リチャード・デイヴィスのベースが素晴らしいレイ・ブライアントの『スロー・フレイト』

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先日アップしたレイ・ブライアントの『レイ・ブライアント・トリオ』を紹介した動画(こちら)にいただいたコメントへのアンサー動画をアップしました。

『スロー・フレイト』、久々に聴いてみましたが、うーん、いいですね~。
リチャード・デイヴィスのベースが。

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コメント

高松貞治さんからのコメント。

レイ・ブライアントで動画をなんとなく聞いていて今ふと、思い出したんですが、アルバム「スルー・ジ・イヤーズ」のジャケットが、その怪しい、指がクネクネ動いているようで、怖いですよね!どうして今まで思い出せなかったんだろう😂アルバムは最高ですよ😊他の人がもう書いていたらすいません!

このアルバム(たち)は、発売された時はけっこう話題になりましたね。
あ、『スイングジャーナル』の広告がにぎやかなだけだったのかも?(笑)。

でも、仰る通り、内容は良いですよね。
グラディ・テイトのドラムも、ルーファス・リードのベースも、楽器をやっている人にとってはお手本のような素敵なプレイをしているんじゃなかと思います。

ここでも《サテン・ドール》を演奏していますが、『スロー・フレイト』収録の演奏に比べると、かなり重心がドッシリとした貫禄のある演奏になっていますね。

個人的には、リチャード・デイヴィスがベースを弾いている『スロー・フレイト』のほうが好きなんですが、こちらの《サテン・ドール》も悪くないですね。

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TAKESI0506さんからのコメント。

お待たせしました。「スロー・フレイト」はスイングジャーナル67年7月号に掲載されてました。評者はジャズ評論界の長老の一人、藤井肇さんで評点は4星。邦題は「アーメン」となってます😉

『レイブライアントは本年36才、すでに50年代にはチャーリー・パーカー、マイルス・デヴィス、ソニー・ロリンズなど一流ミュージシャンと共演、またカーメンマクレーの伴奏をつとめるなど、その堅実なプレイが買われた中堅黒人ピアニストである。自己のトリオのLPもかなり出ているようだが(日本には紹介されていない)むしろ地味な存在であった。然し最近流行のジャズ・ロックと取組み、次第に人気を博するようになった。勿論ラムゼイ・ルイスのようなハッタリはないが、結構大衆に親しまれる音楽を提供しているのだ。1966年2月に吹込んだ前作「ジャズ・ロック」(原題ロンサム・トラヴェラー)でも、ポピュラー・ジャズを狙って成功したのにつづく最新盤である。吹込は、 1966年12月、レギュラーのトリオに、トランペットまたはフリューゲル・ホルンのアート・ファーマーとスヌーキー・ヤングを迎え、仲々の好プレイを展開している(前作ではクラーク・テリーが加わっていた)。全7曲中、自作2曲からも彼の作曲の才能はうかがえる。演奏では、ゴスペル・ロックともいうべき「エーメン」や、変った題名の「道楽息子のご帰還」が、やはり面白い。またマイナー調の「イフ・ユー・ゴー・アウェイ」も変っている。ここでは意外なまでに感覚の繊細なブライアントのリリカルなプレイが生きている。またフィリップ・ジェラール作のシャンソン「ホエン・ザ・ワールド・ウォズ・ヤング」におけるデヴィスのボーイングをバックにしたフリー・ソロや、バウンスしてからの美事なテクニックがきき物である。
 その他エリントンの名作「サテン・ドール」と取り組んだ闘志あふれるプレイ、またトリオ演奏の「フォックス・ストーカー」など、たしかに大衆をひきつける魅力をそなえたピアニストといえよう』

私の一番好きなブライアントのアルバムは73年のソロ・アルバム「アローン・アット・モントルー」です。ブライアント自身が、両手の手のひらを前に出した黒っぽいレコードジャケットは、私の最も好きなジャケットのひとつです。このレコードに関しては油井正一さんも5星を付けて大絶賛してました。

