毎週レッスンでやっていた記憶があるのですが、けっこうコレ、重要だったのだなと今さらながら思っています(子どもの頃は、皆と歌うのがとても恥かしかったのですが)。

もちろんクラシックにおいても、表現力向上という意味では大切なトレーニングだとは思うのですが、即興の要素の多いジャズの場合、いかに自分のアドリブラインに説得力を持たせるかということにおいては、音符を階名で歌うことは、「今、この瞬間、即興で演奏したメロディ」に説得力を持たせるためにとても重要なことだと思うのです。
説得力というか、重みというか。
これがないと、単にパラパラと機械的に奏でているだけに聞こえてしまうのだと思います。だから、以前、動画でも話した「歌心」というのはそのあたりにあると私は思っています。決して、「楽器音痴なオッサンが、酒に酔っていい気分で歌えるわかりやすいメロディ」を奏でることが歌心ではありません(笑)。

だから、「素っ気なさ」を感じることもあるコニッツのアドリブにも説得力を感じるのは、師匠の教えで、じっくりとメロディと対峙し、時には歌ったりして、音符の並びに抑揚や生命力を与える訓練を繰り返してきた賜物だったんじゃないかと思うのです。

永井勉さんからのコメント。m

永井です・・・m(__)m
そうなんですよね、酒を飲んでない時は
廃人の様な感じなんですが、酒を飲むと
何故か頭がシャキ~ンとするんです。
アル中か!!・・・W

>アル中か!!・・・W
アル中です(笑)

Kawai Andyさんからのコメント。

さすが永井さん!鋭い!

博 橋本さん⇒永井勉さん

与太郎に毛の生えた様な耳の橋本です。
永井さんの快刀乱麻を断つ様な耳で、バッサリ斬り取った音の正体を、分かりやすく与太郎に御教示下さい。

永井勉さん⇒博 橋本さん

こんにちは、博 橋本さん。永井です・・・m(__)m
最初に言っときますが私は本嫌いでJAZZ本は
ほぼ読んだことがありません・・・W
コーニッツの音が冷たいと、以前雲さんが言っていた事から
両者は真逆の音の選び方をしているんじゃないかと
という説をたてました。 コーニッツのプレーは上手いのに
あまり熱量を感じさせません。
1950 の頃のアルト奏者が何故パーカーを感じさせる
プレーをしないのか??そこで推測したのがあの投稿です・・・m(__)m

博 橋本さん⇒永井勉さん

私は本は目に入るとつい読んでしまいますが、耳は与太郎です。
永井さんの目の付け所と推理に与太郎は目から鱗です。
与太郎がまずコニッツの特異性について思うことは、単純に黒人と白人の違いとの、ステレオタイプの判断でした。
真逆といえばこれも真逆ですが、パーカーとの真逆というのが一番のキーポイントで、与太郎の耳では恐れ多い領域です。
有り難うございました!

TM MTさんからのコメント。

「パーカー派のアルトだけても、電話帳作れるぐらいいる。その中で優れた人は〜」て誰か言ってましたけど。同時代に生きていれば大変だと思います。無理やりバリエーションを作らねばなりません。まずは「リスペクト」しているということでそっくりに演奏する。白人パーカー 日本人版パーカー
フランス人パーカー
その他パーカーの演奏のここらへんを強調してみたいということで様々なバリエーションが生まれますね それとなく「パーカーに影響受けない」という「バリエーション」もあると思います。

そうですね、最初はコピー(似たようなスタイル)からはじめて、で、うまくファンキーやソウル方面に脱却できたのが、キャノンボールやルー・ドナルドソンだったんじゃないかと思います。
マクリーンやフィル・ウッズは、リズムセクションを変えたりすることで、よりエキサイティングな路線に突入していきましたね。
ドルフィーはさらに抽象度を増したニュージャズ方面へ、で、マリオン・ブラウンは……、意外にマリオン・ブラウンや、ケン・マッキンタイヤーのような天然っぽさを感じさせるスタイルの人は(実際は天然な人ではないと思いますが)、パーカーに影響を受けないという選択肢を歩んでいたのかもしれません。

