ブルーノート型ハードバップと『愛と幻想のファシズム』

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サンジョルディさんからのコメント。

【知らないとは言えないジャズ好きご隠居と、すぐ聞きたがる熊さんの会話、あるある】

【熊さん】
この前、横町の<ごっちゃん>と話した時に、<ブルーノート流ハードバップ>という言葉が出やしてね。この<ブルーノート流ハードバップ>が、何となく分かるような、分からないような…。

【ご隠居】
ふむ。一口に<ブルーノート流ハードバップ>と言ってもいくつかの要素と言うか、側面があるのう。

【熊さん】
まずは、2ホーン、3ホーンのフォーマットが多いことでやすねえ。
それから、<なめっち>が言っていた、<新人主義>と<新曲主義>と<スタジオ主義>ですかい?

【ご隠居】
よく知っておるのう。
おお、ちょうど、ルイ・スミスの『スミスヴィル』(ブルーノート58年録音)を聴こうと思っておったから、これで考えてみようかの。

【熊さん】
ルイ・スミスとチャーリー・ラウズの2ホーンでやすねえ。ルイ・スミスも良いし、ラウズもしびれやすね。
それから、確かに、ルイ・スミスは、<新人>でやすね。
それにアルバム収録の5曲のうち3曲がルイ・スミスの自作、<新曲>ですねえ。それに<スタジオ録音>ですし。

【ご隠居】
そうじゃ。他には、<ブルーノート流ハードバップ>の要素は、思い当たるかの?

【熊さん】
<曲の展開>ですかね?最初にみんなでテーマを演奏して、その次に順番にアドリブソロを演奏して、最後テーマに戻るという。

【ご隠居】
そうじゃ。大体がそれじゃから、<型にはまっている>ととらえる向きもあるじゃろうがの。
他に、<ブルーノート流ハードバップ>の要素と言えば、<アルバムの構成>かのう?

【熊さん】
どういうことですかい?

【ご隠居】
ルイ・スミスの『スミスヴィル』じゃと、
A面1曲目は、ゆったりとした、濃いブルースじゃよ。
そして、A面2曲目に、にぎやかな、ある意味ビバップ的な曲を入れておる。

【熊さん】
ブルースでゆったり始まって、次に盛り上げるんでやすなあ。そう言えば、ソニー・クラークの『クール・ストラッティン』(ブルーノート58年録音)やソニー・ロリンズの『ソニー・ロリンズvol.1』(ブルーノート56年録音)もそうでやすね。

【ご隠居】
まあ、その逆で、1曲目がアップテンポで、2曲目がゆったりブルースもあるがの。どちらにしても、1曲目と2曲目は、曲想を変えておる。
そして『スミスヴィル』では、B面1曲目は、リーダー、ルイ・スミスのワンホーンで、しっとり聴かせる、スタンダードのバラードじゃよ。
B面2曲目は、アップテンポのスタンダード、これもビバップというか、さらに前のスイング時代を思い起こすような曲じゃ。
最後の曲は、ルイ・スミスの新作じゃが、アップテンポの祝祭的な曲じゃのう。

【熊さん】
さすが、アルフレッド・ライオンでやすなあ。
緩急のバランスと、新作とスタンダードのバランスの良さが、曲の順番を見ると、良くうかがえやすねえ。まさに<繰り返し何度も聴けるレコード>としての、ハードバップのアルバムでやすなあ。

【ご隠居】
ところが、60年代前半と、64年頃に少し変化が訪れるのじゃよ。

【熊さん】
60年代前半の変化とは、モードジャズの影響ですかい?

【ご隠居】
そうじゃ。マイルス・デイヴィスの『カインド・オブ・ブルー』(コロムビア59年録音)の影響じゃろう。
60年代の早い時期から、ブルーノートのアルバムのA面に、モードジャズの曲が、1曲とか、少しずつ入るようになった。ちょっとブルーノートのアルバムの雰囲気が変わってきたのう。
そして、ウェイン・ショーター あたりから、モードジャズが中心となり、まさに<新主流派>の流れが生まれたのう。

【熊さん】
何もモードジャズは、ハービー・ハンコックの『処女航海』(ブルーノート65年録音)で、いきなり始まった訳じゃないと言うことでやすね。どうも、あのアルバムの印象が強くて…。
するってえと、64年頃の変化というのは、日本で言う<ジャズロック>調ですかい?リー・モーガンの『ザ・サイドワインダー』が売れたことによって、A面1曲目に、よく<景気づけ>みたいに入っていますね。

【ご隠居】
そうじゃ。ハンク・モブレーの『ディッピン』(ブルーノート65年録音)の1曲目の「ザ・ディップ」はそうじゃのう。

だからのう、
<ブルーノート流ハードバップ>と言うのは、50年代後半が典型であり、絶頂期だったんじゃよ。

【熊さん】
それじゃあ、アルフレッド・ライオンが引退した66年頃も、アルバムに変化がありやすかい?

