あなたが、もしジャズ評論家だったら?

投稿者:

MrNOBUchanさんからのコメント。
(⇒こちら

例えば、ジャズディスク大賞とかの選定にあたり、律儀に経費と手間をかけ、テスト盤を作り評論家諸氏にもれなく配布しているレコード会社があるとする。一方そういうことにあまり関心なく、評論家諸兄が身銭を切ってアルバムを買い求め、聴き、評価してくださいね、あなたジャズが好きなんだから当然してくれますよね?と考える会社があるとする。
私がもし、毎回いくばくかの原稿料をもらって評論を雑誌に書いているプロの評論家だったら、双方を平等に評価するかと言えば、NOです。

>NOです。
平等に評価しない、と。
興味深いので、その理由(思考プロセス)をもう少し詳しく教えてくださいプリーズ。

作品としてのジャズ・アルバムの評価の大方は、一聴して感じた好き嫌い・あるいは楽しめたか楽しめなかったか?であって、はっきり言って人それぞれ、個人の好みであり勝手です。
ただしその評価が、ジャズディスク大賞とか半分公的な、社会的な評価につながるものであれば、話は微妙に変わらざるを得ません。
当然ながらその評価を下すにあたっては、参加者(レコード会社、アルバム作品)が少なくとも細部にわたりきっちり同じ条件にのっとって土俵に上がらねば、明らかに不平等だからです。一方にテスト盤を配布した会社があり、また一方にそれをしなかった(怠慢かました、とは申しませんが)会社があるのなら、それに対し一片の配慮もなく同列に扱うのは、私にとっては心情的に全くあり得ないからです。
些少でも営業努力をした会社とそれを怠った会社は、差がついて当然です。
いやいや企業努力の有無など各社の内々の事情であるから参考にする必要などなく、基本的に同列に扱わねばおかしい、と考える向きがあるのかもしれませんが、私にはまったく理解不能です。

よくわかりました。
ありがとうございます。

私には思いつかなかった思考パターンがとても新鮮で、とても興味深かったので、皆さんからのご意見を伺ってみたいと思います。

このやりとりから、他の「ジャズ評論好き」な人だったらどう考えるだろう?と思いまして、以下のアンケートを考えてみました。

    もし、あなたがジャズ評論家だったら、どのようなスタイル、ポリシーで活動しますか?

簡単なアンケートにご協力いただけると嬉しいです(動画のネタになるかもしれないので♪)

まずは、MrNOBUchanさんのコメントをお読みいただ上で、あなたのご意見をお聞かせください。

Q.
あなたはジャズ評論家だとします。
雑誌編集者ではなく、純粋に個人の名で活動している評論家だとします。
あなたは「ジャズディスク大賞」の審査員になりました。

「テスト盤を作るなど営業活動をしている会社」のレコードと、
「それをしていない(できない/予算や人手不足などの事情で)会社」のレコードがあります。

さて、あなたは、
双方を平等に評価しますか?

1,
YES(平等に評価する)
NO(平等に評価しない)

2,
仮に、営業努力をしている会社のレコードの内容を「ザンネン」と感じ、
営業努力をしていない(できない)会社のレコードが「素晴らしい」と感じた場合は?

A.
それでも「律儀に経費と手間をかけ、テスト盤を作り評論家諸氏にもれなく配布している」から「ザンネン」な内容のほうを評価する
B.
営業努力をしていない(できない)会社の「素晴らしい」レコードのほうを評価する。

3,前の設問で「A」と答えた人への質問。
あなたが、音楽そのものをは「ザンネン」と感じたにもかかわらず、評を入れた理由は?(複数回答可)

A.
些少でも営業努力をした会社に対しての一片の配慮から
B.
テスト盤を配らなかった(配れない)会社のことを「評論家諸兄が身銭を切ってアルバムを買い求め、聴き、評価してくださいね、あなたジャズが好きなんだから当然してくれますよね?」と感じたから。
C.
自分は毎回いくばくかの原稿料をもらって評論を雑誌に書いているプロの評論家だから
D.
その他の理由(       )

4,
あなたの評論家としてのポリシーは?(もっとも近いものを一つ)

