【コメント返】エピストロモンク

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動画「ソロ・モンク?ヒムセルフ?ヴォーグ?サンフランシスコ?セロニアス・モンクのソロピアノは何が好き?」(こちら)と「マッコイ連発作戦(笑)〜中山康樹・著『Jazz名盤名勝負』より」(こちら)に視聴者さまよりいただいたコメントを紹介した動画をアップしました。

コメント

龍 大阪さんからのコメント。

ソロモンク。大学生のころ、だれかにレコード借りて聴きましたが、なんだかよくわからなかった記憶があります。
そんで、youtubeで聴いてみました。
まず、解説欄見るとプロデューサーがテオマセロなのかと。1965年リリースだからハンコックとかを入れてたマイルスバンドのプロデューサーをやってたころですよね。
これ、今聴いて面白いのは、スタンダードバラードが結構入っています。気になったのは「Everything Happen To Me」。インターネットでなんでも調べられる時代になり、インストでやってるスタンダードで歌詞つきのやつは、よく、どんな歌詞なのか調べています(笑)。
歌詞を念頭にモンクは弾いているのかどうかは知りませんが、けっこう、歌詞も考慮に入れてるんじゃないかなと。
今回の動画でも出てきた、「It Could Happen To You」。マイルスの「リラクシン」の演奏を、歌詞の内容を前提に聴くとなぜ、あの、甘ったるい感じになるのか合点がいくと。あと、リラクシンの1曲目の「If I Were A Bell」。あそこでのコルトレーンのソロの下手くそ感。「このころのコルトレーンだったらオイラだって、そこそこイケル」みたいに感じたのですが、私は確信に近い自信がありますが、コルトレーンは、「わざと」、あの下手くそ感を出していたと。明らかにタンギングが強すぎるし、「おいおい、どうした、コルトレーン」みたいな(笑)。でも、歌詞を見ると、あれは、恋する乙女が胸をドキドキさせてると、それが、教会の鐘にたとえると「ディンドン、ディンドン」鳴り続けているみたい、という内容なんですね。
あと、同じくリラクシンに入っている「You’re My Everything」でしたっけ? あれも、ガーランドに何故イントロでブロックコードを弾かせたかも歌詞を見ればわかります。

そういえば、今まで歌詞の意味を考えながら楽器の演奏を聴くことってあまりありませんでした。
タイトルの意味や、大雑把な意味を知った後で、演奏を聴いて「結構ギャップあるなぁ」なんて感じたことは若い頃はありましたけど。

例えば、《スピーク・ロウ》なのに賑やかだなぁとか(笑)
あるいは《ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド》の場合は、「お酒が回って頭がくらくらする時のように、君の存在が頭から離れない」内容なのに、妙に寂しいなぁとか。

そうそう、「明日は我が身」の《イット・クッド・ハップン・トゥ・ユー》もそうですね。
軽快で明るい演奏が多い気がするんだけど、歌詞は何やら「警告」めいた内容だし。とはいえ津波や地震がくる的な天変地異の警告ではなく、
「恐ろしいけれど素敵な出来事」
⇒「恋に落ちちゃうかもしれないよ、私がそうだったからね」

はぁ、なるほど、そういう内容だったんですね。
で、この「君も突然恋に落ちちゃうかもよ、だって俺もそうだったからね」と語りかけてくる内容を頭に入れて聴くと、マイルスのミュートの「語りかけ」も、なるほど、そういう語り口もあるんだなぁと妙に納得したり。

ご指摘の《イフ・アイ・ワー・ア・ベル》に関してですが、「あそこでのコルトレーンのソロの下手くそ感」、これめちゃくちゃ同感で、私も大阪さんとほぼ同じことを思っていましたし、今でも思っているんですが、歌詞を知ると、そうなんですね。
>でも、歌詞を見ると、あれは、恋する乙女が胸をドキドキさせてると、それが、教会の鐘にたとえると「ディンドン、ディンドン」鳴り続けているみたい、という内容なんですね。

あの強すぎ、遅れ気味のヨタヨタ出だしの理由。
この曲って元はミュージカル『野郎どもと女たち(Guys and Dolls)』の挿入歌なんですよね。
もしかして「野郎ども」をコルトレーンは演じていたとか?(笑)

マット・デニス作曲の《Everything Happen To Me》は、やっぱり作曲者自身演奏して歌ったライブ盤が好きなんですが、作詞は別の人だったんですね。
⇒マット・デニスが作曲し、トム・アデアが作詞

で、この曲、美しいメロディでありながら、ついてない男の話で(かなりついてないw)、歌詞の内容とメロディのギャップが面白いです。

この歌詞を知ったのはずっと後のことですが、初めて歌詞の意味に触れたときは、「え、こんな内容なの?」と少々驚きました。

「Happen」つながりで、先述の《イット・クッド・ハプン・トゥ・ユー》と比較すると面白いですね。

It Could Happen To You
⇒恋は(素敵なことが)君の身にも起こるかもよ

Everything Happens To Me
⇒悪いことは全部僕の身にばかり起こるんだ

ここで思い出したのが、ギルバート・オサリバンの《アローン・アゲイン》です。

私は映画『めぞん一刻』のエンディング知り、「いい歌だなあ」と思ったものですが、まあ歌詞に関していえば、救いようがない😂。

《Everything Happens To Me》の「ついてない出来事」は、「まあ、たまにはそういう日もあるよね(天中殺や厄日ということもあるし)」と割り切れるかもしれませんが、《アローン・アゲイン》はシャレにならない不幸の連続。

結婚式での「公開処刑」、つまりドタキャン。教会の祭壇で花嫁を待っているが、彼女は現れない。あまりの恥ずかしさとショックに、「近くの塔のてっぺんに登って、身を投げてしまおうか」と本気で考える。

さらに、場面は過去へと遡り、父との別れ。
子供の頃に父親が亡くなった話。
そして、夫を亡くした母親は、深い悲しみに打ちひしがれ、言葉も出ないほど泣き崩れる。主人公はそれをただ見ているしかなかった。
さらに時間は進み、唯一の肉親であった母親との別れ。父親が亡くなった後、後を追うように母親も死にます。

母親が亡くなったとき、主人公は「神様、なぜ僕を見捨てたんですか」と問いかけるのですが、返事なし。

物理的にも精神的にも、「一人きり」になっちゃいました😂

「また一人ぼっちだ。当然の結果だよね(Naturally)」と自分を言い聞かせる。
癒してくれる人は誰もいない。
仕方ない…。

もう《ゴッド・ブレス・ユー》といいたくなっちゃいますね。

いや、それとも《ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド》と言うべきか。
God bless the child
⇒誰にも頼るな。孤独なのは当たり前。自分の力で稼いで生き抜くしかないんだ

《ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド》といえば、ビリー・ホリデイの歌でジーンと来たものですが、ドルフィーのバスクラソロは、最初聴いた時は、何がどうして、どうすれば、こんな《ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド》なのか全くわかりませんでした(今でもかなり謎)。

これもまた、ギャップが凄まじくも面白い演奏ですよね。

2026年1月18日 12:04