【ご隠居】
ふむ、ライオン引退後でも、67年頃まではフランシス・ウルフがライオンらしさを守っていたようじゃが。
その後は、徐々に買収したリバティの意向を受けたようで、大編成バンドで、イージーリスニング化したものもあるのう。

【熊さん】
横町の<ごっちゃん>が、「僕は、50年代のハードバップが好きなんだよねぇ」と言うのも何だか分かる気がしやすね。

【ご隠居】
<ごっちゃん>の言う<50年代ハードバップ>には、ブルーノートだけでなく、プレスティッジあたりも入るじゃろうが、
ただ、<ブルーノート流ハードバップ>が、あの世代、いや、ジャズ好きに与えた影響は、底が知れんからのう。

相変わらず「面白興味深い」ので、動画で紹介しました。

コメント

高松貞治さんからのコメント。

また、里国隆の沼にハマってしまいました!もう何もしたくありません。あぁ奄美大島か沖縄の南国に行きたい…..。動画が頭に入ってきません。しばらくジャズの話はできません。

私も奄美か沖縄行きたいです。
特に、今の気分としては、奄美の鶏飯食べたい♪

高松貞治さんからの返信。

村上龍の「愛と幻想のファシズム」は、庵野秀明監督に影響与え、エヴァンゲリオンにも色濃く反映されてますよね!というか動画が頭に入ってる!ちなみに今新聞で知りましたが、西村前大臣の自画自賛コロナ本、「コロナとの死闘」と言う本があって、Amazonでカスタマー評価が全部最低の星1つでした!みんな罵倒の嵐です。レビューを見るだけでも笑えますよ🤣こうなったら逆に読みたくなりますね。

見ましたよ、覗いてみましたよ!
すっげー!🤣

5つ星評価のレビューもディスりだらけ!

「ブックオフで5円で買った」というコメントもありましたが、5円だったら私も買って読んでみようかな(笑)。

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サンジョルディさんからのコメント。

コメント返し、ありがとうございました😊
<ブルース主義>、納得しましたー😌

博 橋本さん⇒サンジョルディさん

すみません! 前の動画に返信してしまいましたが、こちらに移します😅
河出書房の『KAWADE夢ムック・ブルーノート』(2012)の巻末に『THE RVG WORKS 1957-1958』というのが有ります。57-58年の二年間のヴァンゲルダーとブルーノートとプレスティッジの多忙さをヴァンゲルダー・スタジオのスケジュール表で一覧できます。
データを作成した菅原正晴氏と編集部の方の対談の中に興味深い箇所が有りました。
 
 編集部 「カレンダーに曜日を入れたらすごい発見が有りました」
 菅 原 「・・・そうです。「名盤は日曜日に生まれる」
という事でした。

ヴァンゲルダーが、まだ検眼技術者を続けていたため、落ち着いて仕事が出来たのが日曜日ということらしいです。
事実、1568『ハンク・モブレー』 1577『ブルー・トレイン』 1588『クール・ストラッティン』 1595『サムムシン・エルス』 4001『ニュークス・タイム」 1578『ザ・クッカー』 1581『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』などみんな日曜録音。
ソニー・クラークは1576『ソニーズ・クリブ』 1570『ダイヤル”S”フォー・ソニー』 1579『ソニー・クラーク・トリオ』と根強い人気どころが日曜録音でした。
56年のデータは掲載分には含まれていませんが、調べてみたらvol.1 を録音の56年12月16日も日曜日でした😆
サンジョルディさんご安心を! ロリンズのvol.1 も間違いなく名演・名盤です😆
*ルイ・スミスも調べる価値ありかな?

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サンジョルディさん⇒博 橋本さん

素晴らしいですー😆
日曜日ですかー。
おかげさまで、『ソニー・ロリンズvol.1』は、名盤であることが、立証されましたー(笑)

博 橋本さん⇒サンジョルディさん

良かった😃
手が空いたらルイ・スミスも調べます😄

サンジョルディさん⇒博 橋本さん

ルイ・スミスの『スミスヴィル』は、1958年3月30日、日曜日でしたー😎
名盤確定ですー(笑)

博 橋本さん⇒サンジョルディさん

(名盤)日曜説も確定ですね😎

ブルーノートじゃないですが、エヴァンスの『サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』や、『ワルツ・フォー・デビー』もサンデイ(日曜日)ですね♪

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博 橋本さんからの返信。

ロリンズもエヴァンスも『サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』ですね。
『ヒア・カムズ・ルイ・スミス』は19572月4&9日(月曜・土曜日)でした。

日曜日万歳!(笑)

博 橋本さんからの返信

今日も日曜日です😃 良い日曜日を!