Tetsuo Nambaさんからのコメント。

Lee Konitz がインタビューで Stan Getz ついて語っています。
Stan は素晴らしい才能を持っていて優れた演奏を多く残した。でも、有名になるとテクニックをひけらかし、「やり過ぎる」事があった。僕はインプロビゼーションでは常に違うことをやろうと思っているが、彼は時に使い古したフレーズを吹いていた。また、彼は周りの人にはあまり優しくなかったよ。僕がサンフランシスコのクラブに出た時、演奏中に Stan とSonny Stitt があからさまに僕のことを馬鹿にしたんだ。気持ちの良いことではないね。

スタン・ゲッツのことは「彼はたしかに素晴らしいサックス奏者だが、人間的には……」という文脈で語るジャズマンが多いですが、コニッツも例に漏れずだったんですね。
しかも、スティットまで。
電話インタビューなんでしょうかね?
「メイキング・ファン・オブ・ミー」みたいな言葉はかろうじて聞き取れましたけど…。

Tetsuo Nambaさんからのコメント。

Lee Konitz の別のインタビューです。
Charlie Parker と一緒にツアーしたことがあるよ。共演はしなかったけどね。その時には彼はドラッグに侵されていて、新しいことにチャレンジする気力はなかった。周りのアルト吹きが揃って彼のコピーをする事にも心底参っていた。だから、僕がそうしないので有難いと言っていた。彼の本心だと思うよ。後日、僕の家に招いて彼のレコードに合わせてソロを吹いて見せたら、本当にビックリしていたよ。

へぇ、そういうこともあったんですね。
ソニー・ダラスがインタビューで語っていたとおり、本当にコニッツはパーカーそっくりに吹く練習をしていたんですね。(って、べつに疑っていたわけではないんですが…)

Kazuya Tanabuさんからのコメント。

「コニッツはベタなフレーズを避けようとしている」まさにその通りだと『motion』を聴いてみて、感じました。それ故に聴きどころがわかりにくく、食い足りない気がしてしまいます。

逆にパーカーは、音色の力強さ、スピード感、フレーズ内で言い切る潔さ、素人耳にも聴いていてわかりやすい気持ちよさがあります。
コニッツの良さがわかるには、少々時間が掛かりそうです……

もちろん、私も『モーション』の素晴らしさに開眼するまでは、かなり時間がかかりました。
これ、シンプルな編成とはいえ、かなり上級者向け(?)の演奏だと思います。

なので、
>少々時間が掛かりそうです……
ゆっくり、時間をかけて好きになっていければ良いと思いますよ。

R Kさんからのコメント。

お疲れ様です。
あ~、やっぱりそうなんですね。
アルトサックスプレイヤー(マルチプレイヤーも含む)というと、〝チャーリー・パーカー〟を中心に考える方々が圧倒的に多い、つまり〝マジョリティー〟だという事ですね。

以前もコメントしましたが、アメリカ映画の〝バード〟を観た際に、パーカーの〝苦悩〟に焦点を当てていたところが感慨深かったですね。彼もまた、志半ばで天に召されてしまったという事だと思いますが、〝もし〟、もっと長生きしたらどうなっていたか、音楽面の変化はあったのか、実に興味深いところです。

物理学に〝作用、反作用〟という定理がありますが、リー・コニッツのプレイではフレージングの端々にパーカーの影響を感じるところが結構見受けられると思います。ただ、〝楽器〟をどうやって鳴らすかという点での奏法は、物理的にハッキリと違う点がある様に思います、〝サブトーン〟気味にタンギングしたりするのは、もうひとり、有名なプレイヤーがいますね。強くて明るいアタックのパーカーとは好対象に感じます。

