粟村政昭・著『モダン・ジャズの歴史』を借りることができたので読んでもようかと思います。

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「名著」という評判はよく聞いていたのですが、これまで一回も触ったことも読んだこともなかった粟村政昭・著『モダン・ジャズの歴史』をジャズ先輩から借りることが出来たので読んでもようかと思います。

……というようなことを語った動画をアップしました。

コメント

TAKESI0506さんからのコメント。

「モダン・ジャズの歴史」は本当に名著だと思います。
ビッグ・バンド・スイングからビ・バップ~クールあたりのジャズを最も愛する粟村さんの好みがよく出ていますね。ファッツ・ナヴァロに関する記述などは6ページにわたっています。
 以前にも書き込んだことがありますが、77年のスイングジャーナルに載った油井正一さんの書評をもう一度……。

『書評「モダン・ジャズの歴史」
 粟村政昭君の格調高い名文によって描き出された「モダン・ジャズの歴史」は、本紙連載中から読者を魅了し、僕を含めたライターを啓発してきた。今ここにまとめられて一巻としたものを読了し、やはり世界に冠たる一冊の本が生まれたという感が強い。
 “歴史”という言葉につけられる冠詞はきまって“a”という不定冠詞が用いられる。“a History”で“the”ではない。歴史的事実はひとつしかないが、記述者によってまったく違った見方が生ずるためであろう。その意味でこれは傑出した「粟村政昭によるモダン・ジャズの歴史」である。
 寝ころがっても通読しても、どんな初心者が読んでもスラスラ頭に入る簡潔な文章であり、その意味では“入門書”に入れられてよい本のように思えるし、まるで教科書のように無駄のない記述ではあるが、一皮めくれば実に含蓄に富む本なのである。これが含蓄にとむ本だとわかるためには、少なくとも五年以上、ジャズに身を入れる必要がある。早い話が、ポンポン飛び出してくるレコード引例にしてもレーベル名すら書かれていない場合が多い。「例えば、48年の7月に吹き込まれた〈Misterioso〉のオリジナル版を聴いてみるとよい」といわれても、初心者がこのレコードを探しあてるのは容易でないはずだ。どうしてこれだけの良書に脚注を一切つけていないかが不思議である。そればかりでなく使われている言いまわしのひとつひとつに20数年に渡り熱心に文献に目をとめ、レコードを暗誦(あんしょう)するまで聴きつくした著者のウンチクがこめられているので、年を経て読みかえすことにより、はじめて「ああ粟村さんはこれを言っていたのだな」と改めて納得できる個所が至るところに出てくるに違いない。
 ファッツ・ナヴァロに関するくだりなど、何気なく読んでしまえばそれまでだが、これほどこの夭折したトランペット奏者に愛情を捧げた文章はかつて読んだことがない。
 他にもレスター・ヤング、レニー・トリスターノなどに対する歴史的に明確な位置づけ――とにかく徹底的に聴いている。聴いた上で知的に整理している。整理された結果だけを実に簡潔な表現で(昭和ヒトケタとしてはやや伝統的な文体で)書きあらわしているので、実の話、この本をテキストとしてエンエンたる講義が出来るほどだ。僕ならばモダン以前のジャズをもっと多く引用して、歴史的コントラストを作ることに精を出すところだが、粟村君はほとんどそれをやっていない。やっていないのは知らないからではない。彼の昔のジャズに対する知識は、誰にもひけをとるまい。やらなくても明確に説明できるからだ。昭和20年代の初心者時代、彼が唯一の手引としたのは僕のジャズ放送だという。とすれば、これは立派に出監のほまれだ。
 また文中に彼が心から尊敬し続けた野口、牧両氏からの良き影響が散見されるのも微笑ましい』

次号には、油井さんのもとに届いた粟村さんの手紙を披露しています。

『先月号に僕が書いた「モダン・ジャズの歴史」書評について著者の粟村君から手紙が届いた。とても面白いので引用しよう。
「引用レコードに関しては意識してレーベル名や番号を書きませんでした。文献中の僅かな記述を手がかりに、苦心してそのレコードを探し出すステップを踏んでこそ、はじめてジャズの面白さが身につくと思ったからです。著者の不親切に舌打ちしつつ、くりかえし頁をめくり、探しだすのに苦労してこそ、その人の人生が豊かになるわけで、ロスもなく手軽にサワリだけを教え込まれたあげくのコレクションなどやがて埃をかぶる運命になると思ったからです」
 うまいうまい。その通りだ。以上書評の補足まで――』