A.
素晴らしい音楽を、それをまだ知らない多くの人に紹介することが自分の使命である。それは大手の音源かもしれないし、零細企業の音源かもしれない。しかし、会社の規模と音楽の良しあしは関係ない。

B.
プロなので、あくまで評価は同じ条件下で行わなければならない。つまり、テスト盤を送る会社と、送らない会社は条件が異なる。よって同等には扱わない。厳正さと公平さは守るべきである。

C.
無名の良盤に脚光を当てること。特に、中小、零細企業の音源ほど世に知られていない可能性が高い。だから、プレス枚数が少ないものや、知名度は低いが良いものを紹介することが腕の見せどころだ。

D.
評論家としての活動を継続させるためには、レコード会社など、仕事に関係する業界との良好な関係の構築と維持が大切である。したがって、営業努力が感じられる会社には一片の配慮をするのが当然である。

E.
自分はあくまでフリーな立場の紹介屋である。プレスリリースの宣伝文句はレコード会社が勝手に考えれば良いが、それをコピペしたような紹介は真っ平ごめんである。自分の言葉を世間に届けてナンボの仕事だからね。

※あくまで、あなたが「評論家」であったらという思考実験です。
 ご協力ありがとうございました。

そして、動画もアップ。

皆さんの忌憚のないご意見をお聞かせください。

コメント

長谷川孝二さんからのコメント。

もしも意見が全く割れずに一致ばかりするなら、気持ちの悪い世の中ですからね(笑)

ですね。
ユダヤ社会では「全員一致の審決は無効」だそうですし。

まぐまぐさんからのコメント。

面白い内容の動画w  やっぱ マスターは信頼できるねw

サンキュー!ですw

高松貞治さんからのコメント。

難しい質問ですが、私はアルバムをある会社を持ってきたり、広告を出したりして、批評に左右するかといえば、全く左右されません。澤野工房はとても素晴らしいアルバムを何枚も出しているので、たとえ無名の会社のアルバムであっても、素晴らしければ、雑誌に自信を持って推薦します!第一何かしら持ってきたり、広告を本に出さなければ、売れないアルバムを持ってくる、それだけしか勝負できない会社の神経がよくわかりません!そういう会社は逆に真っ先に切り捨てます!やはり皆平等でないといけません!

高松さんらしいです♪

高松貞治さんからの返信。

みんな自分と同じ意見だと思ってたんですが、他の人のコメントを見ると、こう考えたのは私位だけみたいですね。なんか酒が合う人とか言っているし。なんか私がおかしかったのかな。

そんなことはないと思いますよ。

>そういう会社は逆に真っ先に切り捨てます!
と、過激なこと(?)まで言う人は稀かもしれませんがw

高松貞治さんからの返信。

自分を普通だと思うようにしています!多分。

自分にとっては普通にふるまっていても、人からは「変わってる」と指摘される部分、それが「個性」だと思っています。

ジャズに限らず、人としての「個性」があることも良いことだと思います。

「ブルージーな」という形容がありますけど、それが個性だと指摘される多くのプレイヤーは、たぶん「ブルージーにやるぞ!ブルージーにやるぞ!」と意図的にブルースフィーリングを出そうとしているわけじゃないと思うんですよね。

もちろん意図的な人もいると思いますが、自然なブルースフィーリングを感じさせる人は、きっと「普通」に演奏しているつもりだと思うんですよ。でも滲みでてくる。
その普通から滲み出るものが個性だと思います。

だからもし「変わっている」と言われたら、「よっしゃ!ジャズだぜ!(謎)」と握り拳くらいが丁度良いんじゃないかと(笑)。

日本の小中学校では確実に先生からは嫌われますが……。

高松貞治さんからの返信。

確かに私は小中学生の先生から嫌われていました。しかしやられっぱなしもいやだから、私も教師にいろいろ脅していました。PTAに言ってやるぞ!と。この頃から気質はジャズだったんですね!今気づきました🤣

学校の先生は、従順な生徒のほうが好きなんですよ、「学級経営」しやすいから(多分)。
それか、ヤンチャでも自分のことが好きな生徒は好き(多分)。
で、脅す生徒は、いちばん嫌い(確実w)。
ジャズですな♪