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『エロール・ガーナーの代表作は何かときかれれば、誰もがCBS盤の「コンサート・バイ・ザ・シー」をあげるであろう。同様に1973年以降「レイ・ブライアントの代表作は?」ときかれた場合、誰もが「アローン・アット・モントルー」と答えるようになるにちがいない。彼のすベてのアルバムを通じて、これはことほどさように傑出した一枚である。1931年フィラデルフィアに生れたレイ・ブライアントは、この町がデトロイトと共に空前のジャズ、シティであったために、来演した多くのジャズ・ジャイアンツと共演の機会を得た。彼自身も1955年以降エピックに数枚のトリオ・レコーディング(うち一曲は「アフター・アワーズ・ジャズ」に収録)、先般廉価盤で出た「マイルスとミルト・ジャクソン」(55年)、ソニー・ロリンズの「ワークタイム」(55年)などから、有名プレイヤーのレコーディングにも頻繁に登場した。最もオーソドックスな、すぐれたピアニストであることは誰もが認めたが、パアーッとした人気は湧かなかった。その最大の理由は、私のみるところ、彼のリーダー・アルバムがいい線をいっていながら、ポップ・ヒットをねらう助平根性も見えすくところがあって、ジャズ・ファンにぬるま湯的な印象しか与えなかった点にある。今までで一番評判のよかったソロ・アルバム「アローン・ウィズ・ザ・ブルース」(1958年プレスティッジ・ニュー・ジャズ盤)をきいても、“JOy”という、よくいえばファンキー、悪くいえば当時の時流におもねたのがあって、「まずい曲を入れたなあ」と筆者を慨嘆させたものだ。そのあと10枚ちかく出たリーダー・アルバムはいずれも3ツ星程度のもので、これでは人気の出ようがなかったのである。デトロイト生まれのトミー・フラナガンは1歳ちがいで、似たようなキャリアだが、彼には「オーバーシーズ」という代表作がある。だからファンはレイ・ブライアントよりもトミー・フラナガンを注目した。公平にみて、ブライアントの力強い左手はフラナガンにまさっている。これは上記の代表作「アローン・ウィズ・ザ・ブルース」をきいた時からの確信である。でもエモーションとか美的感覚の点では明らかにトミーに軍配があがる。ロリンズの〈モリタート〉でも、コルトレーンの〈ミスターPC〉でも、トミーのソロには恍惚とさせられた。レイの場合は、こうも各社から無駄ダマを暴発するようでは見込みなし、折角注目していたのに、ついに小才を弄して倒れたかと実は見放していたのであった。その彼が、雌伏10年どころではない、20年ちかくも経って、場所もスイスのモントルーで、生涯の代表作をつくったのだから、これは近世ジャズ史上の奇蹟という他はないのである。ためこんでいた実力が一度にほとばしった感じなのだ。時機的には遅すぎた。だが1950年代へ今あらためてファンの目が向けられていることを思えば、まさにタイムリーであったといえるかもしれない。ものは考えようだ。でも小生が見放していたようなタレントにソロで登場させる機会を与えたフェスティバルの主催者、さらにアトランティック・レコード・プロデューサー、ジョエル・ドーンの慧眼には最敬礼の価値がある。一曲目は昔のレイを知る者にはまたもや危惧の念を与えずにはおかぬ〈ガッタ・トラヴェル・オン〉である。ところがこれが往年のようにコマーシャルへの色目でなく、優秀なピアニストのデモンストレーションとして演奏されている点でニコニコと笑いがこみあげてきた。そして二曲目のスロー・ブルースは、あるべきところに音がちゃんとある最初の数小節をきいただけで、「うーむ、この調子だとレイ・ブライアント畢生の快作だゾ」という予想が頭をもたげてきた。B面に入って予想は確信にかわり、心の中で喝采をおくりながら針を上げたのである。
レイ・ブライアントはチック・コリアやキース・ジャレットによって代表される新時代のピアニストではない。アール・ハインズ、テディ・ウィルソンの系譜をつぎ、これにモダンなハーモニー感覚を附与した点で、トミー・フラナガン、ウイントン・ケリーのカテゴリーに属する。それにしては抜群のテクニックを持ちながら、一人だけ随分道草を喰ったものだ。〈リトル・スージー〉や〈クバノ・チャント〉といった彼の代表曲も弾かれているが、後者は秋吉敏子の〈ロング・イエロー・ロード〉の一節を思い起させる。音についてだけでなく、自叙伝的な回想がこめられている点でも――』油井正一

ありがとうございます。

え~、邦題は『アーメン』だったんですか?!
雪、線路、貨物列車のジャケ写と『アーメン』、まったく結びつきません(笑)。

>ラムゼイ・ルイスのようなハッタリはないが
には苦笑…。

私も『アローン・アット・モントルー』は愛聴盤です。
ピアニスト、レイ・ブライアントの真価が発揮された作品ですし、観客の盛り上がり方も素晴らしいですね。

高松貞治さん⇒TAKESI0506さん

TAKESI0506さん、凄い!お待たせしましたと、普通に当時のスイングジャーナルの資料を当たり前のように、出してくるのが凄い!感服しました!

博 橋本さん⇒TAKESI0506さん

毎度お手数をお掛けします。有り難うございました。
私も「アローン・アット・モントルー」は大好きです。エア・チャエックしたカセット・テープで長い間聴いていました😃

Tetsuo Nambaさんからのコメント。

何十年も前にポップシンガー Janis Ian のアルバム “Between The Lines” を何も考えずに買ったら、ベースがあまりにカッコいいので驚きました。ジャケットを見ると、Richard Davis が弾いていました。その後、彼女のコンサートに観に行きましたが、Richard Davis は来なくてガッカリしたのを覚えています。

まさかジャニス・イアンにリチャード・デイヴィス?

リンクされていた動画の「Janis Ian At Seventeen 17 Lyrics」を聴いてみましたが、良いですね。
まずは、曲がよいし、歌声もいいし、アンサンブルも絶妙で素晴らしく、あまりベースには耳がいかなかったのですが、時折隙間から「にゅーん!」とくるところや、暖かくサウンドを包んでいるところが、さすがベテランだなと思いました。

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博 橋本さんからのコメント。

リチャード・デイビスも”SATIN DOLL” の聞き応え感も雲村長の仰る通りです。
コメント返し有り難うございました。
タイトルとジャケットの写真の通り、目の前を無蓋車、有蓋車が重そうな奴も軽そうな奴もしっかり繋がって、転轍機やシグナルの間をナイスなテンポで通過していく様な演奏から始まります。
しかしながらすみません、敢えて言われなければ “AMEN” からは演歌の皆さんのお祭り騒ぎは思い浮かんでいませんでした😅
単純にゴスペルタッチと教会での合唱などが浮かんでいました♫😃
オマケですがレコードで B 面頭の “IF YOU GO AWAY” は、当時解散したウォーカー・ブラザーズのメンバーだったスコット・ウォーカーのヴァージョンが流行っていました。

>”AMEN” からは演歌の皆さんのお祭り騒ぎは思い浮かんでいませんでした😅
まあ、これはあくまで私の個人的好みと経験からくる妄想なので……。
もちろん、本場の演奏は素晴らしいですよ。