ありがとうございます。

Jさんからのコメント。

ロリンズvol.1 は いやあ 味がありますね    あまりロリンズ意識せず    長年聴いてきたひとには なんかいいですね~
                    J

まぐまぐさんからのコメント。

動画 聞きましたが・・・ 山岸リョウジ的ですか・・・  俺って もう 40代後半なんですけどね・・・w   

でも 王様が裸だと 素直に思ったら言える大人でありたいとは思っていますね・・・w

音楽は理屈じゃなく直感で接しているから 幸せでいつまでも 聴き続けられるのかもしれない・・・
だって トリックとか知ってしまったら 情熱が醒めてしまうかもしれないもんねw

製作者の意図がわかり過ぎてしまうと 興覚めしてしまう事もあると言うか・・・

例えば 今の日本のアーティスト YOASOBIの怪物 って曲を 聴いたときに 自分には 尾崎豊が浮かんで 音楽会社ソニーの意図がわかった気がしてしまったから
絶対 今の若い人たちより あの曲を 純粋には楽しめていない気がするんですよ・・・

とはいえ そんな事は 考えすぎで
その事で この曲を ただ決めつけてしまっているだけなのかもしれないとも思う事もあります・・・

知識って 役に立つし便利だけど 邪魔になることもあるかもしれないというか・・・

バカの方が 幸せで楽しめる事も多い気がするw

>王様が裸だと 素直に思ったら言える大人でありたいとは思っていますね・・・w

そうそう、それです!
年齢関係なく、そのような感性を持ちつづけているまぐまぐさんが羨ましいわけであります。

知識や「事情」を知ってることによって、それがかえって本質を見極める目を曇らせることもあるし、逆に私の場合なんかは直観力ないので、情報から情況を類推していくタイプなんじゃないかと思っています。

まぐまぐさんからの返信。

知識や事情を 正しく使いこなせる人で 自分の感性がきちんと確立している マスターだから 解説が面白いのであります・・・w 

っていうか むしろ 自分からしたら マスターも 結構 直感的だと思う事が多いけどなw
マスターが動画をアップしだした 初めの頃は特にそう思ってましたw  

だから 直感的に聴いている人の目線に立って 話をしてもらえるというか・・・
でも 直感的だけではなく 知識や事情が 話に厚みを持たせて 本当に為になると言うか・・・

自分としても 知識や事情を正しく扱うことや 聴き方をちょっと 教えてもらえれば 
今度は それを意識して自分でもそういう風に 聴いてみて そして自分でも なんとなく腑に落ちる事ができるんだと言うか・・・

だから ありがたいんですねーw   

マイルス・デイビスの 件では 本当に 腑に落ちた解説をありがとうございましたw

こちらこそありがとうございます!

TM MTさんからのコメント。

「狩猟社」?
食肉業者の同和団体ですかw この手の人達が主な構成員の団体は「指定暴力団」といいます。あらゆるファシズムは個人の考えではなく「村社会」から生まれると思います。例えばドイツのカトリック教会ではユダヤ人に対する偏見が元々強かった。フランシスコ・ザビエルもインドでユダヤ人虐殺を行っています。ヒトラーはそれをすくい取っただけですね。

「狩猟社」のネーミングの由来は、代表の鈴原冬二がハンターであることが由来となっています。
したがって、食肉業者とは関係ありませんw

そして、この政治結社が作られた大きな理由の一つに、「村社会≒システム」への憎悪、破壊があります。
しかし、組織が拡大するにしたがい、システムの破壊であるはずの原初の理念が、いつのまにか自らがシステムの中に組み込まれていくというパラドックスが、この小説の大きな醍醐味だと私は感じています。

今の時代の中では、テクノロジーを含め、多くの描写や手法が色褪せたものとなっていることは否めず、令和の時代にどういう評価がくだされるのかは分かりませんが、まあ暇だったら読んでみてください。

TM MTさんからの返信。

今度読んでみます。
多分序盤はB出身の猟師の若者が活躍する「時計仕掛けのオレンジ」みたいな話ではないでしようか?実際にいたらカリスマどころか、動物園みたいな臭いがしてw 近づけないのではないでしようか。

残念ながらB出身でも時計仕掛けでもありません。
まあ、読んでみてください。