ポールジャズ男さんからのコメント。

勿論酒に合うJAZZを評論するでしょう。ウイスキー→これ。ビール→これ。ワイン→これ。日本酒→これ。ハイボール→これ。番外編モーニング珈琲→これ。ってな感じで😅

さすがポールさん(笑)。
こういう切り口(キャラ)の人がいても面白いかもしれませんね。
少なくとも酒飲みには参考になる♪

早春さんからのコメント。

1.yes
2.B
4.E
自分で見ても世の中を知らぬ非常に青臭い考え方だなァと思いましたが、事実まだ若いので許してください(笑)。私が文章を書くときのポリシーは
①他人のマネはしない
②納得がいない表現は使わない
③他人にとってはどうでもいいが、自分にとってはたまらなく愛しい一瞬を見つけてその味わいを文章化する
③共感される必要がないが理解はできる文章にする
といったところでしょうか。また以前の動画などでちょこちょこ触れられていた、評価基準・評価の軸足は
①個性的である
②①を満たしていなくても、もしくは強い表現意思が弱くても、自分にとって面白いものであるか、またその味わいが気にいるか
③時代に合っているか
というあたりです。
しかしながら、私は今のところ出版社の態度如何に関わらず、そこまで心に引っかかるところがないと、書いてみても文章になりません(笑)。

ありがとうございます。
早春さんらしいです。

>自分にとってはたまらなく愛しい一瞬を見つけてその味わいを文章化する

このポリシーはとても素晴らしいと思います。

とはいえ、

>そこまで心に引っかかるところがないと、書いてみても文章になりません

心に引っかかることがないアルバムも回ってくることもあります(こっそり)w

そういうケースにも対応できるための「スキル」は必須ですね(こっそり)

だからこそ、今だったら簡単に作れるので、自分自身のメディア(ブログ、SNS、YouTubeなど)をベースに持つべきだと思うのですよ。

雑誌や本は、どこまでいっても自分の土俵ではないので、やはりその場ならではの現場ルールや縛りがあり(緩いところもありますが)、多かれ少なかれそれをくみ取った上での自己表現となりますから。

kamaichi2002さんからのコメント。

ジャズ批評には興味ありません。
批評を語るのだったら小林秀雄を読めといいたい。
『小林秀雄初期文芸評論集』(岩波文庫)くらいは読まねば、批評は一歩も進みません。あと『モオツァルト』ね!

created by Rinker
¥727 (2024/04/25 20:03:21時点 Amazon調べ-詳細)
created by Rinker
新潮社
¥649 (2024/04/25 20:03:22時点 Amazon調べ-詳細)

「批評とは、おのれの夢を懐疑的に語ることではないのか…」この一文をかみしめるべきです。
それ以上いうことなし!

対談ネタが増えました♪

TAKESI0506さんからのコメント。

小林秀雄は若い頃、吉川英治から経済的な援助を受けていたそうですね😂
 文芸春秋社から出ている「文学界」のはじまりは同人雑誌であり、同人には川端康成、小林秀雄、武田麟太郎、宇野浩二、広津和郎、豊島与志雄、深田久弥などがいましたが、経営的には苦しくて、小林秀雄が「吉川さんに援助をお願いしよう」と言い出したそうです。当時「文学界」は流行の大衆小説を軽蔑し、〝純文学復興”の旗をがむしゃらにふりまわしていたのですから、大衆文学の代表ともいうべき吉川英治に援助を頼むなど筋違いもいいところですが、吉川英治は、資金のことは理由も聞かずに承諾し、かなり長い間その援助は続いたそうです。小林秀雄は作品よりもその人間の人柄を大切にする人であったらしく、講談社版の吉川英治全集の編集委員に、川端や谷崎と共に名を連ねているのは、正にこの時の恩義の故であろうと私は推察しています。
 ジャズに全く関係ない話で失礼しました😥

こういうテーマ(主題)から派生した興味深いアドリブを楽しめるところが、ジャズの、……いや、この動画の醍醐味ですね。
ありがとうございます。

こういう話を聞くたびに斎藤緑雨の「筆は一本也、箸は二本也。衆寡敵せず」を思い出します。

kamaichi2002さん⇒TAKESI0506さん。

をを、文学方面にもお詳しいのですね。脱帽です。
僕はジャズ評論をめぐる言説は「純文学論争」に収斂するだろうとみています。
純文学=ジャズ
通俗・大衆文学=その他のポピュラー音楽及び歌謡曲
といった俯瞰図ですかね。