そうして考えるとパーカーの影響力は逆方向にも作用しているという事だと思います。リー・コニッツの場合はそれをもろに食らってしまったとも言えるでしょうか。

またまた〝ベタ〟ですが、同時期に活躍していたアルトサックスプレイヤーに〝ポール・デスモンド〟がいます。意外にもリー・コニッツよりも年齢が上でしたが、ふたりの間に親交があったのでしょうか。デスモンドの場合は、パーカーイデオムとの間にリー・コニッツを挟んだ形になったのでしょうか。メロウなトーン、クールなフレージングがより際立っている様に思います。

時代背景も大きな影響を与えると思います。デスモンドが〝テイク・ファイブ〟などの変拍子を取り入れた様に、時代による楽曲の変化はオリジナリティーを模索するプレイヤーにとって良い方向に働いた様に思います。

80年代にヒットしたアルバム〝ワインライト〟でのグローバーワシントンjr.のプレイからは直接的なパーカーからの影響は見て取れません。彼はまたソプラノからバリトンまで吹くマルチサックスプレイヤーでしたが、〝フュージョン〟のリズムも相まって独自の世界を持っている様に思います。

どうやっても影響は受けるのでしょうね。さて、その先をどうするかでしょうか。

興味深く拝読しました。

影響受ける、受けない、受けたとしても意識的に出す、滲み出るなどいろいろあって難しいですね。

大昔、城山三郎だったと思うのですが『父親から息子に送る手紙』みたいなタイトルの本に(曖昧…)、
「水と油は混ざらないというが、じつは、水と油の境目のところは、ほんのちょっとだけ混ざっているんだよ(だから良い環境で良い影響を受けて育ちなさい、、という流れだったと思います)」というフレーズがなぜか、頭の隅っこに残っていて、それを思い出しました。

R Kさんからの返信。

返信頂きまして恐縮です。

水と油を混ぜると〝乳化〟という作用によって一見異なるものに変化しますね。人間はそれを機械的に行って〝マヨネーズ〟などを作りますが、哺乳類のお母さんはそれを体内で作り出して子供に与えます。

何かが生まれると、それはさらに進化してゆくというのも必然的なもので〝諸行無常〟だという事でしょうか。

それにしても、〝おっぱい〟は偉大ですね。

乳化の話、知りませんでした。
ありがとうございます。
うーん、やっぱりおっぱいは偉大ですね(笑)。

Tommy Jobimさんからのコメント。

パーカーとコニッツ、どちらも凄いプレイヤーですね。
コニッツが、トリスターノのレッスンを受けていた時は、「パーカーには近づくな」と言われていたそうです。(出典は忘れました)
先日のかまいち亭で聴いたスタンゲッツのソロで、高音域のソロがコニッツのように聴こえるというのは、新しい発見でした。CDの名前を教えていただけると嬉しいです。
なお、コニッツの名盤として、Subconscious-LeeやエルビンとやったMotionが取り上げられますが、DUET(1967)についても言及してしていただけると嬉しいです。アルバム1曲目のStruttin with Barbequeは、バルブ・トロンボーンのマーシャル・ブラウンとの二重奏のドライブ感が絶品です。
また、パーカーとトリスターノのデュオは、1950年前後に黒人と白人の交流が進んでいたことがよくわかります。(Birth of The Cool : Miles Davisだけでなく)
パーカーのソロが、コニッツぽいですよw

先日、かまいち亭に持参したCDは、フレッシュサウンズの『マイルス・デイヴィス・バードランド・デイズ・フィーチャリング・スタン・ゲッツ」です。

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クール時代のゲッツの冷んやりテナーが心地よいです。

『デュエッツ』は、デュエットで演奏している各曲よりも、ラストのドバーッとみんなでやっているアンサンブルが迫力で好きですね(笑)。

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ご紹介いただいた音源ですが、うーん、私にはパーカー以外の何者でもないように聞こえます。
まず音色の分厚さがぜんぜん違う。
それと、フレーズの脈打ち方。
パーカーは、もう血肉モリモリのアーティキュレーションで生き生きと音符の並びが脈打ってます。
コニッツの平坦な抑揚(これがコニッツの魅力なんですが)とは、まるで水と油に感じました。
だから、個性が対局のパーカーもコニッツも私は好きなんですが……。