TAKESI0506さん⇒御駄賃取郎さん

ジャズを好きになって、(ジャズっていったい、どんな歴史を持つ音楽なんだろう)」と素朴な興味から
最初に飛びつき、貪るように、折につけ読み返した本は、油井正一さんの「ジャズの歴史物語」だった。「各論」よりはまず、「総論」で流れを掴みたいという気持ちからであった。

その後、だいぶ時間がたってから粟村さんの音楽の友社からの本を買ったが、今はその内容の記憶がまるでないのが不思議だ。(名著であるのに、なぜだろう?)と自分でも思う。

これはおそらく、自分自信の「内なる信仰」?のようなものかも知れない。自分には「教祖様」は一人で良いという気持ちもあった。各論の段階になれば、あとは「個人の好みこそがすべて!」ともおもってきたので「~~は、良いよ」ならわかるのだが、「◯◯を聞け!」などといわれると「べらんめえ!寝言は寝ていいやがれ!てめえの女房なんざ、てめえだけの好みにすぎんだろうが!」という元来の変人、あほ丸出しの性格なので、その後は人様にジャズが好きだということは極力言わなくなった。

しかし「類は友を呼ぶ」とはよくいったもので、先日投稿した「N氏」とはこうした事?がきっかけで知り合い、後に仲良くなった。そして彼もじつによく似た御仁?、がんこさをお持ちながら、会うと「ディベート大会?」の如く議論を白熱させて?は楽しんだ。

現在では高野マスターのような「博学の解説者」のおかげでジャズを楽しめるフアンは幸いだ、と、うらやむばかりだ。なにごとによらす「相性」のごときものが存在するようだが、自分が納得し、「これ!」と意を決したなら徹底的に食らいつくのもまた、楽し。

・・・それにしてもいつまでたってもマスターのお声が上念司氏のお声に聞こえてしまう。w。これほど滑舌もよく、明快なジャズ解説者を自分は知らない。。このままいけば「第2の「吉田秀和さん」になるも夢ではないと思うや切。「語る言葉だけで、(その曲を聞いてみたい!)とおもわせてくれた評論家として有名)

博 橋本さん⇒TAKESI0506さん

>うまいうまい。その通りだ。
同じく「以上の様な事」には惹かれます😊😊😊

kamaichi2002さんからのコメント。

あのカバーはぼくがつけました。古本屋の番頭でしたからね(笑)。

さすが!
匠の技です!

博 橋本さん⇒kamaichi2002さん
買った本にカバーをかける時間は至福の時ですね😊😊😊

MrNOBUchanさんからのコメント。

大阪市浪速区日本橋4丁目のジャズ専門CD・レコード店「LIGHT HOUSE」のご店主が毎月発行しておられる月報「ジャズ・ディスク・レポート」の平成26(2014)年2月号によれば、粟村政昭さんは、平成25(2013)年8月28日に79歳で亡くなられたそうです。今月で、没後10年なんですね。
この店が開店して以来、月にニ、三回くらいの頻度で通ってこられ、店主とジャズのみならず、いろいろな話題で盛り上がっておられたとの由。晩年には脚を悪くされて日本橋まで来店することが難しくなり、新譜購入は通信販売、よもやま話はお手紙で、となられたようです。
「モダン・ジャズの歴史」は、私が所有する同書の奥付によれば昭和52(1977)年8月25日初版発行ですので、粟村さん43歳時の著書です。本業の医師として仕事をしながら長年膨大な古今のジャズ作品群に接し資料を読み、そうして得た知見をフル動員して40歳の年の1月から4年にわたってSJに連載した論考をもとに追加・訂正・削除を繰り返し、ようやく一書にまとめられたものです。
これだけの内容を、原稿用紙にして推定八百余枚にまとめるのはさぞ難行苦行だったのでは、と拝察します。

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2023年8月6日 09:44