TAKESI0506さん⇒kamaichi2002さん

ありがとうございます。
 小林秀雄と吉川英治の話は、講談社版吉川英治全集月報の「吉川英治とわたし/林房雄」から拝借しました。
 林房雄も文学界同人で、小林秀雄と二人で吉川邸を訪問したそうですが、吉川英治は援助の件は快諾し、その上、近所の料亭から上等の料理をとって、大いに御馳走してくれたということです。吉川英治の文化勲章受章を強く推したのも小林秀雄だそうです。
 私は小説を読むのも好きですが、純文学といわれるものは少々苦手で、特に最近読むのは、吉川英治、松本清張、藤沢周平、小杉健治などのどちらかというと大衆文芸に近いものばかりです。ですから、小林秀雄、林房雄のような純文学の旗手のような人たちが、吉川英治の援助を受けていたなどという話を聞くと、なにか爽快な気分になってしまうのです。

うう、吉川英治のようになりたい!(←単純)

Jさんからのコメント。

一般的に プロとは 対価に見合う仕事を行い..
プロ仕様とか 物については 悪環境に強く 耐久性のあることかなあ~            スイングジャーナル時代の ジャズ批評は ほとんど参考にさえしてませんでした
ラジオ番組が多かったと思いますが いソノ てルヲ だけは 参考にしてました
                     J

そっか、活字だけではなくラジオも貴重な情報源だったんですね。
そういえば、油井正一氏の『アスペクト・イン・ジャズ』を熱心に聴いていた先輩ジャズファンもいましたねぇ。

Jさんからの返信。

現代では 雲さん は いソノ てルヲ 再来です

じつは、その方のことよく知らないんですよ。
ウェザー・リポートの日本ライブで「これで第一部終了です、10分ほど休憩の時間です」と言っている人くらいの認識しかない……(涙)。
でも、褒めてくださっていると思うので、ありがとうございます!
<(_ _)>

博 橋本さんからのコメント。

いソノさんは東横線の自由が丘駅前で「5 SPOT」というジャズ喫茶をなさっていました。
マイルスの『マイルス・イン・トーキョー』 エヴァンスの『ライヴ・イン・トーキョー』でもM.C. を担当しています。
多くの来日ジャズ・プレーヤーの講演の付き添い兼司会役を受け持っていましたね。

マイルス&エヴァンスの『ライヴ・イン・トーキョー』もそうでしたね。
ジャズ喫茶も経営されていたとは知りませんでした。

Jさんからの返信。

そうですね~    選曲が いつもよかったですね     よく合いましたね~    軽快でした

選曲は大事ですよね~、むずかしいけど。

博 橋本さんからのコメント。

かつてTBS ラジオの夜の番組に『巨泉のプレイボーイクラブ』という15分間の番組がありました。
当時の風俗、時事を含めて映画や音楽、時には何故か中原中也の詩の解説と中身のある15分間でした。
当然、巨泉さんの番組なのでジャズはしょっちゅう取り上げてくれました。
この番組でビリー・ホリデイ、レスター・ヤング、パーカー、モンク、ゲッツなどを教わりました。
巨泉さんのビリー・ホリデイのお勧めは “These Foolish Things” でしたが熱心に歌詞の解説などしてくれました。これは当時流行っていたストーンズの「テルミー」の歌詞と自分の中では重なって、いまだにとっておきのラジオの思い出です。

岩浪洋三氏と共著でヴォーカル本を出されていたほどですから、ヴォーカル方面にもとても造詣が深かったんでしょうね。

あと、寺山修司と出会って俳句の道を諦めたという方なので、文学への造詣も深く、そのようなところから中原中也の解説だったり、歌詞の解説につながったのかもしれませんね。

Jさんからのコメント。

へ~  ボーカルも   いソノさんというと インストしか 掛けるの見たことないですけど

Tetsuo Nambaさんからのコメント。

澤野工房のCDは5枚位持ってますが、どれも内容が素晴らしく今でも時々聴き直します。
CDは7年ほど前から買うのをやめ、全てネットで購入しています。音楽批評やレコード会社のプロモーションは、僕にとって殆ど意味はありません。

私も澤野工房の作品は好きで、持ってるのは主に山中千尋ですが、個人的には大手のVerve移籍後よりも、澤野時代の彼女のピアノのほうが好きですね。

大手じゃないからこそ伸び伸びと表現できる音もあると思うんです。

永井勉さんからのコメント。

やっぱりマスターは面白いですね・・・W
モンクだらけの永井です・・・m(__)m
器がでかいのかな? と思ったら意外に小心者・・・W
物凄い情報量を持っているのに 自分はアホだと言う感じ・・・w
ビックリするぐらい このコミュニティが大きくなって 
しかも良心的な人たちに守られている事にいつも感謝・・・m(__)m
ちなみに アンケートの答えは たった一枚のCDでもなにか一つでも
救いがあると自分に問う事が出来る人が
一番の平等な考え方だと思います・・・m(__)m

>意外に小心者・・・W
意外に、じゃなくて正真正銘の小心者ですよ(涙)。
おかげさまで、まあなんとか、今日まで死なずに生きてこれてます(感謝)。

博 橋本さん⇒永井勉さん&私

 映画評論家の淀川長治さんは晩年には時に「あのひとはただ褒めるだけ」などと揶揄されることもありましたが「僕はどんな作品でも必ずどこかに良いところがあると思っています。だからそこを探して誉めます」という様な事をある時ラジオで言っていました。
 こうやって何本の映画が褒められたのかな?

>どんな作品でも必ずどこかに良いところがある
いいですね。
わりと私もその考えに近いです。
映画ではありませんが、以前どなたかに、「どんな駄盤でも、流通している以上は、最低1人は絶対に良しとしているはずだから、仮に自分の好みにあわなかったとしても、それを発見しようとする姿勢を自分は(なるべく)持つようにしている」とコメントをした記憶があります。

博 橋本さんからの返信。

泣かせる返信^_^
いろいろな事に通じる姿勢だと思います。

Hiromi Hasegawaさんからのコメント。

Jazzの右も左もわからない20代の頃、レコード1枚2000円は「大枚」だしスマホで試聴できる時代ではなく「ジャズレコード百科」の評価を読んで予習しました。そういう意味で当時の評論家は先史時代の無文字社会で昔の事を知っている老人(長老)が無条件で尊敬されていたのと同じだと思います。翻って楽曲へのアクセスの敷居が下がっている現在、高野さんが以前仰っていた「広範なLightなジャズリスナー」が何を参考にしているかというと「おすすめ動画」と「閲覧数」「いいね」の数かもしれません。 
ベスト100で思い出しましたが、昨年「100日で死ぬなんとか」がステマ疑惑で炎上しましたが、今のネット社会では「いいね」の公平性?を毀損する行為に対して激烈な反応を引き起こすリスクがあります。当時中山さんが「選考会なう」とかリアルタイムで本に書かれていることをツイートしていたら数時間で「いいね」が1万くらいついて大炎上したかもしれません。(苦笑)

無文字社会で昔の事を知っている老人(長老)

これ、いいえて妙ですね。
今の時代「評論家」というと、面倒くさい人間の象徴のような見なされ方ですが(苦笑)、昔の評論家は今からは想像つかないほど尊敬されるべき存在だったのでしょうね。

それは、粟村先生の原稿を電子化して大切に保存されているTAKESI0506さんの姿勢を見ても伝わってきます。

それにしても「選考会なう」。
これいいですね。

あるいは、いちいちツイートするの大変だから、選考会の模様を撮影して後日、雑誌の発売後にアップするのも面白いかもしれませんね。

Hiromi Hasegawaさんからの返信。

ある時期から映画評論家が映画コメンテーターになり音楽誌やオーディオ誌から評論家が消えて「ライター」という呼び名が目立つようになった気がします。たぶん高野さんの方がその辺の事情に詳しいのではと勝手に推察しますが、なんとなく「前説や精神論はいいの!泳ぎ方教えるのがあんたの仕事でしょ!」とマダムに怒られているインストラクターを連想してしまいます。

あははは、知(知識)のコモディティ化とでもいうべきか。
あきらかに世の中の変化とともに、求められる要素は変化してきていますよね。

おそらく、粟村政昭氏を代表とする70年代の舌鋒鋭き評論家は今の時代は炎上しかねないでしょうし、逆にその時代に『ビジネスマンのための(こっそり)ジャズ入門』だなんてふざけたタイトルの本を出した人間は、「商売人のためのジャズ?!しかも、正々堂々とではなく“こっそり”だと? ジャズをなんだと思ってるんだ、けしからん! 小林秀雄読め!」と怖い運動家の皆さんのアジトに連れていかれて自己批判と転向を迫られたことでしょう(怖)。

Hiromi Hasegawaさんからの返信。

昔小林秀雄が泥酔して水道橋駅のホームから落下した事件を作家の坂口安吾が取り上げて文章書いています。「小林の様な煮ても焼いても食えない男がそんなヘマをしでかすとは想像してなかった」と最初から喧嘩腰で「生きている人間は悩み、迷い、何をしでかすかわからない。とにかく生きようとして振り回した棒キレがブンガクである」「小林の鑑賞眼は死人の目だ」と痛罵してます。クリエーターと批評家の「そんなに偉そうなこというならやってみろよ」的確執もあるんでしょうが、安吾は小林のフィールドである批評で意趣返しした。
ま、私は野次馬的に「そや、そのとおりや、もっと言うたれや!」と俄か大阪人になって読みながら爆笑しました。

ホームから落下!
ワイルドですねぇ。
普通、泥酔してもホームからは落っこちないでしょう。いや、落っこちる人が多いから最近の電車のホームには壁というか、「ホームドア」が設置されている駅が増えているのかな?

坂口安吾の「とにかく生きようとして振り回した棒キレがブンガクである」は、
「人間は何をやりだすか分らんから、文学があるのぢやないか。歴史の必然などといふ、人間の必然、そんなもので割り切れたり、鑑賞に堪へたりできるものなら、文学などの必要はないのだ。」
に続く文章ですよね。

そして、こう続けます。
「だから小林はその魂の根本に於いて、文学とは完全に縁が切れてゐる。そのくせ文学の奥義をあみだし、一宗の教祖となる、これ実に邪教である。」

痛烈ですね~。

Hiromi Hasegawaさんからの返信。

御明察の通り「教祖の文学」です。文学は壁に掛けたり手に取って愛でる骨董ではない、言葉を生業にする人の言葉は切っ先が鋭く怖いくらいです。鍵谷氏も粟村氏もそういういみではジェントルですね。

>言葉を生業にする人の言葉は切っ先が鋭く怖いくらいです。
言葉の切っ先。
そう、怖いくらい鋭いですね。
まったく同感です。

同じように、
今もそうかもしれませんが、最低限の生活費で(70年代のアンドリュー・ヒルのインタビューによると「一応、一流とみなされている自分でも福祉生活」といっています)即興演奏に火花を散らしていた昔のジャズマンの音からも、凄み、あるいは深みを感じます。

人力飛行機さんからのコメント。

面白い企画ですねー。取り上げていたMr.NOBUchanも徹底した営業力主義だし。ただ、ジャズとかとどれくらい縁がある人なのか、微妙な気がしますね。私はジャズに限らず〇〇音楽大賞とか、どこまで信じていいのか懐疑的なんで。それよりも雑誌で数人の批評家がselectする「今年発表された作品で耳に残ったアルバム」とかをランダムに並べるやり方のほうが信用できるし、参考にするんじゃないかと思います。「今年発表」だから、たとえばマイルス・デイビスの未発表ライブとかも含まれるし、あとコンプリートものとかも。でまったくの新作も含めて数人でselectとか。選考理由も書いて。そういうselectionのほうが参考にできますね。いずれにせよ面白い企画でした。

>「今年発表された作品で耳に残ったアルバム」とかをランダムに並べるやり方
『ジャズ批評』誌が毎年年明けにおこなっている「マイ・ベスト・ジャズ」企画みたいな感じでしょうか? 私も参加させてもらってますが、これはもう自由というか、(私の場合)気分重視というか(汗)。まあ、忖度のようなものはゼロですねw

人力飛行機さんからの返信。

まあ私は不勉強で。『ジャズ批評』誌が今でも健在だということに気づかなかった(笑)書店の音楽雑誌みてるときに目に入ってたはずなんだけどなあ(笑)何視てたんだろ(笑)主さんが取り上げてる『jazz life』とか『Swing Journal』はもう無くなってるんですよねえ。と決めつけて一応検索したら、『jazz life』まだあった(笑)危ない危ない(笑)ええ?『jazz life』ってどんだけ昔からあるんでしょうか・・・凄い歴史にいまさらながら。『ジャズ批評』もねー凄い。

『Jazz Life』は、ずーっと続いてますね。ずいぶん薄くなりましたけど(値上げもかなり)。
ただ、誌面構成は大昔からほとんど変わらず。
一定のファン層はいるんでしょうね。